プロメテア 2
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『タイムトラベラーズ・ワイフ』のオードリー・ニッフェネガーと『フロム・ヘル』の(作画担当)エディ・キャンベルはシカゴとオーストラリアのブリスベーンという超遠距離恋愛の末結婚した夫婦で、Bizzare Romanceは二人の愛の結晶的ちょっと不思議恋愛短編集。イラストだけのもあればコミックになってるのもある。キャンベルのテクニシャンぶりは存分に味わえる。Digging up the Cat(猫を掘る)がしみじみといい。
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『霊感刑事の告白』 の著者は元宮城県警の警視正までつとめた叩き上げの名刑事である。だが、彼の数々の成果はすべて霊界からのメッセージによるものだった……!という衝撃の一冊。筆者は宮城県気仙沼署の刑事課長に就任したのは昭和53年、45歳のとき。妻子を仙台市内においての単身赴任で、ついに夢だった刑事課長への昇進をはたした。順風満帆。ところが赴任してから二ヶ月ほどして、ラジオから声が聞こえだす。そのうちにテレビや電話機などから次々に呼びかけられるようになるのである。ついに狂ったか……!?
普通に考えたら新たにおった責任の重さと単身赴任による新生活のストレスから幻聴を聞くようになったのかと考えるところである。筆者も悩み、しまいに自殺まで考えるのだがすんでのところで思いとどまり、これはあの世(霊界)からのメッセージだと考えるようになる。なんせ刑事ですからね、殺人事件があれば犠牲者の声を聞いて犯人を探してしまう。間違いようがない。アパートで幼い娘と母親が死んでいた事件では、当然疑いの目は第一発見者である父親に向けられる。だが「死体はなんでも知っている」のである。母親の
「……違います。夫ではありません。私が殺しました、間違いありません」
という声を聞いた筆者は、母親による無理心中だと確信して、事件を解決に導いたのである!
いろんな部分で村崎百郎の文章を思い出してしまったりしてなかなかおもしろかった。なお、あるとき御仏の声として延々と数字が読み上げられるのを聞いた著者は、その意味を訊ね
「すべての人間は固有の番号で一人ひとり登録されている。その番号で生まれてから死ぬまで管理される。今、読み上げられている番号の人は、読み上げられた直後に死ぬことになっている」
と教えられるのである。まさかの霊界マイナンバー制にはちょっとやられたのだった。
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青土社より2003年に刊行した『興行師たちの映画史』が新装版となって再刊されることになりました。中身はほとんど変わっておりませんので、旧版をお読みいただいている方は、とくに手にとっていただかなくとも……これがなぜ「増刷」じゃなくて「新装版」なのかということにはいろいろ大人の事情が……さまざまな事情に翻弄されてしまった本なのですが、中身は今でも別に古びていないと思いますので、ご一読願えれば幸いです。
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トランプ政権の暴露本『炎と怒り』を読んだ。
まあトランプはトランプだというのはわかってることなので、中身にそんな驚きがあるわけじゃない(トランプ政権にはスピーチライターがいない、というのはさすがにびっくりだが)。著者はちょっとトランプ的世界に浸りすぎてるようで、かなり粗雑に「メディア」とひとくくりにして語っていたりする。ぼくが興味があるのはバノンのほうなんで、その意味ではこの本はぴったり、というのも著者マイケル・ウォルフの主要リーク源がどうやらバノンであるからだ。なので本の中ではバノンはヒーローであり、雄々しくジャーヴァンカと戦ってトランピズムの大義を推し進めようとする。
にもかかわらず、これを読むかぎりバノンはひたすらことが終わった後で冷笑する後出しの警句屋でしかなく、破壊以外のことは何も実現できない壊し屋でしかないのだった。バノンのビジョンにはちょっと興味あったんだけど、結局は黙示的世界観の先には何もないのかなあ。そこらへん、もうちょっと知りたいんで、まだいくつか読書は続けるつもり。
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2016年から刊行が続いてまいりました〈J・G・バラード短編全集〉(東京創元社)、不世出の天才作家バラードの全短編を年代順に収録してきた短編集ですが、2018年1月31日刊行の第五巻でようよう完結となります。長きにわたるおつきあい、ありがとうございました。第五巻は表題作「近未来の神話」をはじめバラード黙示てんこもりの傑作揃いですが、解説はなんとウィリアム・ギブスン書き下ろしです! まあバラードだからね。それくらいはいたしませんと。
なお、完結を記念しましてジュンク堂池袋店でトークをいたします。
2018年02月13日(火) 19:30~ふるってご参加くださいませ。『J・G・バラード短編全集』全5巻完結記念 柳下毅一郎×牧眞司トークセッション
1960年代より世界的な広がりを見せたニュー・ウェーブ運動を牽引し、20世紀SFはもとより現代文芸においても独自の境地を拓いた、英国きっての鬼才作家バラード。
その生涯に残した98の短編を収録した決定版全集(全5巻)の刊行が完結いたしました。
完結を記念して、監修を務められた柳下毅一郎さんと、SF研究家・牧眞司さんのトークセッションを開催いたします。
