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2012-07-22

二度とデルタには乗らない

 デルタ・エアラインには羽田深夜発のロサンジェルス便がある。12時半だかに羽田を発つので、寝て起きればアメリカに着いているという。たいへん便利なフライトである。大学の授業を終えたあと、飛び乗るとちょうどいいタイミング。というわけでサンディエゴのコミコンに行くために、そのチケットを取ったのである。

 アメリカで会った友人にはさんざんぱら「2012/07/17/needles-found-in-turkey-sandwiches-on-delta-flights/">デルタの機内食に釘が入ってたらしい」「オーヴァーブッキングをくらった友達が居るんだけど、その処理があまりに淡々と慣れていて、逆にヤバイんじゃないかと思った」「三、四時間の遅延は当たり前で騒ぎにもならない」とか滅茶苦茶なことを言われて脅かされていたのである。だが行きはなんの問題もなかったし、別に気にしないで帰りの飛行機に向かった。木曜日の深夜1時LAX発である。

 11時頃、空港についてみると、どうも自分の前で揉めている。話を聞くと「フライトがキャンセルになりました」「!?なんで?」「燃料の問題です。フライトは今日の午後5時になります」で、終わり。

 どうも「燃料の問題」というのは切り口上のようで、地上係員もよくわかっていなかったらしい。たぶん到着便が遅延して、整備が間に合わなかったのではないか。ホテルも出さなければ移動手段もない。しょうがないのでその日は友達の家に泊めてもらうことにして、自力でロサンジェルス市内まで移動。

 木曜日午前、ちょっと早めに空港に向かってチェックイン。今日は飛ぶというので一安心し、ターミナルで時間をつぶす。ボーディング・タイムが来て乗りこむ。離陸時間になって……飛ばない。

 いや、一時間くらいの遅延は当たり前のことだった。落ち着いて待つしかない。一時間半……二時間……アナウンスによると、どうやらエンジンのトラブルらしい。気になったのは、機長からのメッセージでは「メカニックと話しましたが、あと40分くらいかかりそうだということです。ご不便をおかけしてたいへん申し訳ありません。新たな情報が入りましたらすぐにお伝えいたします」と言ってるのに、キャビン・アテンダントの日本語の説明では「機長よりのメッセージをお伝えいたします。すべての調整が完了いたしましたので、まもなく離陸いたします」になってしまうという。知らしむべからず、寄らしむべし、という奴だろうか。なんとなく、原発事故のときの政府の広報を思い出したりした。

 結局、三時間ほどたって、ようやく修理が完了する。やれやれ……エンジンがかかり、ゆっくりと滑走路に出て、離陸の順番を待ち……待ち……待ち……「申し訳ございません。修理箇所のエラーランプが消えませんので、もう一度待機場所に戻らせていただきます」

 というわけで飛行はキャンセルになってしまったのだった。冗長性の問題を考えずにはいられなかった。オーヴァーブッキングぎりぎりまで乗客を押し込むデルタには、我々が乗り換えるべき飛行機などあるわけがなかったのだ。冗長性のないシステムはいずれ破綻せずにいられない。係員の話だと、この日、デルタは四便がキャンセルになったらしい。一日に四便もキャンセルが出るというのは何かがおかしいと言わざるを得ない。

「荷物をチェックインなさった方は、受け取ってから再度代替便のチェックインをなさってください」だから荷物受け取り場所に行ったよ。荷物が出てくるのを待って……待って……待って……諦めたころになって出てきた! でもこういうときに限って荷物をふたつ預けていたのだった。あと一個……でてこい……出て……こい……すでに真夜中をまわり、金曜日になっている。あきらめて再チェックインを試みると、金曜日のデトロイト便がブックされていた。デトロイトまで飛び、そこからデトロイト発の羽田行きに乗るという考えられない遠回り。なんと20時間もかかる。普段なら怒り狂って変更を要求するところだが、もう呪われたLAXターミナル5から出るためならなんでもいいという気分になっている。なんせ、この日は11時からずっとこのターミナルにとらわれているのだ。スピルバーグの映画かという気になってきたよ。

 金曜日、LAXに来てみると、迷子の荷物はすでに羽田に向かっているという。朗報なのかもしれないが、デルタ係員の言葉を何一つ信じられないオレを誰が責められよう。こっちの怒りに満ちた詰問に、デルタの係員は混乱してしまいに「も、もっとゆっくり喋ってください」とか言い出す始末。いやオレの英語が悪いんだけど。

 別にデルタの係員を責めたいわけではない。まちがいなく、彼らは自分の仕事をしていただけである。だがその結果は誰も責任をとらない無責任のかたまりだった。誰一人、このとんでもないトラブルに巻き込まれた客に真剣に対応してくれなかった。キャンセルで飛行機から降ろされた客が再チェックインのために行列を作っている前で、カウンターの女性は時間が来ると帰ってしまうのである。

 金曜日の午後七時、デトロイトに到着した。一時間のきわどい乗り継ぎをこなし(デトロイト発が予定通り遅延だったので余裕だった)、金曜八時の飛行機に乗ると、土曜日の十時半に羽田に到着した。もちろん荷物は来ていなかった。LAから70時間近くを費やして東京に帰り着いた結論はこういうことである。神かけて(オレは無神論者なんだが)、二度とデルタには乗らない。


7/22追記:迷子の荷物は無事発見され、家に届けられました。到着時間から言って、「羽田に送ったよ」と言われたときにはまだLAXのどこかにあったのは間違いないのだが、それは問わずにおこう。デルタ係員のみなさま、ご苦労さまでした。だからって、二度と使わないという決意は微塵も揺らがないけどね!

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コメント

はじめまして。
私も、同じ便で羽田へ向かうはずでした。
場所は違いますが、私も、ラスベガスとロスで延泊となりました。

デトロイト経由便はありえないですよね。
私は、再度別のカウンターに並びなおして、成田到着に変えてもらいました。

無事に荷物が到着してよかったですね。

投稿: CHLOE | 2012-07-28 11:12

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