異形の愛
茅場町・MAREBITOに〈阿部一徳のちょっといい話してあげる〉を聞きに行く。ク・ナウカの阿部一徳のソロプロジェクトで、文学作品を語り下ろすというもの。実はこのレパートリーの中にキャサリン・ダンの『異形の愛』があるというので、以前から一度見てみたいと思っていたのだ。
『異形の愛』は「フリークス版『ホテル・ニューハンプシャー』」とも言われた史上最強のフリーク家族小説で、ぼくの翻訳の中でも最高傑作のひとつだと思っている。今はなきペヨトル工房から出版された。そう、『村崎百郎の本』にも書いたとおり、村崎=黒田一郎くんの担当編集本であり、ぼくも彼もこよなく愛した一冊だった。すでに絶版になって久しいが、こうして忘れずに朗読劇で再演してくれる人もいる。
長大な原作を二時間弱の語りにまとめなければならないので、いろいろはしょられている部分も多く、双子やチックの話が短くなってしまったのはちょっと残念。でも阿部氏が朗々と語るアーティの説教は迫力だった。オレの翻訳も悪くないじゃん、と思いながらもちょっと赤入れたくなっちゃったりして。最後は他人事のように普通に感動していた。今回の公演は三回とも完売らしいけれど、人気ネタだということなので再演の機会もあるでしょう。その際にはみなさま是非足をおはこびください。
ちなみに入場チケットは薔薇の押し花。素敵なオマージュだ。
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