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2010-06-30

Round of 16 パラグァイ0-0日本(PK5-3)@Pretoria

Paraguay vs Japan @Pretoria
 プレトリアは日本サポばかりだった。日本人だけではない。日の丸のフェイスペイントをし、青いマフラーを首に巻いた南アフリカの連中が次から次へとやってくる。「ホンダー!」「ニッポンー!」の掛け声が飛びかう。パラグァイサポはほとんど見なかった。南アフリカで三試合目だが、ここまでサポの数で圧倒するのははじめてだ。圧倒的じゃないか、我が軍は!

 これもすべてデンマーク戦で見せた素晴らしい戦いぶりのおかげだろう。「後に何も残らない」とか「守備的でつまらない」とか腐す人もいるが、なんのしがらみもない現地人がこれだけ応援してくれることがすべてを語っていると思うよ。もちろん、判官贔屓の感情もあるんだろうが、それだけであんなに日本一色にはならない。今回のチーム、本当に気合いが入っていて、応援しがいのあるチームだった。それだけに、Quarterfinalには進みたかった。イングランド・サポに「え?おまえらもう帰るの?」って言ってやりたかった!

 まあ、試合の内容については何も言うことはない(ぼくは評論家ではない)。でも、本当に惜しかったし、本当に悔しかった。実は今回、勢いでTSTを取ってしまって来ることになったとき、正直、いろんな意味でどうしようかと思った。来るからには決勝トーナメントまで見たいとは思ったが、しかし本当に決勝トーナメント進出できるのか? 開幕前はかなり悲惨な結果も覚悟していたことを告白せざるを得ない。でも、すべての疑念を封印し、岡ちゃんが勝ってくれると信じてこの日程を組んだのである。その思いが報われて、こんなに幸せなことはない。サッカーファンというのは(なべてファンというものは)つねに裏切られるものだが、ときに天から恩寵が落ちるときもある。それは最後まで信じていた者だけが味わえる幸福なのだ。ま、これがあるからやめられないんだよね。

 本当に、UGや志賀さんはじめさぽ村の人たちにはお世話になった。See you in Brazil !

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2010-06-28

アルゼンチン3-1メキシコ@Soccer City

Argentina vs Mexico @SoccoerCity

 バスで近づくと、ソウェト近くの空き地に忽然とあらわれる巨大なサッカーシティ・スタジアムには思わず息を呑む。ダーバンやケープタウンのスタジアムのようなスーパーモダンではないものの、たぶんアフリカ大陸最大、収容人員95,000人という巨大スタジアムである。観客はアルゼンチンが圧倒的で、バルサ・ユニも目立つ。

 今回、スタジアムのオーロラ・ビジョンではSABCの試合中継がそのまま流されている。ゴールのリプレイを見せようという心配りなのかも知れないが、この日はスタジアムからテレビ映像を排除してきた純粋主義者たちの正しさを証明する事件が起きてしまった。つまり誤審である。一点目、テベスのインチキゴールのリプレイが、ご丁寧にオフサイドのラインつきのリプレイでスタジアムに流れてしまったのである。メキシコ選手たちの怒るまいことか。審判も見てたはずだから、誤審だったのはわかっていたはずである。にもかかわらずゴールを認めたのは、抗議で判定を替えたらさらに混乱するって判断だったんだろうが、だがなあ……

 結果はアルゼンチンの順当勝ちとはいえ、それまではメキシコが押してただけに残念な結果だった。メキシコはやたらミドルシュートを打ちまくってたが、たぶんチーム全体で、ジャブラニの特性的にミドルは打ち得だって判断をしてたんだろう。作戦自体は間違ってなかったと思うんだけどね。アルゼンチンはかなりチームになってきたけど、相変わらず攻撃はひたすら個人能力頼み。前線はまったく動かないで、メッシがドリブルをはじめるとよっこらしょって感じでイグアインとテヴェスが走りだす。あとは適当。それでこれだけ点取っちゃうんだからなあ。マラドーナは歌って踊って一人で大騒ぎ。ついでにオーロラビジョンの前でも大騒ぎのアルゼンチン・サポーターたち!

