2008-05-14

隠し砦の三悪人 (2008)

 重たい腰をあげて見に行ったが、休憩時間に流れている主題歌を聴いた段階ですでに死亡。これはなんかのギャグなのか!?

 別に黒澤版と同じものを作れとは言わないが、オリジナルからの改変部分があまりに幼稚で泣けてきた。なんでこんな幼稚な映画しか作れないのか。しかもパクリ(これをオマージュとは言うまい)。独自要素はすべて『ロード・オブ・ザ・リング』と『スター・ウォーズ』からのパクリ(音楽までハワード・ショア風)。何が悲しくてダースベーダーを出さなければならないのか。大画面で『スター・ウォーズ』ごっこをするのが樋口の夢だったのか。だとしたらあまりに志が低すぎる。

 阿部ちゃんはまともな監督につけばちゃんと殺陣もできそうだった。だが刀がぶつかりあったところにCGで火花を足せば格好良くなると思ってるような監督ではなあ。宝の持ち腐れとしか言いようがない。

『どろろ』もそうなんだけど、要するに今の映画の作り手にとっては時代劇っていうのはすでにファンタジー世界なんだろうね。だからこういう幼稚きわまりない「戦国世界」が作れてしまうんだろうな。でも、残念ながらぼくは日本人なので、本物の時代劇の世界もちょっとは知っているのだ。

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2008-05-08

ねらわれた学園 制服を襲う (1986)

監督:渡邊元嗣 出演:橋本杏子、田口あゆみ

 新宿国際名画座で渡邊元嗣の幻の傑作を上映中だというので見に行く。気がつくと、最近ピンク映画しか見とらんなあ。

「あれは二月の寒い夜、ちょうど14になったころでした……」と未来(橋本杏子)のナレーションではじまると、中学生の橋本杏子と優しい教師との 初体験場面。だが未来が絶頂に達するや、教師は悲鳴をあげて悶絶。そう、父親の復讐の道具とされていた未来は「三段締め名器養成ギプス」によって交わった 男のペニスをへし折る脅威のマンコの持ち主になっていたのだった……その麻宮未来が不良女子高「愛染学園」に転校してきたところから物語ははじまる。

 というわけで展開するのは南野陽子の『スケバン刑事』シリーズの完全パロディ。何がすごいって劇中の効果音はおろか主題歌まで同じだ(ノンクレ ジットのキルビル方式)。深作のバカ息子が作った奴なんかより、はるかにきちんと愛にあふれるオマージュになっている。未来が最後の決戦に向かうと、行く手にライバル だった不良少女が待っていて、真っ赤な唐傘を広げて相合い傘になるときには、アイドル映画と東映任侠映画が奇跡的な合体を果たすのだ。

 当時20歳だった橋本杏子の美少女ぶりに萌える。なお、m@stervisionが愛にあふれすぎたレビューを書いているので、詳しくはそっちを。
 
 その後またもサッカーバー・フィオーリに出かけてACL クルンタイバンク戦。ダニーロ二得点にはなぜか店内で笑みがこぼれる。ダニーロは人を幸せにするなあ。

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2008-05-06

OP映画祭り2008 第三日

174okura0023115  さすがにGW三日つぶして連日上野オークラに通っていると、いかがなものかという気がしないでもない。なんだかものすごいダメ人間になったような気がする。映画は9本全部見たけど、さすがに箸にも棒にもかからないような映画はなかったか(内2本は再見)。旧作では2002年の荒木太郎作品、新作では加藤組が一番良かった。

 本日の上映作品は 『悩殺占い 巨乳摩擦(濡れ巨乳なぶり)』(98 小川欽也) 、『妻失格 濡れたW不倫』(06 渡邊元嗣)、『不純な制服 悶えた太もも』(08 竹洞哲也)の三本。竹洞組の新作は冒頭の疾走感は買うものの、そのあとは思いつきをいかせぬまま失速という印象。だってヤクザの金を奪ったカップルが北の海に逃げるってさあ……二人を追いかける「生け捕り屋」の設定に新味は出ているものの、それだけではきつい。俳優は全員好演。渡邊元嗣監督の『妻失格 濡れたW不倫』については以前書いたとおり

 小川欣也の98年作品は『悩殺占い 巨乳摩擦』の新版。風間今日子のピンク・デビュー作なのかな? 映画は小川監督がときどき作ってしまう素っ頓 狂なファンタジーで、稗田オンまゆらがカザキョンを操る「この世の者ならぬ」タロット魔女(なんかタランチュラの化身か何からしい)を怪演している(唐沢俊一がそれに対抗する陰陽師)。ものすごい怪演 で、クライマックスは稗田オンまゆらの絶叫とカザキョンVS杉本まことの獣のようなSEXがカットバックするのだ。何をやりたいのかはわからないながら無駄にド迫力。

 舞台挨拶では御年73歳の小川欣也監督の話がおもしろすぎる。きちんと話を記録に残しておかないとなあ。

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2008-05-03

OP映画祭り2008 第一日

New02 上野オークラでOP映画まつり2008と題してGWの新作ショーケース一大イベント。本日は新作含む三本上映+女優三名も登場するイベントということで場内も超満員の入り。

 本日の上映作品は
変態奥様 びしょ濡れ肉襦袢』(2002 山崎邦紀)、『 性犯罪捜査 暴姦の魔手』(2008 関根和美)、『女復縁屋 美脚濡ればさみ』 (2008 加藤義一)の三本。山崎邦紀監督の2002年作品は俳句ピンク(!)。『触覚』という句会を主催する変態俳師が弟子の女性をくすぐり責めにかけたり、スパンキングしたりしては「尻腫れて 輪廻転生 スペルマッ」みたいな謎の俳句を詠むというコメディ。面白いのだが、落としどころを間違っている印象。

