(または南アフリカのがっかりドッグ)
ルステンブルクのスタジアムに近づきながら、本当にこんなところにスタジアムがあるのか?と思わずにはいられなかった。そこに広がっていたのはただの田舎町。二階建ての建物すらなく、農家の前を野良犬がうろうろしているだけ。ほとんどメキシコの田舎町かと思った。ロイヤル・バフォケン・スタジアムも無骨なコンクリート造にプラスチックの椅子が据えつけられた実用本位の陸上競技場。おそらくは全会場の中でも最低ランクである。でも、南十字星の下、月光を浴びるスタジアムはこよなく美しかった。こことそっくりの異国のスタジアムのことを思い出さずにはいられなかった。そこ、マレーシアはジョホールバルの陸上競技場とともに、ルステンブルク・スタジアムも忘れがたい場所になった。
デンマークは強かった。日本が細かいパス回しで突破しようとしても、すぐに守備網にひっかかってしまう。攻撃はシンプルなパスアンドゴーなのだが、早いうえに二列目から飛び出してくるトマソンをつかまえきれず、たびたびピンチを作られる。先制されると嫌だな……と思っていたのだが、なんと前半早い時間に本田の無回転FKが決まって先制!続いてガチャが見事に曲がるFKを決めて2-0! あとはもうお祭りだった。
FKを決めたあと、見るからに動きがよくなったガチャが最前線にまで飛び出していったのには笑った。それにしてもあのFKは美しかった。BBCのPlay of the Dayに選ばれたらしいが、ガチャの繊細なテクニックを見せつける素晴らしいキックだった。
ほとんどワールドカップをやるように見えない会場だったが、日本でいったら大分あたりの感じだったのだろうか。どっちの応援でもなさそうな地元民が多く、彼らがどんどん日本のサッカーに引き込まれていく姿は大変感動的だった。音楽にあわせてみんなで踊るハーフタイム。アフリカのワールドカップだ!
ちなみに今回会場ではオフィシャル・スポンサーのコカコーラの陰謀でコーラとバドワイザー、具の入ってないホットドッグしか食べることはできない。どこの会場でも冷えたまずいホットドッグは同じなんだけど、この地味なスタジアムにこそがっかりドッグはふさわしいと思ったよ。南アフリカで食うがっかりドッグは最高に美味しかった!
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