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2010-06-25

E組 日本3-1デンマーク@Rustenburg

Japan vs Denamark @Rustenburg
(または南アフリカのがっかりドッグ)

 ルステンブルクのスタジアムに近づきながら、本当にこんなところにスタジアムがあるのか?と思わずにはいられなかった。そこに広がっていたのはただの田舎町。二階建ての建物すらなく、農家の前を野良犬がうろうろしているだけ。ほとんどメキシコの田舎町かと思った。ロイヤル・バフォケン・スタジアムも無骨なコンクリート造にプラスチックの椅子が据えつけられた実用本位の陸上競技場。おそらくは全会場の中でも最低ランクである。でも、南十字星の下、月光を浴びるスタジアムはこよなく美しかった。こことそっくりの異国のスタジアムのことを思い出さずにはいられなかった。そこ、マレーシアはジョホールバルの陸上競技場とともに、ルステンブルク・スタジアムも忘れがたい場所になった。

 デンマークは強かった。日本が細かいパス回しで突破しようとしても、すぐに守備網にひっかかってしまう。攻撃はシンプルなパスアンドゴーなのだが、早いうえに二列目から飛び出してくるトマソンをつかまえきれず、たびたびピンチを作られる。先制されると嫌だな……と思っていたのだが、なんと前半早い時間に本田の無回転FKが決まって先制!続いてガチャが見事に曲がるFKを決めて2-0! あとはもうお祭りだった。

 FKを決めたあと、見るからに動きがよくなったガチャが最前線にまで飛び出していったのには笑った。それにしてもあのFKは美しかった。BBCのPlay of the Dayに選ばれたらしいが、ガチャの繊細なテクニックを見せつける素晴らしいキックだった。

 ほとんどワールドカップをやるように見えない会場だったが、日本でいったら大分あたりの感じだったのだろうか。どっちの応援でもなさそうな地元民が多く、彼らがどんどん日本のサッカーに引き込まれていく姿は大変感動的だった。音楽にあわせてみんなで踊るハーフタイム。アフリカのワールドカップだ!

 ちなみに今回会場ではオフィシャル・スポンサーのコカコーラの陰謀でコーラとバドワイザー、具の入ってないホットドッグしか食べることはできない。どこの会場でも冷えたまずいホットドッグは同じなんだけど、この地味なスタジアムにこそがっかりドッグはふさわしいと思ったよ。南アフリカで食うがっかりドッグは最高に美味しかった!

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2010-06-24

本日決戦

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 遠足に出かける小学生のように興奮して早起きしてしまった。この昂ぶりはジョホールバル以来。こんな興奮があるから代表サポはやめられない。

 昨日会ったドイツ人サポに「日本や韓国は十分うまいのに、どうも自信なくプレイしているように見える」といきなり本質をつかれてしまった。今こそわかるが、足りないのは自信であり、経験である。トルシェにさんざん「日本は経験がない」と言われたときには何言ってやがる、と思ったものだが、トルシェの言う「経験」とはまさにこの戦いのことなのだ。オランダと対戦するとき、ドイツと対戦するとき、我々はどこかで負けて当たり前だと思っていないだろうか?ドイツ人サポは言う。「クロアチアでもハンガリーでも、ドイツに本気で勝つつもりで向かってくる」もちろんその本気にはなんの根拠もない。客観的に見れば根拠なき自信だ。でもその思いがなければ、決して勝つことはできないのだ。

 デンマーク戦、引き分けでも突破。「こういうときに負けるのが日本なんだよ」そのとおりだ。それがこれまでの経験である。勝った経験がなければ、勝ち抜けをイメージすることはできない。だが、我々はカメルーンに勝った。オランダと互角の勝負ができた。次に闘うときには、カメルーンには勝ちを計算しても許されるし、予選リーグ突破は現実的な目標になる。これが経験だ。勝たないかぎり、この経験は得られない。

 どんなジンクスも終わる日は来る。名古屋だって鹿島スタジアムで勝ったのだ。日本にだって予選リーグ突破の経験は積めるはず。その日が今日でいけないはずはあるまい!

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ペンギン可愛いよペンギン

 ケープタウンに行ってきました。ケープタウンは素晴らしい。世界の絶景とも言えるテーブルマウンテン。「世界一美しい街」と言う人がいるのも納得できます。「こんな機会がなければ一生来ないから」と言ってここまで来たんだけど、ケープタウンにはもう一度行ってもいい気がします。もちろんアフリカ最南端(では実はないらしいんだけど)喜望峰にも行ってきましたよ。

 ケープと言えばペンギン。ちなみにペンギンは噛みつくので危険!可愛い外見に騙されるな!