 ピンク大賞受賞第一作となる加藤義一の新作『女復縁屋~』は大いに楽しむ。映画としてはどうということはないただのピンク映画で、脚本ももうちょっと練って欲しいところではある。たとえ ば平沢里菜子の役をただの悪女ではなく、コミカルなキャラクターにしていればもっと映画に厚みが出ただろう。それでも主演の村上里沙がとても魅力的に撮られてい て、佳作といっていい出来だった。まったく女優としてのタイプは違うのだが、なぜか林由美香のことを思い出してしまった。そういう演出をしているのだろうか? 平沢里菜子は相変わらず素敵に可愛い。そう言えばピンク大賞のときはブリブリな格好をしていて、ちがう!この女の本性はこんなんじゃないん だ!と思いながらも萌え萌え。

 加藤義一、好調を持続。なお、このイベントは5/7(水)まで(舞台挨拶は5/4まで)続いておりますので、みなさんお誘い合わせの上是非。ぼくもできるだけ通うつもり。

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2008-04-29

砂時計 (2008)

1006633_01 監督・脚本:佐藤信介 出演:松下奈緒、夏帆 公式サイト

 これ、主演松下奈緒のように宣伝されているのだが、話の八割は夏帆が出てくる過去の島根の話。夏帆の田舎暮らしか~と『天然コケッコー』を思い出してぽわわわとしているあなた、残念それは孔明の罠だ!

 時は一九九五年、事業に失敗した父親と別れた母に連れられて杏(夏帆)は田舎に帰ってくる。だがもともと繊細だった母は離婚のショックと閉鎖的 な田舎暮らしのプレッシャーで鬱病に。ついにある日ぶらりと山に出かけ、帰らぬ人になってしまう。以来杏は心を閉ざし、何かあるたびに不安に怯えて暮らす ようになる。友人がふらっと家出すると「お母さんのときと一緒だ!」と恐怖に震え、いきなり地面に沈み込むような不安の発作に襲われて卒倒してしまう。遠 くの方でピントの合わない黒髪の少女がゆらゆらしてる、とか完全にホラー映画の演出。恐怖のつるべ打ちにすでに夏帆の神経はボロボロ、完全なメンヘル女と 化して……

「こわい……わたしはきっと大悟(恋人)を堕としてしまう……」

 やがて大人(松下奈緒)になった杏だが、どうしても過去の恐怖から逃れられず、ついに婚約者から捨てられてしまう。思い出の島根の浜辺に一人立つ杏は、鞄から割れてしまった思い出の砂時計のかけらを手に、左手首をざっくりと……

 松下奈緒は駆けつけた昔の恋人大悟(ヤンデレにとりつかれたせいで人生を棒に振ってしまった男)に救われてプロポーズされるわけだが、どう見ても完全な共依存です。本当にありがとうございました。

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2008-04-27

少林少女 (2008)

1006139_01 監督:本広克行 出演:柴咲コウ 公式サイト 池袋シネマサンシャシンにて。

 初日にもかかわらず、客は50人ばかり。配給東宝、製作フジテレ ビ、監督本広克行、主演柴咲コウという最強の(最悪の)布陣でこの入り……本格的に邦画バブルの終わりを感じずにいられない。それともドラゴンの祟 りだろうか。劇中、一度でもブルース・リーの映画を見たことがある人にはとうてい許し難いシーンがあるので、思わずブルース・リーを舐めるな! と呟いてしまったのである。

 この映画、カンフーを舐めてるだけじゃなく、ラクロスに対してもたいがい失礼だと思われる(ゲームのルールすらわからない)。こんなのに協力しているラクロスU- 19日本代表チームこそいい面の皮だ。しかしそれよりもまず話の意味がわからない。これ、最大の敵が仲村トオル演じる悪の学校長なのだが、彼は「今時、売り物になるのは美だけだ!」とか言って、富士山麓にある大学の宣伝のために ラクロス部を強化しようとしているのである。で、素人ばかりのラクロス部(ここがすでに意味不明なのだが)に、少林寺で修行を積んだ柴咲コウが入部してくる(学生ですらないのに!)。彼女はものすごいパワーの持ち主だが、個人プレーに走ってチームは崩壊し てしまう。チームメイトに和の大事さを教えられた柴咲コウが何をするかといと…… 壁打ち

 それで協調性が身に付くのだろうか!? そしてチームが連戦連勝をはじめるや、仲村トオルが悪の本性を発揮して「あの女の大事にしているものをすべて壊せ!」と道場を焼き、師匠(江口洋介)を ぶちのめし……って柴咲コウが活躍すれば大学の宣伝になるんじゃないのかよ!

 あー、頭が痛い。終わったあと、前に座っていたカップルの男が「あー面白かった」と言ったのには本当に力が抜けた。これほど誰にも勧められない映画も珍しい。映画を見て怒りを感じるのが 明日への活力になるという人にだけお勧めします。

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2008-04-22

白衣いんらん日記 濡れたまま二度、三度 (1997)

Vol05 監督:女池充 脚本:小林政広 ポレポレ東中野のR18 Love Cinema Chowcase vol.5にて。

 なんという童貞ぶり(笑)。女池充のデビュー作だが、実に清々しいほどの童貞映画である。しみじみと思ったが、女池充って本来はまったく別の資質を 持った監督だったんじゃなかろうか。でも四天王世代の(というかサトウトシキの)強烈な抑圧によってなんか全然違う方に行ってしまったんだろう。この映画も なかなかいいところがあって、妙ちきりんな窓越しのダンスなんか、まさしく童貞的に泣ける名シーンである。あのまま童貞なラブロマンスで作ればなかなかの佳作になったんじゃないかと思うんだけど、なんかそこから本田菊次朗の話になっちゃって、サトウトシキの出来の悪いイミテーションみたいな……

