2015-08-25

世界の辺境とハードボイルド室町時代

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 高野秀行×清水克行の『世界の辺境とハードボイルド室町時代』という本の見本をいただいた。中世日本文化研究者の清水氏と『謎の独立国家ソマリランド』などでおなじみ高野氏の対談本である。honzで内容紹介のページがあるので、ちょっと見てもらうといいかも。
 ところでこの中

高野 室町時代の日本人とソマリ人が似ているというツイートがあって、清水さんの『喧嘩両成敗の誕生』(2006年、講談社選書メチエ)を読んでみたら、本当にすごく似ているんで、びっくりしました。ちょっとかぶりすぎなぐらいですね(笑)。

 と書いてあるではないか。つまり高野氏と清水氏を引き合わすきっかけを作ったツィート主がいたわけだ。なかなか慧眼な人がいたもんだなあ……と思うよねみんな。
 そこでこのツイートを見るとなんとびっくり! この関係に最初に気づいた人というのはこのオレではないか! すごいぞオレ! いや、まあたまたまこの二人両方の愛読者だったってだけなんですけどね。本当に偉いのは高野さんの担当編集者だった(本書の編集者)人である。でも、この素晴らしく面白い本が生まれるきっかけになったとすればこれにまさる喜びはない。ぜひ、みなさまも読んでみてください。


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2013-01-01

あけましておめでとうございます。

年末に、合羽橋道具街というところに行ってきたんですよ。
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で、こういうものを買ってきたんです。
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こんなものを出してきてですな(本当は一升瓶がいいんだけど、近所のカクヤスで買うとパックになっちゃうのね)、なみなみと注ぎます。
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受け皿もあるんで、あふれるまで。するとそこに
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こういうものが出てくるわけですよ。で、梅エキスをちょろっとたらすといい色に染まってね。
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いやーたまんねーなこりゃもう。というわけで今年もよろしくおねがいいたします。

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2012-11-29

柳下毅一郎の皆殺し映画通信

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唐突ですが、Webマガジンをはじめることにしました。

柳下毅一郎の皆殺し映画通信というタイトルで、毎週更新予定です。中身はもちろん邦画のレビューです。みなさんが知らない恐ろしい日本映画の世界をレビュウしていきます。タグマ!から発行することになりました。

まあ、これまで思いつきでやっていたことを有料Webマガジンでやろうということです。そう、申し訳ないけど有料です。月¥315。本当は無料にすべきなんでしょうが、なんせ仕事にしないと手が動かない体質なので申し訳ないですがお付き合いください。コーヒー一杯分くらいには楽しめるものにするつもりです。当座はぼくのエントリが中心になりますが、今後はいろいろネタを増やしていくつもりなので、お楽しみに。

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2012-07-22

二度とデルタには乗らない

 デルタ・エアラインには羽田深夜発のロサンジェルス便がある。12時半だかに羽田を発つので、寝て起きればアメリカに着いているという。たいへん便利なフライトである。大学の授業を終えたあと、飛び乗るとちょうどいいタイミング。というわけでサンディエゴのコミコンに行くために、そのチケットを取ったのである。

 アメリカで会った友人にはさんざんぱら「2012/07/17/needles-found-in-turkey-sandwiches-on-delta-flights/">デルタの機内食に釘が入ってたらしい」「オーヴァーブッキングをくらった友達が居るんだけど、その処理があまりに淡々と慣れていて、逆にヤバイんじゃないかと思った」「三、四時間の遅延は当たり前で騒ぎにもならない」とか滅茶苦茶なことを言われて脅かされていたのである。だが行きはなんの問題もなかったし、別に気にしないで帰りの飛行機に向かった。木曜日の深夜1時LAX発である。

 11時頃、空港についてみると、どうも自分の前で揉めている。話を聞くと「フライトがキャンセルになりました」「!?なんで?」「燃料の問題です。フライトは今日の午後5時になります」で、終わり。