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2010-06-20

E組 オランダ1-0日本@Durban

Japan vs Netherland@Durban

 E組の組み合わせが決まったとき、おそらくオランダは最大のライバルはデンマークで、カメルーンさえ叩けばよし、日本は草刈り場、と思ったはずである。だが、一戦目が終わった時点でいろんなものが変わった。オランダにとって最大の(不気味な)敵は日本に変わった。おかげでオランダは警戒しながら試合に入ってきた。一勝の重さをこれほど感じたことはない。カメルーン戦、勝っただけで意味のないサッカーとか言われたけど、本番で勝つことはただの一勝にとどまらない。相手もチームも変化する。

 予選リーグで当たりたくないチームを聞かれたとき、まず上げたのはオランダとドイツである。どちらも、弱いと見たチームにはかさにかかって攻めまくるチームだからだ。だが、受けにまわったときのオランダにはその強さはない。日本の守備ブロックがしっかり機能し、ボールは回せどシュートは打てないオランダ。前半はむしろ日本のカウンターの方が効いているのでは、という気にさせられるくらいで、ほぼ互角の展開。日本の守備陣の落ち着きっぷりにも一勝の重みを感じた。勝つことはこれだけチームを変えるのだ。サイドの崩しはほぼ完璧に押さえ込んでいたので、あとはミドルだけだな……と思っていたら後半いきなりスナイデルのスーパーゴールが!

 最後まで日本の守備は機能していたので、勝てたとは言わないまでも十分引き分けられた試合であった。いや、悔しいな! もちろん次がある。デンマークには引き分けでも突破。今の日本になら十分可能だ。カメルーンに勝ったチームになら!

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2010-06-19

夜明けのダーバン

Durban at Dawn
 オランダ戦の観戦のため、ダーバンに来ています。ダーバンは風光明媚で素晴らしい。ホテルの目の前にパブリック・ビューイングのスペースがあるので、夜遅くまで騒ぐ声とブブゼラの音が聞こえてきます。美しい夜明けのダーバンです。日本サッカーの夜明けだ!

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2010-06-17

小説トリッパー Summer 2010

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〈小説トリッパー〉夏号において、青山真治の新作長編小説『ストレンジ・フェイス』の書評を書かせていただきました。この小説、最終章をどう読むかがポイントなのではないかと思いました。いずれにせよ、たいへん面白いのでお勧めします。書評の方も目を通していただければ幸いです。

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2010-06-16

古本&せんべろツアー

Old book tour in Akabane

 きっかけはとみさわさんのblogのつくたま古本ハンティングの記事を見て、京浜東北線方面のまだ見ぬ古本屋に思いを馳せ、「そんな感じで古本とせんべろのツアーやりてえな」とtwitしたことだった。こういうネタには即座に食いつく安田理央の提案で、赤羽を皮切りに京浜東北線ぶらり古本&せんべろの旅に出かけることになったのだ。

 この三人のいいのは収集分野がまったくかぶっていないこと。安田さんはエロ、とみさわさんはモンド物件、とお互い趣味がはっきりしてるので、店に入るとさっさと三方に別れて物色をはじめるというわかりやすさ。で、お互い戦利品を持ち寄って比べあったとき、その貴重さがわかるくらいには知識がある、というのが理想的であった。

 笑ったのはスタート地点、赤羽である。『東京都北区赤羽』を面陳しているブックストア談赤羽店の素敵な棚を鑑賞したのちブックオフに寄り、すぐ隣にあった山遊堂をのぞくとなんと三日前に閉店!ショックでふらふら歩いていると、目の前を覆面パトカーが通りすぎる。と、そこでUターン。なんと覆面パトカーがもう一台とまっているではないか。「ラーメン・餃子 ハトポッポ」の前に非常線が張られ、10人近い警察官が立ち尽くしている。折しも到着したバンからは白手袋をはめた男たちが降りて来て……鑑識だ!殺人事件、少なくとも変死体発見現場であることは間違いない。いやー朝っぱらからいいものを見た……てかオレのせいか?