 なんとなくわかってきた。ピンクの童貞映画時代はどうやら「七福神」世代からはじまるらしい。だがこの世代には四天王の抑圧が強かったから、どうしても童貞映画は作れなかった。抑圧がいい方に向いたのがいまおかしんじで、変に働いてしまった代表格が女池充なのではないか。そのあとの世代ののびのびとナイーブな青春童貞ピンクを見ていると、強くそう思わずにはいられない。

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銀幕版 スシ王子!~ニューヨークへ行く (2008)

監督・脚本・原作:堤幸彦 主演:堂本光一 公式サイト

 新宿ミラノ1で鑑賞。観客は30人ぐらい。なぜか老人が多かった。ミラノ座(定員1064名)で30人の老人と一緒にこの映画を見るというのがどんなものか、ちょっと想像してみていただきたい。

 映画を見ているあいだは本当に辛く、見終わったときには心底落ち込んだ。この映画が何を目指して作られたものなのか皆目わからなかったからだ。カンフー映画? しかし型を決めてポーズを作る合間はすべて早送りで飛ばしてまったく動きがわからない映像のどこにカンフーの快楽があるのだろう? 寿司の美学? アメリカ風のゲテもの寿司よりも江戸前の方がうまいってだけなら、映画なんか作るまでもない。コメディ? え、ひょっとして、あれギャグだったの?

 この無力感はほとんど『大日本人』を見たときに匹敵する。しかしあれはまだ松本氏の作家性の発露ではあったわけで、これはいったいなんなんだろうなあ。こんなもんが作られてしまってミラノ座でかかっていることに、誰も疑問を持たない映画界の現状にはほとほと頭が痛くなる。

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2008-04-21

第三回ガンダーラ映画祭

Chimpom  前日朝まで飲んでいたので眠い目をこすりながら下北沢LA CAMERAへ。

 今回、見ていちばんびっくりしたのがアート集団Chim↑Pomのビデオ。Death of Blackってパフォーマンスでは拡声器からカラスの鳴き声を流して群れを呼び集め、バイクの後ろに乗った少女が頭上高くにカラスの剥製を掲げて走ると、その群れが後からついてくる。騒がしく喚きながら飛ぶカラスの群れを引きつれ、東京の街を疾走する美少女! これは格好良かった。ついにカラスは日本政治を動かす影のフィクサーの……
 ピカチューも良かった。オレもピカチュー欲しい。

 その他の作品では松江哲明の『セックスと嘘とビデオテープとウソ』がもはや風格さえ感じさせる出来だった。松江母が作っていたレバー炒めが旨そうだったな。

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2008-04-05

四十路の蜜つぼ 男好きな肉体 (2008)

080404mitsutsubo 監督:荒木太郎 出演:浅井舞香、淡島小鞠、佐々木基子

 このところ煮え切らない作品が続いている荒木太郎だが、久々の快作か?と思わされる。冒頭、路上でいきなり全裸になって車を停める女→ダンプの上(文字通り上!)でのセックス→その女が足立区のガソリンスタンドで働きはじめるまでの五分くらいはまるでラス・メイヤー映画かと思うような強烈なテンションでいやがうえにも期待は高まるのだが、そのあとがどうもいけない。野上正義の父親に荒木太郎、淡島小鞠の兄妹三人でやっている家族経営のガソリンスタンドに女が波紋を引き起こす、という物語がどうもままごとみたいに見えてしまって……

 思うに最大の問題は熟女淫乱AV嬢である浅井舞香のキャラと、荒木太郎が書いた設定との齟齬にある。女は会う人ごとに「丈って男を知らない?」と問いかけ、あるいは「あたしは三十五の時に狂ったのよ……男狂いにね……」とひとりごちてみたり、あきらかにセックスの魔に魅入られて身を持ち崩してしまった女として描かれている。ならば身体の疼きがおさえられず片っ端から男をくわえこむにしても、それは嫌々流されるようなかたちであるべきだ。

 だけど実際のセックスシーンでは、あきらかに浅井舞香の方が楽しんでエロの空気を発散しているのである。おかげで女が流れていく話にどうも説得力がない。ぼくは浅井のAVは見たことがないのだが、これはどう見ても本人の資質の問題なので、結局のところ、荒木太郎には彼女のキャラクターを扱いきれなかったということになるだろうか。浅井舞香としてはもっとキャンプな映画の方が向いていると思われるので、ここは旦々舎を推薦しておきたい。浜野佐知さんとは気が合うのではなかろうか。

 今回、100円パンフが堀内満里子さんではなくなっていた。できたら次回作は堀内満里子にやってほしいんだけどなあ……

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2008-03-28

Girl Boss Revenge (1973)

51rcqt7cyyl_ss500_  鈴木則文監督作品『女番長』がアメリカでDVD化。昨年、監督のインタビュー取材をお手伝いしました。インタビューは20分ほどで、まあわりと一般的な話を語っています。聞き手がアメリカ人なんで、日本の則文マニアなら絶対に出てこない質問とか出てくるのがおかしいですが。ぼくが聞いていていちばん面白かった話(劇中の衣装はすべて池玲子はじめ出演者の少女たちが自分たちで買いそろえたもの)が入ってないのはちょっと残念でした(のでここでフォロー)。

 特典映像のプロデューサーは再度来日して、今度は松竹ものDVDの特典製作作業をしている。ぼくもボランティアで通訳などする羽目に。

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2008-03-25

人妻社長秘書 バイブで濡れる (2001)

Hitozuma 監督:渡邊元嗣 出演:時任歩、林由美香

『女優林由美香』を作りながら「ああこの映画見たい!」と思うことは多々あったのだが、中でももっとも見たかった一本。渡邊元嗣監督から提供されたスチルが実に素晴らしく、スチルだけで「どうしてもこの由美香さんを見たい!」と思わされた作品だ。衛星劇場で放映されていたので念願かなって鑑賞。