お二人には、バラードのこれまでの足跡や、今回の短編全集の監修に当たっての裏話などを存分に語っていただきます。★入場料はドリンク付きで1000円です。当日、会場の4F喫茶受付でお支払いくださいませ。
※事前のご予約が必要です。1階サービスコーナーもしくはお電話にてご予約承ります。
※トークは特には整理券、ご予約のお控え等をお渡ししておりません。
※ご予約をキャンセルされる場合、ご連絡をお願い致します。(電話:03-5956-6111)■イベントに関するお問い合わせ、ご予約は下記へお願いいたします。
ジュンク堂書店池袋本店
TEL 03-5956-6111
東京都豊島区南池袋2-15-5
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関根元の埼玉愛犬家殺人事件にまつわる本がまた出てしまった!高田耀山『仁義の報復』は関根に舎弟を透明にされてしまったヤクザの組長が書いた本だったが、今度は三里塚闘争にも参加していた過去を持つ新左翼活動家崩れのルポライターといういかにもゴールデン街あたりに吹き溜まっていそうな作家だ。深笛義也『罠 埼玉愛犬家殺人事件は日本犯罪史上最大級の大量殺人だった!』(サイゾー)である。
埼玉愛犬家殺人事件においては、関根元と風間博子に死刑判決が出て確定、共犯者だった山崎は死体損壊の罪で三年服役した。関根が獄中死したのも記憶に新しい。さて、この事件にはいろいろと問題があるのだが、その最たるものが風間の役割である。風間は死体損壊遺棄は手伝ったものの、殺害には一切関与してないと一貫して主張している。だが、裁判では関根の証言に基づき、風間が殺人の共犯者と認定された。風間は現在も無罪を主張し、再審闘争を続けている。
筆者はたまたま風間の支援者と知り合いになり、膨大な裁判資料を渡されたことから裁判に興味をいだいたらしい。資料を読みこむうちに、検察の作ったストーリーの不自然さに気づいてしまう。つまり、風間は殺人のことなど何も知らず、事後従犯としていやいや死体損壊(透明にする!)につきあわされただけではなかったのか。山崎が語って有名になった、中村美律子を口ずさみながら死体を切り刻む風間の姿は文学的創作ではないのか。高田組の組長代行殺害の共犯は山崎ではなかったのか。もしそうだとしたら、誰が、なぜ風間が主犯であるというストーリーを作りあげ、なぜそれがまかりとおってしまったのか。
その意味で、事件の真のキーパーソンは埼玉地検の岩橋検事なのではないか……と筆者は岩橋検事に直接取材も試みる。さすがは元活動家だ! 風間の息子や二人のあいだの娘の率直な肉声も聞こえ、なかなかに興味深い。
「事件を知ってすぐに、風間が警察に相談をしていれば、判決はまるで違ったものになっていたかもしれないのだ。早い者勝ちで有利な判決が得られるなら、裁判とはいったいなんなのだろうか」風間博子はなおも無罪の訴えを続けている。
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ぼくがスキップ・ホランズワースの名前を知ったのはBest American Crime Writingsのシリーズを読んでいたときである。〈ニューヨーカー〉や〈エスクァイア〉といった雑誌に並んで、〈テキサス・マンスリー〉という地方雑誌の記事が再録されている。そこでメジャー雑誌にまさるともおとらぬ見事な犯罪ルポを書いていたのが〈テキサス・マンスリー〉のエース記者であるスキップ・ホランズワースだったのだ。簡潔な文体と行き届いた取材、意表を突くプロット。犯罪ノンフィクションのお手本のような名品ばかりである。多くは〈テキサス・マンスリー〉から出ているアンソロジーで読むことができる
そのホランズワース、初の長編ノンフィクションがようやく出版された。『ミッドナイト・アサシン』は一八八四年、テキサス州オースチンで発生した「アメリカ初の連続殺人事件」についての本である。疾風のようにあらわれて証拠を何一つ残さず消えてしまう殺人鬼、実はさる事件との関連が疑われることになるのだが……たいへん面白い本なので是非。ぼくは解説を寄せさせていただいております。
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東京創元社より刊行中の〈J・G・バラード短編全集〉第三巻『終着の浜辺』が出版されました。ようやく折り返し点を超えた! 代表作「終着の浜辺」や「溺れた巨人」など名作だらかですが、個人的にはバラードのUFO小説「ヴィーナスの狩人」が今あらためて読み直すとなかなかに興味深かったですね。なお、次巻はいよいよクライマックスで、怒涛の革命時代の到来です!
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キャサリン・ダンの『異形の愛』が河出書房新社から復刊されました。個人的にはJ・G・バラードの『クラッシュ』の次くらいに思い入れのあった翻訳なので、何よりも嬉しいことです。今はなきペヨトル工房から1996年に出版された翻訳でしたが、2000年のペヨトル解散とともに絶版、そのまま翻訳書の辺土をさまよっていた本がようやく復刊にこぎつけたという次第。ぼくがこの本を手がけることになった経緯は〈漫画アクション〉に書いたとおりだけれど、その後もとうてい書けないいろんなことがありました。まあ担当編集者が村崎百郎氏だったのだからね、そりゃあいろいろある。内容についてはくだくだ書くことはしません。知っている人は知っているでしょうから、届くべき人のところにはかならず届くことでしょう。
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