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2011-01-20

2010年映画ベスト10

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 映画秘宝のベスト10発表号(2011年3月号)が発売になりましたんで、ぼくのベスト10投票を転載しておきます。

1 『監督失格』(2011 平野勝之)
2 Grizzly Man (2005 ヴェルナー・ヘルツォーク)
3 〈政治と暴力 三島由紀夫・赤報隊〉(2010 渡辺文樹)
4 『逆襲!スケ番ハンターズ 地獄の決闘』(2010 奥田真一)
5 『カラフル』(2010 原恵一)
6 『オルエットの方へ』(1971 ジャック・ロジェ)
7 『刑事ベラミー』(2008 クロード・シャブロル)
8 『悪魔の往く町』(1947 エドマンド・グールディング)
9 『溝』(2010 王兵)
10 『ソーシャル・ネットワーク』(2010 デヴィッド・フィンチャー)

 いつも反則ですが今年はとくに酷いですな。なんせオレが見たときにはまだ公開決まってない、どころか完成もしてない映画が一位。しかしこの一位は断固として揺らぎません。コメントその他は本誌をどうぞ。なお、合わせてはくさい賞総評というか、去年の邦画総まくり記事も寄稿しております。


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2011-01-14

ソーシャル・ネットワーク (2010)

 朝日新聞1/14(金)夕刊に『ソーシャル・ネットワーク』の映画評を書きました。映画はドットコム・バブルに踊る人々のたいへん見事なポートレートだと思います。『ゾディアック』が70年代のSFというひとつの時代をまるごと描こうとしたように、これもまたひとつの時代を描こうとするものです。そして、その後味はひどく苦いものでもあるのです。アカデミー賞最有力と言われるのも納得の傑作ですので、みなさま是非。

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2011-01-05

エリックを探して(2009)

監督ケン・ローチ 出演スティーヴ・エヴェッツ、エリック・カントナ 公式サイト

『ベッカムを恋して』とかにも通じるんだけど、これ邦題がちょっとミスリーディングで、別にエリック・カントナを探しに行く話じゃない。「きみの心にもカントナはいる」という話なのだ。『いつも心にカントナを』とかってタイトルにした方が良かったかもね(余計わけらんか)。

 主人公のエリックはマンチェスターに住む冴えない中年郵便局員。再婚した妻に逃げられ、血のつながらない子供を二人育てている。不良の仲間入りをした子供からは馬鹿にされ、今でも最初の妻のことが忘れられない。彼のことを心配した局員仲間が自己啓発本の聞きかじりで、「自分の尊敬する人を思い浮かべるんだ。エリック、おまえは誰が?」「エリック・カントナ! ザ・キング、世界最高のフットボーラーだ!」その夜、息子の隠していたマリファナたばこを一服したエリックの前にカントナがあらわれたのだ。「カントナさん、ぼくはどうしたらいいんですか?」「心の襟をたてろ!

 仲間の一人がグレイザーのユナイテッド買収に抗議してサポをやめ、まわりから「裏切り者」って言われてパブで喧嘩になったりするあたりのくすぐりがおかしい。ローチもマンチェスター出身なのか、彼の映画ってユナイテッドネタが多い気がする。もちろんマンチェスター・ユナイテッドじゃなくてFC United of Manchesterサポになった仲間もマンUのことが気になっていて、パブの外からじっと試合を見てたりする。

 ここのカントナは主人公にアドバイスをする心のヒーローという位置づけなんで、『トゥルー・ロマンス』のエルヴィス・プレスリーみたいな感じである。だから、とくにカントナに思い入れがなくとも、サッカー好きの中年なら堪えられないものがある。もちろんカントナのスーパープレーはバンバン出てくるんで、そっちのファンは二倍嬉しいはずだ。誰の心にもカントナはいるのである。

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