ヒロインは社長秘書の時任歩。リストラされた旦那はインポになってしまって、すっかり女を忘れた日々が続いている。そこに現れたのがメリー・ポピンズよろしくチャイナドレスにピンクの雨傘をさした謎のセールスウーマン福俵満子(林由美香)。「潤いを忘れていませんか?」と妙なバイブを押しつけて……

インポの旦那を回春させるため、満子は旦那の憧れの女優の姿で家を訪れる。旦那の憧れだった女優、それはもちろん1989年デビュー当時のブリブリアイドルAV嬢だったころの林由美香だ(ちゃんと当時の雑誌が登場する)。当時と少しも変わらぬ美しさで林由美香は旦那を誘惑する。これほど林由美香への愛に満ちたシーンがあるだろうか? 渡邊元嗣監督が「(はじめて会ったとき)世の中にこんなに可愛い女の子がいるのかと思った」と言っていたことを思いだす。つい昔のグラビアを引っ張り出してしばし回想にふけってしまった。

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2008-03-24

ドリラー・キラー (1979)

Drillerk31x1 監督、編集、主演:アベル・フェラーラ 出演:トニー・コカコーラ&ルースター

 吉祥寺バウスシアターの爆音オールナイト〈爆音聴力破壊〉に出かける。中原昌也セレクションで、『要塞警察』、『13回の新月のある年に』、『ゾンビ(アルジェント版)』の四本立て。だが、爆音上映にもっともふさわしいのは「最大音量で見るように」の注意書がついた『ドリラー・キラー』だろう。

 ビデオが出ればビデオで、DVDが出ればDVDで、これまでもあらゆるメディアで見てきた『ドリラー・キラー』だが、こんな大画面で見るのははじめて。感動した! 今日のイベントはほぼこれに尽きるというくらい素晴らしかった。ドリルを持った伊達男フェラーラが格好良すぎる。赤パンツでドリルを構えてポーズをつけるところが最高にお洒落。そしてドリルをぶちこむ前に、必ずきゅんきゅんと軽くまわして動作をたしかめ、タイミングをはかるところがまた最高。

 ホームレスだらけのニューヨークの風景はおそらく実景の隠し撮りで、そのドキュメンタリー的な迫力に主人公のささくれだった心情(電話代が払えないとか……!)がかぶってくるあたりに異様な迫力がある。売れないアーティストだったフェラーラの鬱屈がぶちまけられる破壊衝動に興奮するのは言うまでもないのだが、同時にどのシーンにも妙なユーモアがあったり(ホームレスとだらだらくっちゃべってるところとか)、あるいは巧みな日常描写(主人公とGFのまったく無意味な会話とか)も忘れがたい。初期衝動とユーモラスな演技が同居してるからこその傑作なのだと再確認した。

 なお、昼夜分かたず下手くそな演奏をつづけて、フェラーラがホームレスをドリる原因を作る二階のパンク・バンドを演じているのはトニー・コカコーラ&ルースターという謎のバンドなのだが、この日は山崎ナオコーラも見に来ていた。

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2008-03-19

VHSカフルーシャ (2006)

Vhs 監督:ナジーブ・ベルカーディー 出演:モンセフ・カフルーシャ 公式サイト 草月ホールのアラブ映画祭2008にて鑑賞。

 カフルーシャはチュニジア第三の都市、スースに住む45歳のペンキ屋。だが、彼には夢があった。憧れのクリント・イーストウッドのような格好いいアクション映画を作るのだ! カフルーシャは近所のビデオ屋(結婚式の撮影が専門)を雇い、行商のおばさんやアル中の浮浪者を集めてアクション映画を自作自演する。最新作は『アラブのターザン』だ!

 これはチュニジア版『アメリカン・ムーヴィー』とでも言うべき映画に狂った馬鹿を追いかけるドキュメンタリーである。カフルーシャの“映画”にはもちろん特撮もスタントもなく、すべてカフルーシャの自作自演だ。はくせいのヤギと格闘するカフルーシャの姿を笑うのはたやすい。だがカフルーシャがやっていることはすべて本物である。走行中の車によじ登るヤキマ・カヌットばりの大スタント。血糊の必要なシーンになると自分の腕を切って血を垂らし、悪党がヒロインの家を襲うシーンでは本当に家に火をつけて駆けつけた消防車を撮影する! ほとんど狂気に近い執念。

 カフルーシャ曰く。「憧れの国はイタリアだね! イタリアは素晴らしい映画の大国だからね。クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、バッド・スペンサー……」それは全部マカロニ・ウェスタンだ! 映画の製作者たちは実際にカフルーシャの映画をイタリアに持って行くのだが……この顛末は泣けるよ。

 上映はもあと一回、23日(日)の11:30からドイツ文化会館でありますのでお見逃しなく。

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2008-03-07

ヘアピン・サーカス (1972)

監督:西村潔 シネマヴェーラ渋谷にて。『弾痕』がプリント不良で『薔薇の標的』に差し替えになってしまったので、はからずも封切り時の二本立てが再現されることに。岡田英次がナチス第四帝国復活を願って加山雄三を殺し屋としてスカウトするという『薔薇の標的』も十分凄い映画だが、やはりここは『ヘアピン・サーカス』。

