村崎百郎の本
アスペクトから刊行された『村崎百郎の本』に「黒田くんのこと」と題したエッセイを寄稿させてもらった。わかったようなことを書いているけれど、村崎=黒田くんがどんな人間だったのかなんて、ぼくなんかにわかるわけがない。彼が本当に何を考えて、何をやっていたのか、わかっていたのは本人だけだ(いや、本人にだってわかってなかったかもしれない)。ここに文章を寄せている人たちも、みな、外から見て適当なことを言っているだけなのだ。どんなに親しかったとしてもね。ただ、根本さんだけは内側に入りこめているような気がする。まあ、人徳かな。いや因果者だからか。
何よりも一番嬉しかったのは村崎百郎の文章が再録されていることである。人は死ぬかもしれない。でも、作品を読みかえせば、何度でも本人と出会うことはできる。GON!に載っていた「隣の美女が出すゴミ!」も懐かしかったが、処女小説「パープル・ナイト」が懐かしくも感動的だった。中に、交通事故現場の「お花畑」に行く場面が出てくる。最初のうちこそ花も毎日供えられているが、やがて数も減り、お花畑はいつのまにか枯れてゆく。
死んだ人間はそうやってゆっくりと忘れられていく。薄情なようだけどそのほうが健全だと思う。いつまでも他人の死を悼み続けるのはどうあったって不健康だし。
不健康かもしれないね。でもぼくは忘れないよ。絶対に忘れない。
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