 どうも「燃料の問題」というのは切り口上のようで、地上係員もよくわかっていなかったらしい。たぶん到着便が遅延して、整備が間に合わなかったのではないか。ホテルも出さなければ移動手段もない。しょうがないのでその日は友達の家に泊めてもらうことにして、自力でロサンジェルス市内まで移動。

 木曜日午前、ちょっと早めに空港に向かってチェックイン。今日は飛ぶというので一安心し、ターミナルで時間をつぶす。ボーディング・タイムが来て乗りこむ。離陸時間になって……飛ばない。

 いや、一時間くらいの遅延は当たり前のことだった。落ち着いて待つしかない。一時間半……二時間……アナウンスによると、どうやらエンジンのトラブルらしい。気になったのは、機長からのメッセージでは「メカニックと話しましたが、あと40分くらいかかりそうだということです。ご不便をおかけしてたいへん申し訳ありません。新たな情報が入りましたらすぐにお伝えいたします」と言ってるのに、キャビン・アテンダントの日本語の説明では「機長よりのメッセージをお伝えいたします。すべての調整が完了いたしましたので、まもなく離陸いたします」になってしまうという。知らしむべからず、寄らしむべし、という奴だろうか。なんとなく、原発事故のときの政府の広報を思い出したりした。

 結局、三時間ほどたって、ようやく修理が完了する。やれやれ……エンジンがかかり、ゆっくりと滑走路に出て、離陸の順番を待ち……待ち……待ち……「申し訳ございません。修理箇所のエラーランプが消えませんので、もう一度待機場所に戻らせていただきます」

 というわけで飛行はキャンセルになってしまったのだった。冗長性の問題を考えずにはいられなかった。オーヴァーブッキングぎりぎりまで乗客を押し込むデルタには、我々が乗り換えるべき飛行機などあるわけがなかったのだ。冗長性のないシステムはいずれ破綻せずにいられない。係員の話だと、この日、デルタは四便がキャンセルになったらしい。一日に四便もキャンセルが出るというのは何かがおかしいと言わざるを得ない。

「荷物をチェックインなさった方は、受け取ってから再度代替便のチェックインをなさってください」だから荷物受け取り場所に行ったよ。荷物が出てくるのを待って……待って……待って……諦めたころになって出てきた! でもこういうときに限って荷物をふたつ預けていたのだった。あと一個……でてこい……出て……こい……すでに真夜中をまわり、金曜日になっている。あきらめて再チェックインを試みると、金曜日のデトロイト便がブックされていた。デトロイトまで飛び、そこからデトロイト発の羽田行きに乗るという考えられない遠回り。なんと20時間もかかる。普段なら怒り狂って変更を要求するところだが、もう呪われたLAXターミナル5から出るためならなんでもいいという気分になっている。なんせ、この日は11時からずっとこのターミナルにとらわれているのだ。スピルバーグの映画かという気になってきたよ。

 金曜日、LAXに来てみると、迷子の荷物はすでに羽田に向かっているという。朗報なのかもしれないが、デルタ係員の言葉を何一つ信じられないオレを誰が責められよう。こっちの怒りに満ちた詰問に、デルタの係員は混乱してしまいに「も、もっとゆっくり喋ってください」とか言い出す始末。いやオレの英語が悪いんだけど。

 別にデルタの係員を責めたいわけではない。まちがいなく、彼らは自分の仕事をしていただけである。だがその結果は誰も責任をとらない無責任のかたまりだった。誰一人、このとんでもないトラブルに巻き込まれた客に真剣に対応してくれなかった。キャンセルで飛行機から降ろされた客が再チェックインのために行列を作っている前で、カウンターの女性は時間が来ると帰ってしまうのである。

 金曜日の午後七時、デトロイトに到着した。一時間のきわどい乗り継ぎをこなし(デトロイト発が予定通り遅延だったので余裕だった)、金曜八時の飛行機に乗ると、土曜日の十時半に羽田に到着した。もちろん荷物は来ていなかった。LAから70時間近くを費やして東京に帰り着いた結論はこういうことである。神かけて(オレは無神論者なんだが)、二度とデルタには乗らない。


7/22追記:迷子の荷物は無事発見され、家に届けられました。到着時間から言って、「羽田に送ったよ」と言われたときにはまだLAXのどこかにあったのは間違いないのだが、それは問わずにおこう。デルタ係員のみなさま、ご苦労さまでした。だからって、二度と使わないという決意は微塵も揺らがないけどね!