 自動車教習所の教官をつとめている元花形レーサーが、走り屋の小娘との出会いによってついにハンドルを握る……というシンプルなストーリー。主役を演じるのは本物の元レーサーだし、芝居らしい芝居もなく見せ場はほぼすべてカーレースなのだがもうこれが! 昔の映画を見ると「どうやったらこんな撮影ができるんだろう?」と思わされることがよくあるが、『ヘアピン・サーカス』も例外ではない。高速で車のあいだをぶんぶん抜いていくタイトル・バックにもう息を呑んでいたが、クライマックスでは横浜市内でカーチェイス、どうやったらこんな撮影ができたものか。ラスト、菊地雅章のジャズ・スコアが鳴り響く中で延々と続く公道カーチェイス。最初は教育的指導のつもりではじめたレースだが、やがて主人公とヒロインのレースは求愛のダンスのようになり、車は踊り、舞い、時空を越えて舞い上がる。永遠に続く刹那の幸福。

『デスプルーフ』でオマージュを捧げられた『バニシング・ポイント』のことを思い出さずにはいられないのだが、実際、単なる同時代性だけではなく通じる何かがあると思う。タランティーノに見せてやりたかったね。

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2008-02-20

三十路兄嫁 夜這い狂い (2000)

3a1  まあなんかの間違いで見てしまうということはあるだろう。あるいはピンク映画、または映画はすべて見るという欲望に駆られて見に行く人もいるかもしれない。でも、わざわざこんなものを見ようと思って劇場に出かけるような酔狂はぼくぐらいしかおるまい。日本でただ一人? いや、ということは世界でもぼく一人なのか? なんかすごいことをしているような気がしてきたが、たんに時間の無駄をしているだけのことである。

 前振りが長くなってしまったが、池袋シネロマンに『兄嫁の夜這い すすり泣く三十七歳』を見に行った。2000年の関良平監督『三十路兄嫁 夜這い狂い 』の改題版。『わいせつ女獣』を見てからというもの関良平作品の奇怪なる魅力から離れられなくなってしまったのである。その期待にたがわず、映画はすさまじくシュールな展開を見せる。

 ヒロインはフィリピン人ホステスのような顔をした寸胴の女、鈴木エリカ。なぜか片言の関西弁で喋る。ものすごく下手な主題歌があるのだが、ベッド際にレコジャケが飾ってあったところを見るとこの鈴木エリカが歌っているらしい。歌手でもあるのだろうか? 是非全曲聞いてみたいものだ。

 ミサ(鈴木エリカ)は相模原あたりのログハウスに住んでいる。ある日黙ってバスに乗って出過桁ミサは謎の男と抱き合っている……かと思うと家に帰ってきてネギを刻んでいる。実は「おっちゃん」と呼ぶ中年男の貞淑な妻なのだ。この映画、自由自在に登場人物の妄想と過去と現在とが切り替わるので、見ていてもそれが現実に起こっていることなのかただの妄想なのかまったくわからない(「現実」部分にもリアリズムはかけらもないので、すべてが妄想でもおかしくない)。きわめて難解きわまりない映画なのである。

「おっちゃん」はミサに、三年ぶりに弟が帰ってくると告げる。ミサと弟アキラとはかつて過ちを犯したことがあり、アキラはそのために家を出てしまったのだ。ところでミサの旦那は最後まで「おっちゃん」としか呼ばれないので、名前があるのかどうかもわからない。弟からさえ「おっちゃん」と呼ばれるのだ!

 ミサと弟を家におき、出かけた「おっちゃん」は高校生と援交の真っ最中。「どこか静かなところに行きましょ」と誘われた「おっちゃん」は車で河原に向かう(なぜだ!)。ひとりきり石投げして遊んだあと、今度は森の中で追いかけっこ。腹の出た「おっちゃん」が息を切らしてひいひい言ってると、女子高生は立ち止まってパンツを脱ぎはじめる。「あれ、おしっこしたいの?」(違うだろ!)さっしの悪すぎる「おっちゃん」も顔を胯間に押しつけられるとようやくその気になっていきなりその場ではじめる。「おっちゃん」と女子高生のセックスはカットが変わるたびにやってる場所が変わるシュールなシークェンスで、テトラポッドにつかまってやってたかと思うと神社に飛び、最後は稲刈りの済んだ田圃で超ロングの騎乗位。なんだかラス・メイヤー映画のようだった(編集・関良平)。

 そのころ、最初にミサと浮気していたバーテンは巨大な蝶々のイヤリングをつけた女をバーカウンターの上に横たえ、セックスの真っ最中だった。
「あの関西弁の女はどうなったの?」
「どうなろうとおまえには関係ないし、俺にも関係ない」
「だからあなたと付きあうと人は変わってしまうのね……あの女もいずれは」
 ロブ=グリエそこのけの茫漠とした会話を交わしていると、アキラとの再会で情欲に火がついたミサから電話がかかってくる。「ねえ、テレホンセックスしてくれない?」
「いいとも。今、ちょうど他の女を抱いているところだ」
……ってクンニしながらテレホンセックスは無理だから!

 ああ、謎のセックス・シーンとか奇妙なカメラ・アングルとか不思議な母乳とかに触れているヒマがなくなってしまった。ドリス・ウィッシュマン+ラス・メイヤーともいうべき、ある意味今年見た中でいちばん凄い映画である。ぼくがピンク映画を見始めたきっかけのひとつ、他のどこにもない映画表現を求める探究心はまちがいなく満たしてくれる映画であった。

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2008-02-19

21世紀の日本映画

07198540  アエラムック『ニッポンの映画監督(AERA MOVIE)』で、アンケートを依頼された「21世紀の日本映画」ベスト10が発表されています。ぼくの投票は以下の通り。

  1. 『回路』(2001 黒沢清)
  2. 『たまもの(熟女・発情 たましゃぶり)』(2004 いまおかしんじ)
  3. 『IZO』(2004 三池崇史)
  4. 『理由』(2004 大林宣彦)
  5. 『変態未亡人 喪服を乱して』(2003 山崎邦紀)
  6. 『害虫』(2002 塩田明彦)
  7. 『恋する幼虫』(2003 井口昇)
  8. 『人斬り銀次』(2003 宮坂武志)
  9. 『ロスト・ヴァージン やみつき援助交際』(2002 サトウトシキ)
  10. 『LOFT』(2005 黒沢清)

