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2010-09-25

恋するナポリタン(2010)

監督:村谷嘉則 出演:相武紗季、MAKIDAI、塚本高史 公式サイト

 カナザワ映画祭ではシェラ・デ・コブラの呪いをはじめいろいろ楽しかったのだが、いちばん強烈だったのは30年ぶりくらいに見た霊的爆音上映『スクワーム』だったかもしれない。で、『スクワーム』を見てるあいだじゅう、思い出していたのがこの映画のことだ!

 この予告編を見せられては見に行かないわけにはいくまい。しかも予告編を見ただけではなんの映画かさっぱりわからないというおまけつき。それとなく情報を集めるとなんか「相武紗季は事故で恋人を殺してしまった加害者と恋に落ちる」とかって話だという。つまり『乱れ雲』みたいなの? MAKIDAI=加山雄三? と思ってたらさらに実はマクロビ映画だともいう。なんだそれ意味不……と思いながら見に行ったよ。ちなみに前売りはチケット屋で700円だったが新宿では250円で売ってるところもあったらしい!

 ナポリ帰りの帰国子女田中武(塚本高史)は東京タワーの近くで〈ナポリ食堂D'Angelo〉という学祭の模擬店みたいなチープなイタリアン・ビストロを経営している。仕事が終わって一息つくと、煮え切らない仲の幼なじみ(相武紗季)から留守電が入っていた。「いまー、水沢さんからプロポーズされててえー、どーしようかと思ってるんだけどー」志村後ろ!としか言いようのないメッセージを聞いて、塚本くんはプロポーズの場所へと走る!水沢(市川亀治郎…キモ顔)のレストランの前で、長年言いたかったことを言おうと思った瞬間、上からMAKIDAIが降ってきた! 下敷きになって塚本くんは敢えなく死亡。

 一ヶ月後、昏睡状態だったMAKIDAIが目を覚ます。実はMAKIDAIはピアニストだったのだが、海外進出の夢がかなわず三年間引きこもっていたのである。で、三年ぶりに外に出たと思ったら屋上から降ってきた。すべての記憶を失ったMAKIDAIだが、なぜか好きだった女の子にずっと料理を作ってはふるまう記憶だけが浮かび上がってくるのだった。自分が殺した男の墓参りでばったりその娘=相武紗季に出くわすと「きみ、ぼくの恋人だったでしょ?」と迫って当然のごとく激怒される。

 やがて武の記憶を取り戻したMAKIDAIは〈ナポリ食堂〉を再開させるが、やってきた相武紗季に「ぼくは武なんだ。きみを愛してるんだ。いや武じゃなくてMAKIDAIとして愛してるんだ」とか訳の分からないことを言い、「あたしをからかって面白いの!?」と拒絶されてしまう。そのころ、医師(茂木健一郎!)はMAKIDAIの姉に怖ろしいことを告げていたのである。「あー、この人脳腫瘍があって、いつ死んでもおかしくないですねえ。今立って歩いてる方が不思議ですねえ」

 何がマクロビなのか!?って思ってたら〈ナポリ食堂〉のメニューにピッツァ・マクロバイオティクとかいうのがあった。それだけ。しかもすごく不味そう。

 やがて相武紗季の「いちばん幸せな日」にナポリにはないナポリタンを作ったMAKIDAIは「あ~思い残すことなくなったから武の記憶消えた!」と言い置いて南紀白浜へ飛び地産地消のPRをはじめるのであった……

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2010-09-24

柳下毅一郎氏と大いにつぶやく、新生滝本誠の暗黒<生活と意見>!『映/画、黒片』からはじまるノワールライフ

 滝本誠氏の新着評論集『映/画、黒片』(キネマ旬報社)の刊行を記念しまして、滝本氏とトークショーをさせていただきます。滝本さんの生活と意見が無料お立ち見で聞けますので、みなさまふるってご参加下さい。

10/1(金) 19:00~ @青山ブックセンター六本木店

入場料:無料
ご参加方法:青山ブックセンター六本木店の店頭、もしくはお電話にてご参加のご予約を承ります。当日のトークイベント終了後、滝本誠さんのサイン会を予定しております。あわせてご参加ください。
お問い合わせ電話:
青山ブックセンター六本木店 03-3479-0479

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2010-09-11

ナイト・トーキョー・デイ(2009)

監督・脚本:イザベル・コイシュ 出演:菊地凛子、お塩さん  公式サイト

 The Map of the sound of Tokyoというタイトルで去年のカンヌ映画祭に出品された菊地凛子主演作。それだけなら良かったんだけど、出演者の中に約一名問題のある人がいたんで、一年以上にわたりお塩づけにされてました。その方の出番をカットとして、ようやく公開にこぎつけた。これ、当時からオレは注目してました。なんでって…?

 築地市場で働く凛子は、ある日、録音技師をしている老人(田中泯)とラーメン博物館で出会う。「きみがラーメンをすする音を録らせてもらえないか…ぼくの母がラーメンをすするときの音に似ているんだ」 そんなクールな凛子には、実は裏の顔があった。狙ったターゲットは必殺必中の殺し屋である。だがそのターゲットに出会ったとき…

 というわけで女体盛り!築地魚市場!ラーメン博物館!イメクラ!と外国人が好きな日本てんこ盛りの勘違い観光映画である。いきなり冒頭が女体盛りの場面からはじまるので大笑い。実はこの女体盛り、さる大企業の社長が外人客の接待していたのだった。そこにその娘(写真でしか出てこないけど凛子二役)が自殺したという報が。悲しみのあまり寿司を投げまくる社長。客はみんな喜んで寿司投げ合戦に!

 社長の秘書はこの悲劇の原因を作ったスペイン人ワイン商を殺そうと殺し屋凛子に連絡をとる。花やしきでコンタクトを取る二人。「なぜ殺したいかというと…」「そんなことは必要ない。住所と写真だけくれ」とハードボイルドな凛子。だが凛子がワイン商に接触すると、男は凛子をホテルに誘う。「ぼくらは毎週木曜日、ここでセックスをしたんだ…」というラブホは痴漢電車プレイ用のイメクラみたいな電車を模した部屋。そこで濃厚な痴漢プレイをする二人。終わったあと、ターゲットを殺そうとして銃を抜くが、どうしても殺せない。そう、凛子は男を愛してしまったのだ。

 その後も毎週ホテルで痴漢プレイを続ける二人。それにしても「ミドリを愛していたんだ…」とか言いながら濃厚な変態プレイに興じる男もたいがいだ。いつまでたっても殺そうとしないので業を煮やした秘書が電話をすると「殺すの辞めた! 契約は破棄させてもらうわ。前金五割増しで返すからいいでしょ!」と逆ギレする凛子。殺し屋の風上にもおけない奴だ! その間、録音技師(なぜかこの人がナレーター)とモツ煮込み食ったり、ラーメン食ったりすることだけは忘れない。だが、ついに破局が…

 凛子バブルの真っ最中に企画されてしまった謎の映画なのだが、やはり最大の謎はなんでこんな映画をイザベル・コイシュが監督してるのか!? そして凛子の出ている映画はみんな追っかけてるオレは実は凛子ファンなのではないかという気がしてきた今日この頃! そしてそして同じく凛子マニアが発覚してしまったスパイク・ジョーンズはひょっとして痴漢プレイとかしてるんでしょうか?

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