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2012-02-28

ベスト・オブ・映画欠席裁判

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 洋泉社より出ておりました伝説の映画漫才町山智浩との共著である『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』がついに文庫化されることになりました。題して『ベスト・オブ・映画欠席裁判』(文春文庫 3/4発売予定)。既刊三冊からのベスト集成ですので“よりぬきFBBさん”と覚えてください。今読みかえすと「何もかも懐かしい……」って感じですわ。

 この刊行を記念して、ひさびさにLoft+1でイベントもおこないます。題して文藝春秋presents
「帰ってきたファビュラス・バーカー・ボーイズ!」

文春文庫より『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』文庫版が発売。既刊3冊からのベスト集成は500ページを越える圧倒的なボリューム! 博覧強記の二人による「日本最高峰の映画悪口芸」がプラスワンに帰ってきた! 

【出演】町山智浩(映画評論家)、柳下毅一郎(特殊翻訳家)
【ゲスト】平山夢明(作家)、三留まゆみ(イラストレーター)、高橋ヨシキ(デザイナー)
【司会】多田遠志(ロフト秘宝番、ライター)

3/28(水) OPEN 18:30 / START 19:30
前売¥1500 / 当日¥2000(共に飲食代別)
※前売券は3/2(金)よりローソンチケットにて発売!!
【Lコード:31537】

満員札止めが予想されますのでどうしても来たいという方は前売り券のゲットをおすすめします。ではloft+1で町山と握手!

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2011-03-20

平常運転

 いろいろありましたがつとめて平常運転中。いろいろ考えないわけではないけれど、結局、我々はこれまでの営みを続けていくことしかできない。『ヒアアフター』上映中止は残念だけど、まあ仕方ないとも思う。今あの映画を平静に見られる人はいないだろう。可能なら一年後くらいに見直せばいいんじゃないか。優れた映画は一年後に見たってやっぱりいい映画なのだから。
 とは言え、blogを再開するにはまだいろいろ思うところが多いので、とりあえず、二週間ほど前に書いた原稿だけアップしておきます。

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2011-03-01

ハリウッド・バビロンI&II

Hollywood Babylon (Japanese edition)
 ケネス・アンガーの歴史的名著『ハリウッド・バビロン』 III がパルコ出版より復刊されました。復刊にあたって、新しく解説を寄せています。個人的にはもっとも影響を受けた映画本のひとつですから、そこに解説を書ける喜びといったらありません。個人的には海野弘の序文も入れてほしかったですけどね。

 今度のバージョンはぺーバーバックサイズで、その分分厚い! 判型が小さくなってしまったので、旧版のように写真を楽しんでもらうことはできないのが残念です。まあ、その意味では旧版の価値も変わらないわけで、古本屋も喜ぶ復刊でいいんじゃないかな!

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2010-12-30

天皇杯準決勝 鹿島2-1FC東京@国立霞ヶ丘競技場

 気がつくと今年は鹿島の試合を見に行っていなかった。最後の最後に滑りこみである。やっぱりどのスタジアムよりも国立がいちばん落ち着く。席はもちろんバックスタンド。

 試合は前半、FC東京の動きが良く、ガツガツこられて引いてしまう。パスは回るんだけど突破がなくて、まるで日韓戦みたいなゲーム。つい受けちゃって、両サイド(リカルジーニョ!)をガンガンやられて、しまいに平山に一生に一度みたいなスーパーゴールまで決められてしまう。