コメント
 なぜかこのアンケートが実写作品に限定されているので挙げられないが、21世紀の邦画を語りたいならまず何よりも挙げられるべきは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001 原恵一)である。

 全体の結果についてはムック本誌の方で。

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2008-02-09

地獄のローパー 緊縛・SM・18才 (1986)

監督・脚本:片岡修二 出演:下元史朗、早乙女宏美

 片岡修二のたぶん最高傑作であるところの一本。『SMクレーン宙吊り』と改題されて浅草世界館で上映中なので見に行く。

 下元史朗演じるは“悪魔のサディスト”地獄のローパー、投げロープでどんな女もあっという間に亀甲縛りにとらえ、吊して引っ張ったロープをピン!とはじくと女はたちまち喘いで陥落……どんな女もたちどころに調教するアイパッチをした最強のサディストなのである。ローパーはさる男の依頼を受け、女暴走族“ボンバーズ”のアジトに潜入する。ボンバーズのリーダー、真知子にさらわれて監禁逆レイプされていた恋人を救い出すためだ。ローパーは難なく少年を救いだすが、真知子はローパーの調教が忘れられず彼の元を訪れて……

 もう片岡修二も下元史朗もノリノリで撮ってたのがよくわかる一本で、いきなり聖書を引用してみたり(「欲孕みて罪を生み、罪成りて死を生む!」)、さる名作のパロディがはじまったり、ギャグもやりたい放題なのだが、どれも滑らないあたりが絶好調時の勢い。クライマックスはタイトルにもなっている「クレーン宙吊り」なのだが、もはやSMの興奮などどこにもなく、『ビックリ日本新記録』でも見ているかのようなあっけらかんとした感動に包まれる。記録、それは儚い……

 その後『やりたがる女4人』(07 深町章)を見てあまりのことに死亡。気がついたら場内にいたのはオレ一人だった……

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2008-02-08

ポストマン (2008)

Photobig_11 日本のすべての郵便局員に捧げる -- 一茂

監督:今井和久 主演&製作総指揮:長嶋一茂 公式サイト 三月公開

 一茂、何がおまえをそうさせるのか? なぜかいきなり製作総指揮まで勤めてお送りする日本郵政株式会社PR映画。ケビン・コスナーは出てきませんが西川善文日本郵政社長は出演しています。

 長嶋一茂は房総半島の先の方の郵便局の一配達員、雨の日も槍の日も、「会えなくても、郵便さえあればつながっている」の思いを胸に、愛用のバタンコ(配達用自転車)を駆って郵便を届けつづける。三年前に妻を亡くし、中学生の娘(北乃きい)と息子の三人暮らしだ。職場ではダラダラ仕事をする今時の新人に「ゆうメイト」の心得を叩きこむ。「俺たちが届けるのは、郵便だけじゃない、その人の気持ちも運んでるんだ……!」

 そんなある日、毎週かならず青い封筒で決まった相手に手紙を出す老人(犬塚弘)の家に行った一茂は、老人が倒れているのを発見する。窓ガラスを叩き割って老人を救い出し、病院にかつぎこんだ一茂は、老人の書いた今週の手紙が出されずじまいになっていることを知る。「…手紙が来ているうちは無事だって証拠だからね…」老人の言葉を思い出した一茂は…「この手紙が届けば、あの人は死なない!

 一茂は小田原の宛先住所へ向かって一路バタンコを駆る! 走れ、一茂!

 …と書くとてっきり冗談だと思うでしょうが、本当にこういう映画です。世の中にはいろいろな映画がある。

 それにしても原沙知絵の代用教員、トレーナーの勉強するために米国留学するとか言ってたが、それより一茂の異常な体力の謎を研究した方がいいと思うよ!

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2008-01-27

Welt am Draht (1973)

Weltamdraht2 監督・脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 出演:クラウス・レーヴィッチェ

 原作はダニエル・F・ガロイの『模造世界』。エメリッヒが作った『13F』と同じ原作に基づく(リメイクではない)。ファスビンダーがドイツのテレビ局で作ったSFドラマで、前後二回シリーズで四時間という代物。以前から見たいと思っていたのだが、最近ようやく入手できた。

 スーパーコンピュータでシミュレーション社会を作る実験をしていた研究所長ヴォルマーが急死した。後をついだスティラー(クラウス・レーヴィッチェ)の目の前で、警備局長ラウセが突然姿を消す。だが、ラウセなんていう人間は最初からいなかった、と研究所の人々は声を揃えるのである。

 SFXを使わない、いわば『アルファヴィル』タイプのSFなので、出てくるのは普通の街角。やたらと鏡を使いまくり、鏡の反射と実像で切り返したりするファスビンダー流の映像マジックが全開する。すべてが反射で実像は存在せず、人はつねに鏡や窓の枠の中に入っている。もちろんそれはこの物語が人造社会、人の作った模造世界の話だからである。

Weltamdraht_neu  物語自体は後半ただのアクションものになってしまい、主人公の実存不安まで行かないところが残念。広いカフェやオフィスを借り切って、人がいない中で延々と長回しの芝居を撮っているのを見ていると、なんとも贅沢な撮り方だな……という気がしてくるのは倒錯しているのだろうか。たぶん今ならCGを使って短いカットで細切れの映画を作る方が、はるかに安くあがってしまうはずだ。

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2008-01-23

すみれ人形 (2007)

