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2010-12-19

癒しの遊女 濡れ舌の蜜(2010)

Bokutoutirasi22

監督・脚本:荒木太郎 出演:早乙女ルイ、那波隆史 PGの紹介 劇場サイト
 荒木太郎2010年最後の映画はなんと原作永井荷風『墨東綺譚』である。となればもちろん舞台は玉の井で娼婦お雪との交情が語られるわけだが、時代は現代に設定され、お雪のつとめるカフェがどこにあるのかも曖昧なままである。主人公の作家・大江は旧上野オークラの常連で、映写技師とダメリながら秋葉原殺傷事件の犯人のことを思ったりもする。もちろん、その上野オークラは今はなく、ぼくはこの映画をビデオシアターになった新オークラ劇場で見た。お雪とのはかない交流、失われた旧玉の井の街が、消えつつある「街の淀み」、上野オークラ劇場とたそがれのピンク映画の世界に重ね合わされる。お得意の8ミリのインサートも美しく映え、まずは佳作と言っていいのではないか。

 荒木監督の文芸映画ではいつも躓きの石になっていたピンク映画特有の乱暴な濡れ場も、荷風の世界だとそう気にならないというか、むしろしっくりくる。この映画をホモと覗きマニアだらけの劇場に見に行くぼくらは、自分を悪場所に足を運ぶ荷風に見立てていたりするわけだが、それもまたいいではないか。

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コメント

はじめまして!
荒木さん、今年は快作続き。この作品は浅草、上野とロケーションが素晴らしく。那波さんも荷風にイメージピッタリだし…里見さんがまたよかった!

投稿: キネマ怪人カマニア | 2010-12-22 23:04

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