 ボールは持てても二列目からの突破がないんで、相手のゴール前で横パスばっかり。やっぱドリブルで切りこむ選手がいないと……本山がいれば……というところで満を持して本山投入。いきなりサッカーが変わってしまった。ヤス(遠藤)もなかなかいいとは思うんだが、まだまだあそこまではいかないねえ。興梠はどうも裏を狙うんじゃなくて引いてボールを受けようとすることが多く、どうなのかと思わずにはいられなかった。なんかそこら辺が今年カウンターが効かなかった理由なんじゃなかろうか。ポストは大迫にまかせて、ひたすら裏を狙いつづける方が相手にとっても嫌だと思うんだけどね。

 本当だったら90分で決まってたはずだと思うけど、サヨナラゴールで劇的勝利。東京サポの友人から元旦のチケットも譲ってもらった。ACL行くぞ!

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2010-07-30

Garth Yanashita presents SHOCKSPLOITATION!

 きっかけは、宇川直宏くんから「DOMMUNEで映画番組やってくださいよ。エクスプロイテーションな見世物的な奴」と頼まれたことである。「タイトルどうしますか?」と聞かれたので。「じゃあShocksploitation!にしようか、あまりショックもエクスプロイテーションもないと思うけど」と答えたのがつい先週のこと。そしたら

作家の村崎さん、自宅で殺される 警視庁、容疑者を逮捕

 ただ、呆然。一回目の番組は町山とやることに決め、中身もいくつか考えてはいたのだが、そんなものはすべて吹き飛んでしまった。町山と相談の上、根本敬に連絡を取ると快諾を得る。この辺の流れ、ほとんど奇跡的と言いたくなるほどに、嘘のような星の巡り合わせで全員の出演が実現した。なんというか、今回ほど「因果」という言葉を強く感じたことはない。

 そんなわけで、急遽村崎百郎追悼番組となった7/26(火)のdommune第一回放送。まさしくShock!でExploitation!な放送になってしまった。さまざまな意味で奇跡的な放送だったが、これが奇跡ならそんな奇跡など要らなかった。ただただ残念なばかりである。でもまあ、この放送がうまく立ちあがるように、村崎くんが地獄から手を回してくれたんだと思うことにしよう。なお、番組は今後、二ヶ月に一回くらいのペースでゆるゆると続けていく予定です。何度も言ってるけど、ぼくは宇川くんとDommuneはネットと放送を変えた存在として歴史に残ると思ってるので、そこにいくらかでも協力できるとなれば、その労は惜しまないつもりです。次回はたぶん八月末ごろの放送になると思います。お楽しみに!

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2010-06-24

本日決戦

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 遠足に出かける小学生のように興奮して早起きしてしまった。この昂ぶりはジョホールバル以来。こんな興奮があるから代表サポはやめられない。

 昨日会ったドイツ人サポに「日本や韓国は十分うまいのに、どうも自信なくプレイしているように見える」といきなり本質をつかれてしまった。今こそわかるが、足りないのは自信であり、経験である。トルシェにさんざん「日本は経験がない」と言われたときには何言ってやがる、と思ったものだが、トルシェの言う「経験」とはまさにこの戦いのことなのだ。オランダと対戦するとき、ドイツと対戦するとき、我々はどこかで負けて当たり前だと思っていないだろうか?ドイツ人サポは言う。「クロアチアでもハンガリーでも、ドイツに本気で勝つつもりで向かってくる」もちろんその本気にはなんの根拠もない。客観的に見れば根拠なき自信だ。でもその思いがなければ、決して勝つことはできないのだ。

 デンマーク戦、引き分けでも突破。「こういうときに負けるのが日本なんだよ」そのとおりだ。それがこれまでの経験である。勝った経験がなければ、勝ち抜けをイメージすることはできない。だが、我々はカメルーンに勝った。オランダと互角の勝負ができた。次に闘うときには、カメルーンには勝ちを計算しても許されるし、予選リーグ突破は現実的な目標になる。これが経験だ。勝たないかぎり、この経験は得られない。

 どんなジンクスも終わる日は来る。名古屋だって鹿島スタジアムで勝ったのだ。日本にだって予選リーグ突破の経験は積めるはず。その日が今日でいけないはずはあるまい!

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