05 監督・脚本:金子雅和 公式サイト

 映画美学校の卒業制作として作られた自主映画作品。行方不明になった妹を追い求める腹話術の男。二人羽織のストリップが妖しくも美しい。

 正直なところ、まだ整理が足りないんじゃないかと思えてしまう部分もあるのだが、いくつかのキー・イメージはすばらしく鮮烈。できたら16ミリで撮ってほしかった(撮影が大変頑張っているのはわかるだけになおさら)。是非とも畸形への偏愛を突き詰め、日本のホドロフスキーを目指していただきたい。

 今週末からアップリンク・ファクトリーでレイトショー公開

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2008-01-22

銀色のシーズン (2008)

0_36858300_1175791450 監督:羽住英一郎 出演;瑛太、田中麗奈 公式サイト

これ、実際に見ないかぎりとうてい信じられないような物語。そういうわけなんでネタバレします。 嫌な人は読まないでください。



 さて、瑛太が演じているのはモーグルの元ワールドカップ選手だったが、ジャンプの失敗で大怪我を負って以来競技を離れてゲレンデで当たり屋をやってい る山猿雪猿。彼の住む桃山村は村おこしのために氷ブロックでチャペルを建て、「ホワイトウェディング」として売り出そうとしている。ホワイ トウェディング第一号としてやってきたのが田中麗奈。スキーマニアの婚約者が申しこんだというのだが、自分は雪を見るのもはじめて。えっちらおっちら下手 くそな練習してるところを瑛太に目をつけられ、個人レッスンを受けることになる。

 さて、そんなある日、白馬の山頂からスキーで滑りたいと思った瑛太は、バズーカ砲(!)を取り出して向かいの山に向けて射撃する。表層雪崩を起こして、そのあとを滑ろうとい う寸法だ。だが、その弾は見事氷のチャペルに命中! チャペルは崩壊して結婚式はできなくなってしまう。村人たちは慌てて田中麗奈の実家に連絡するが、実 は田中麗奈の婚約者は半年前に死んでいたことが判明する。田中麗奈は「すいませんでした…」と大金置いて姿を消す。

 最後は瑛太が隣のスキー場で開かれた大会に参加し、飛び入りで滑って転けてでも立ち上がって (半年前に死んだ婚約者が忘れられず偽の結婚式までしようとした)田中麗奈とラブラブになっておしまい。いやーすごかった。ちなみに瑛太が自分が破壊した チャペルに行って、直すのかと思ったら残骸の氷レンガを投げ捨てたのには笑った。村おこしの費用がすべてパーになってしかもキャンセル料その他で大 借金を背負ったであろう桃山村が倒産するのは間違いないことでしょう。

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2008-01-19

2007年映画ベスト10

映画秘宝のベスト10発表号が発売になったんで、ぼくのベスト投票をここに転載しておきます。

  1. 〈グラインドハウス〉(07 クエンティン・タランティーノ+ロバート・ロドリゲス)
  2. 〈ラザロ〉(06 井土紀州)
  3. What is it? (05 クリスピン・ヘリオン・グローヴァー)
  4. 『狂気の海』(07 高橋洋)
  5. 『高麗葬』(63 キム・ギヨン)
  6. 『ブラックブック』(06 ポール・バーホーベン)
  7. 『コロッサル・ユース』(06 ペドロ・コスタ)
  8. 『転校生~さよならあなた』(07 大林宣彦)
  9. 『アポカリプト』(メル・ギブソン)
  10. 『奴隷』(07 佐藤吏)

 タランティーノに映画の魂を見た。なぜ70年代の低予算アクション映画があんなに我々の心をとらえるのか、その答えをタランティーノが教えてくれた。あの性急さと御都合主義、生々しい肉体活劇の中にこそ映画の本質である何かが眠っている。〈ラザロ〉や『狂気の海』もまた、低予算であるがゆえに映画の魂を掴みえたのだ。まこと金持ちが天国に入るのは難しい、とイエスが言うとおりである。

 ワーストやらは本誌の方を見てください。全体投票は、なぜ〈グラインドハウス〉の票をまとめなかったのかわかりません。梅澤くん(童貞二号)の驚異の大躍進に笑う。

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2008-01-17

ラスト、コーション (2007)

監督:李安 主演:トニー・レオン、湯唯

脇毛、がっかりおっぱい、麻雀……あとなんだろ。反日? まあそういう感じの映画。

これ、よく考えたらマゾヒズムの話なんだなあ。主演がトニー・レオンだったりするので、なんとなく「男の虚無的な影に惹かれ……」みたいな印象に なっているけれど、原作では「狐のような顔をした男」つまりれっきとしたキモメンらしい。売国奴のキモメンにスパイとして身を捧げる女スパイがマゾヒスト としての本性にめざめる……という話なのだろう。でも、アン・リーって本質的に変態じゃないから、どうもそこの勘所がわかってないよね。

この映画もどうやら『汚名』をイメージしているようで、実際劇中に『断崖』のポスターが出てきたりするんだけど、ヒッチコックはまごうことなき変態で、『汚名』は完全にマゾヒストの映画だからね。

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2008-01-06

鬼輪番 (1974)

監督:坪島孝 出演:近藤正臣、荒牧啓子、佐藤慶 原作:小池一夫

 ラピュタ阿佐ヶ谷の〈岸田森特集〉にて。タイトルは「おにわばん」と読む。地獄の特訓で鬼神のように強くなった「お庭番」のこと。小池一夫イズムだなあ。

 近藤正臣はじめ五人の少年少女は地獄の特訓で鬼と化す。これ、90分ないくらいの映画なのだが、鬼になるまでで三分の一以上使っている。どう考えても長いのだが、こ れが全然ダレない。毎回スーパーヒーロー映画を見るたびに「スーパーヒーローものにオリジンは要らない(=ヒーローになったところから話をはじめればい い)」と言っているのだが、オリジンと特訓は違う。映画には特訓がなければならない!

