はやぶさ/HAYABUSA (2011)
監督:堤幸彦 出演:竹内結子、西田敏行 公式サイト
みなさまの感動の中、七年の旅を終えて地球に帰ってきた少惑星探査衛星〈はやぶさ〉。今、その旅が映画になる! と考えた人は一人ではなかったらしく、今年から来年にかけて都合四本も「はやぶさ」映画が作られるという空前の〈はやぶさ〉ブームが到来! 誰が見たいんだよそれ……という突っ込みはもはや通用しない恐ろしい日本映画の世界である。ここは四本まとめて「素晴らしきはやぶさ映画の世界」というレビュウを書くべきだと思うんだけど、たぶん四本目が到来するころには誰も先陣を切った堤幸彦作品のことなど覚えていない(なによりオレが忘れている)ので、ここに記しておきます。
主人公、竹内結子は北大で天体物理を学んだポスドク(というか、博士論文は通っていないのでただの院卒)。仕事もないので神保町の古本屋で働いている。眼鏡、ひっつめのボサボサ髪、リュック、猫背という絵に書いたような喪女。それがひょんなことから宇宙研の西田敏行先生(的川先生がモデル)の講演でキモさまるだしの質問をしたおかげで気にいられ、宇宙研の広報ボランティアをつとめることになる。彼女は相模原の宇宙研に通いつめ、〈はやぶさ〉の旅を間近で目撃することになるのだった……
宇宙研の科学者たちの描写が凄い。高嶋政宏演じるカメラチームリーダーは定規をナイフがわりに使って焼き魚から骨をはがして食べる。喪女の竹内結子、好々爺の西田敏行とどれもこれも戯画化された「エキセントリックな科学者」像そのものである。なんで竹内結子の演技って毎回毎回こう漫画なんだろうかね。そして竹内結子は〈はやぶさ〉を「トーマスみたいに」擬人化した絵本を描きはじめるのである。ボロボロに痛むと、太陽光パネルに絆創膏を貼りつけてみたりして!
「エキセントリックな科学者」「擬人化」そして「電車男」(合間合間に〈はやぶさ〉ファンの一般人の描写がはさまる)。しまいに竹内結子が〈はやぶさ〉の声になって〈はやぶさ〉が思いを語りはじめる!「ぼく、はやぶさ」「イトカワが見えたよ!」そして通信途絶となると「ぼくは、ここに、いるよ……ここに……」
そしてついに満身創痍の〈はやぶさ〉は地球に帰ってくる。「地球は、とてもきれいだよ」「大気圏に、入るよ」「あ、あつい……アヂアヂアヂ死ぬぎゃああああ」「きみは、どこへ、落ちたい?」竹内結子の断末魔の悲鳴を聞いた生瀬勝久は命の大事さを知って、明日こそハロワへ行こうと思うのだった。
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