 古本ツアー的には浮き沈みありつつ最終的には蕨の古本屋(狷介な店主がいい感じの一癖も二癖もある古本屋で、「インターネットで宣伝してよ」と言われたけど、誰が宣伝なんかするもんか!)で大散財して個人的には大成功。結局古本屋は11軒、飲み屋3軒。購入は当初安田さんがリードしていたが最後ぼくが大人買いで抜き去った、という感じか。まあ何を買ったとかそういう話はLIVE「No1 in HEAVEN」やらで紹介されるでしょうからそこで。今回失敗だな~と思ったのは古本はともかく飲みの方!炎天下荷物を歩きまわって疲れてしまって、座れる店しか入る気がしなかった。そういうわけで西川口の立ち飲みの名店やきとり次郎にも行けなかったしね。次回開催時は飲み屋方面にも十分気をくばっていきたいものである。

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2010-06-15

E組 日本1-0カメルーン

 見事な勝利であった。勝つ以外何も残らないサッカーだったが、もちろんそれでいい。何の問題もない。ワールドカップというのはそういうものだ。カメルーンは内紛があったとか漏れ聞こえてくるが、コンディショニング間違ったのか?というくらい動けてなかった。このままでは三連敗必至だが、いきなり調子を取り戻したりするからわからないんだよなあ。

 本大会直前になって得意のくそリアリストぶりを発揮してベタ引き守備をはじめた岡ちゃんのゲームプラン通りの試合だった。これで岡ちゃんが名匠と称えられるとなると大笑いなんだが、いいんだよ!勝てば!でも後半はカウンターで追加点を取りに行きたかったところである。この際、ウッチー入れてみない?と思ったがやっぱり入れてくれなかった。ともかくもオランダ戦まで興味を繋いでくれたのは個人的には大いに嬉しい。でないと、死地に赴く甲斐がないではないか。で、本日のMVPは……阿部、と言いたいところだが、やっぱり岡ちゃんかな。信じてるからね! 岡ちゃん!

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2010-06-12

開幕戦 A組 南アフリカ1-1メキシコ

(またはブブゼラの響き)
 ブブゼラのクラウドノイズは想像以上に強烈だった。テレビの画面からでもあの音量なんだから、スタジアムではどれだけのものなのか。さすがにあれは南アフリカの試合じゃないと体験できまいが、日本戦がどうなるか楽しみである。ブブゼラの重低音が今回のワールドカップの基底音となるだろう。
 そこから思うのは岡田日本代表監督の「ハエがたかるような」という言葉である。あの言葉を聞いた瞬間、ぼくは今回の日本代表を「アオバエジャパン」と呼ぶことに決めたのだが、あのブブゼラの音、ハエの羽音に聞こえやしないだろうか? そうだ、あのブブゼラは鬱陶しいハエたちへの応援歌なのだ。アオバエジャパンが世界を驚かす準備は整った!

 それにしてもメキシコは本当、毎回毎回変わらずいいチームを作ってくる。そしていいチームなんだけど勝負弱いところも一緒。ドスサントスはあれでもうワンテンポ早くボールを離せればメッシになれそうなんだが。

 そういうわけで、ワールドカップの季節がはじまってしまったのである。

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恐怖バー

 高橋洋監督の新作映画『恐怖』公開を記念し、ustream対談〈恐怖バー〉を設けることになりました。公開まで毎週、高橋洋氏をホストにトークを続けていきますが、その第一回目のゲストとして高橋洋氏と対談させていただきます。

“恐怖バー”USTREAM

6月14日(月)  20:00~
ゲスト:柳下毅一郎(映画評論家&特殊翻訳家)
テーマ:映画にとって恐怖とは何か? 
みどころ:ホラー映画や恐怖の権威として清水崇や黒沢清も一目おく高橋洋に、人間の暗部を直視してきた映画評論家・柳下毅一郎が挑む。

 え~この日は23時より日本代表のW杯初戦対カメルーン戦がおこなわれますので、その前座として是非。トークを上回る恐怖体験が…!とならないことを祈っています。

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2010-06-06

白水社ブックカタログ2010

 白水社の出版目録には、毎年書き下ろしのエッセイが掲載されておりますが、今年2010年版に不肖わたくしめが寄稿させていただきました。「本を食って生きている」と題して読書人のたしなみについて書いております。書店店頭、あるいはホームページからの注文で無料で入手できますので、是非お読みいただけると幸いです。白水社と言えば最近ではもちろん大傑作『野生の探偵たち』ですがサッカー本の有力版元であることもお忘れなく。ああもう始まっちまうじゃないか畜生め……

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