『あずみ』そこのけの特訓で仲間はどんどん死んでゆき、最後に残ったのは五人。卒業試験は忍者であるからして当然セックスだ。「おまえたち は攻、防の術は学んだ。あとは探の術じゃ!」というわけで五人の紅一点小坊師は処女を奪われた上、童貞だった仲間四人に次々に犯される。童貞喪失した兄弟 たちは切れぬ絆を結んで「親鬼」たちに反抗するのだ……これぞ小池イズムというものだ! 『あずみ』ももうちょっと小池イズムがあれば面白くなったのにね。

 ちなみに五人の「鬼」は紀州公の謀反の根を断つために陰謀を紀州に潜入するのだが、「裏の裏をかくのだ」と言っていちばんバレやすいやりかたで侵入を試みる。いやそれ隠密行動の意味何もないから!

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2007-12-27

日本映画縛り首大賞

『映画秘宝』で好評連載中の「日本映画縛り首」で、年末を迎えるにあたって今年のワースト邦画を決めようということになった。少なくとも『週刊文春』の「きいちご賞」よりはきちんと(駄目)邦画を見ている自信がある我々だが、激論の末決定した本年度最悪邦画ノミネートは以下の通り。

第1回 はくさい映画賞(田野辺尚人命名) ノミネート作品

[最低作品賞]

  • 『大日本人』
  • 『ミッドナイト イーグル』
  • 『どろろ』
  • 『恋空』
  • 『ラストラブ』

[最低監督賞]

  • 原田眞人(『伝染歌』『魍魎の匣』)
  • 行定勲(『遠くの空に消えた』『クローズド・ノート』)
  • 塩田明彦(『どろろ』)
  • 愚・スーヨン(『THE 焼肉 MOVIE プルコギ』)
  • 北野武(『監督・ばんざい!』)

[最低主演男優賞]

  • 大沢たかお(『ミッドナイト イーグル』『Life~天国で君に逢えたら』)
  • 田村正和(『ラストラブ』)
  • 織田裕二(『椿三十郎』)
  • 堤真一(『ALWAYS 続・三丁目の夕日』『魍魎の匣』)
  • 松田龍平(『THE 焼肉 MOVIE プルコギ』『伝染歌』)

[最低主演女優賞]

  • 伊東美咲(『ラストラブ』『Life~天国で君に逢えたら』)
  • 竹内結子(『ミッドナイト イーグル』『クローズド・ノート』『サイドカーに犬』)
  • 柴咲コウ(『どろろ』『舞妓Haaaan!!!』)
  • 黒木瞳(『怪談』『魍魎の匣』)
  • 安藤サクラ(『風の外側』)

[最低助演男優賞]

  • 高橋ジョージ(『恋空』)
  • 石黒賢(『未来予想図』『ミッドナイト イーグル』)
  • 伊勢谷友介(『伝染歌』『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』)
  • チャン・チェン(『遠くの空に消えた』)
  • 津川雅彦(『蒼き狼 地果て海尽きるまで』)

[最低助演女優賞]

  • もたいまさこ(『めがね』)
  • 木村佳乃(『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』『伝染歌』)
  • 桃井かおり(『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』)
  • 長谷川京子(『愛の流刑地』)
  • 鈴木杏(『監督・ばんざい!』『椿三十郎』)

 厳しい競争を負けぬいたより抜きのノミネートから、最悪映画に選ばれるのはいったいどれなのか!? 受賞作は2008年1月21日発売の『映画秘宝』3月号で発表!

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2007-12-25

Sayuki Matsumoto in Hideo Azuma's "Chocolate Derringer"

監督・脚本 杉作J太郎 原作 吾妻ひでお 主演 松本さゆき、ロマン優光

制作 男の墓場プロダクション

 土曜日深夜、中原昌也と飲んでいたらギンティ小林から電話が入る。
「柳下さん、明日昼間空いてますか?」
「いやまあ空いてるけど……」
墓場へようこそ!
……というわけで松本さゆき主演吾妻ひでお原作墓場超特作『チョコレート・デリンジャー』に出演することになってしまった。大部屋の一人として阿呆面をさらしております。撮影には二日ほど参加したけれど、脚本は思いがけずに面白く、松本さゆき嬢はチョーかわゆく、ロマン優光は吾妻ひでおが描いたとしか思えないキャラを体現、杉作監督の大蔵貢イズム(「テスト一回、ハイ本番」)もますます冴えわたり、墓場プロ最高傑作となるのは間違いない。映画は来春にも完成、公開予定なので乞うご期待!

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2007-12-18

変態穴覗き 草むらを嗅げ (2007)

Kusamura 監督・脚本 山崎邦紀  出演 香咲美央、荒木太郎、風間今日子 あらすじ

 ヘロドトスの『歴史』に登場するリュディア王カンダウレスがモチーフ。カンダウレス王は自分の妻があまりに美人だったので他人に自慢したくな り、王妃が服を脱ぐところを護衛のギュゲスに覗かせる。恥辱を感じた王妃に命じられたギュゲスは王を殺し、新たにリュディア王の地位を継ぐ。ちなみにここ から転じて自分の恋人が他人とセックスするのを見て悦ぶ倒錯を「カンダウリズム」というそうです。今風に言えば「寝取られ萌え」か。

 まあヘロドトスをモチーフにしたピンク映画という時点ですでにありえない話なわけだけど、それにパンストフェチで着ぐるみを着ているレズビアン (里見瑤子)が加わって物語はさらに混沌と化す。気になったのは窃視症であるカンダウリズムと、触覚を求めるフェティッシュとは基本的に食い合わせが悪 いのではないかということである。その疑問は最後まで解消されないまま終わってしまった。

 ヒロインの香咲美央はなかなかキュートでよろしかった。あと、オーピー出演の吉岡睦雄をはじめていいと思ったな。あのケーハクそうなところをうまく使っていて。

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2007-12-16