The League of Extraordinary Gentlemen Century:1969
アラン・ムーア/ケヴィン・オニールの『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』第三巻Centuryの第二巻「1969」がようやく到着。時代は飛んで1969年、ミナ・ハーカーとアラン・クォーターメイン、それに永遠の放蕩者オーランドーはノーチラス号で英国に戻ってきた……
フィクションのヒーローたちが総登場するこのシリーズ、おそらく今ムーア先生がいちばん楽しんで書いていると思われるのだが、今回、舞台はスウィングしまくる1969年のロンドン、先生、もうノリノリです。イーストエンドではクレイ兄弟をモデルにしたギャング同士が抗争をくりひろげ、孤独な殺し屋ジャック・カーター(『狙撃者』!)が街を往く。ミナとアランは反キリストを生み出そうとするオリヴァー・ハドー(サマセット・モームの『魔術師』)の陰謀を探るのだが、そのときハイド・パークではターナー(『パフォーマンス/青春の罠』)率いるパープル・オーケストラのコンサートが開かれようとしていた……
ちなみにこの世界のハイド・パークは火星人との戦いで雄々しい最期を遂げたエドワード・ハイド氏の記憶に捧げられている。フィクションのキャラクターしか存在しない世界なのでビートルズはいないがラトルズはいる。ミック・ジャガー(が演じたキャラクター)が率いるバンドがハイド・パークでコンサートをやり、そこで「悪魔に捧げる歌」を演るという……
巻末にはMinions of the Moonという三文エロSF小説が付録でついている。作者はJohn Thomas。James Colvinが編集するLewd Worlds Science Fictionに掲載されたものだという(月世界でのミナたちのエロい冒険を描いたもの)。実はJames Colvinというのはマイケル・ムアコックがNew Worldsで使ったペンネームであり、John Thomasというのはスラデック/ディッシュの共作ペンネームなのだ!ってどんだけマニアックなネタなんですがムーア先生……そういうわけなんで、ムアコックの有名キャラクターも登場するよ。肝心の邦訳ですが、まあ第三巻が出て完結(次回の舞台は2009年になるらしい)してから考えることになるんじゃないですかね……少なくとも絶対翻訳不可能なThe Black Dossierよりは可能性ありそう……
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