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2010-03-23

たまたま8

たまたま8@武蔵小金井アートランド
 武蔵小金井アートランドにて開催の大木裕之プレゼンツのアート・フェス(?)たまたま8に行ってきた。なんの打ち合わせもないままにぶっつけ本番で出かけて行くと、いろんな人が玉石混交な感じでパフォーマンスしていた。大木には「今のアングラとかどうなの?ロフト+1とか…」と言われたがあんたの活動がいちばんアンダーグラウンドだよ! イベント自体は楽しかったが、強いて言えばもう少しアーティストを選んでもいい。たとえばとうじ魔とうじプロデュースなら絶対にハズレの人は出てこない(そのくらい選球眼が素晴らしい)。

 とは言え、大木のやってること自体は好きなのだ。どこまで意識しているかいまいちわからないのだが、大木はアラン・ムーア的な意味での魔術を実践している気がするのである。ぼくは一日しか参加してないけど、たぶんこのイベントも一週間全部見たら、ちゃんと儀式になっているような気がするんだよな。意志と儀式によって現実の意味を変化させる行為。なので、そんな話をちょろっとする。大木も喜んでくれたみたいで、くねくね魔法の踊りを踊っていたよ。

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2010-03-15

たまたま8

 映像作家・大木裕之が2003年から武蔵小金井アートランドで行っているアートイベント、「たまたま8」に出演することになりました。大木とは大学時代からの腐れ縁。お互い、こんなことになろうとは思っていませんでしたよ!

3/20(土)18:30~ @ 武蔵小金井アートランド(東京都小金井市本町1-16-6小金井マンションB1 TEL&FAX 042-383-6155)

チケットは週末1日券(3月20日~22日)で当日2500円/予約2300円(どちらも1drink付き)
予約:tamatamalive@gmail.com tel:090-3145-2083(いまじょう)

 ぼくはレクチャーとしてトークをします。内容については来てのお楽しみですが、この一年くらい取り憑かれている作家の話をすると思います。

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2010-03-14

空想書店

 読売新聞3/14号日曜版書評欄〈本よみうり堂〉の「空想書店」3月の店主役をつとめさせていただきました。「ポストヒューマニズムの本棚」と題してJ・G・バラード的思想を開陳しています。

 ちなみにここで取り上げた本は丸善丸の内本店内特設コーナーに、ぼくの書いた色紙ともども並べられるとのこと。お近くにおいでの際はぜひお目通しを。

 追記:本よみうり堂サイトに原稿がアップされました。是非お目通しください。

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2010-03-13

TAKE∞

 成城大学映画研究部主催の自主映画コンペTAKE∞に審査員として参加することになりました。

3/18(水) 10:30~ @成城大学 チケット\300

 審査員は大槻貴宏(ポレポレ東中野支配人)に叶井俊太郎(トルネードフィルム代表取締役)、堀江慶(映画監督)というメンバー。なんと叶井と並んで自主映画の審査をするということに。世の中どうなってるのやら。

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2010-03-06

食堂かたつむり (2010)

監督:富永まい 出演:柴咲コウ 公式サイト

 見ながら思ったんだけど、この映画の柴咲コウって森ガールじゃない? ぞろっとした麻の服かなんか自作してて、すっぴんでソバカス散らして、髪を枝でまとめてる。これ森だよね? メディア的には森ガールと言えば蒼井優になってるみたいだけど、実は柴咲コウこそが中身も含めて真の森ガールではないかという気がしている。柴咲コウの心の中には鬱蒼たる森林が広がっているのではなかろうか。

 で、この映画だが、柴咲コウが営業する「食べると幸せになる」かたつむり食堂のリアリティを突っ込んでもしょうがない。「食材はどこで入手してるんだ?」とか「一日一組、高校生の客だけで採算とれるのか?」とか「『甘鯛と帆立のカルパッチョ』作るのはいいけど、残った食材はどうするんだ? 豚の餌か?」とか「柴咲コウ、その手つきは丁寧に作ってるっていうより単に手際の悪い人みたいだ。だいたい一皿出して、お客が食べるの確認してから次の皿作ってたら、いったいフルコースで何時間かかるんだ!?」とか「ゆっくり食べてるにしたって前菜でカルパッチョ出して、スープでサムゲタン出して、そのあとリゾットが出て、メインに子羊のローストって、ばあさんどんだけ食欲あるんだよ!」とか、まあそういう突っ込みはしない。この映画にリアリズムはひとかけらもないので。あるのは原作者(=柴咲コウ的森ガールの)「こういう食堂って素敵!」っていう思い込みだけだ。

 それにしてもこれほど行く気の起きないレストランも珍しい。柴咲コウは失恋のショックで喋れなくなっているので、予約取るにもわざわざ出かけていって直接会わなければならない。食堂はテーブルひとつ。もちろん森世界なのでBGMとかはなくて、お客は一人座って黙りこくって食べるのみ(柴咲コウは隣室からその様子をじっとうかがっている)。ものすごく気詰まりな感じがするのはオレだけか。

 劇中で田中哲司が演じている白馬の男(本当に馬に乗って余貴美子がやってるスナックに通ってくる!)が、柴咲コウに絡むシーンがある。酔っぱらった田中が「飯作れ!」と命じるが、コウは相手を嫌っているんで無視する。「わかってるよ。おまえ、オレのこと嫌いだから作りたくないんだろ? 客を選ぶなんてプロじゃねえよ」けだし正論。言い負かされたコウはしぶしぶ食卓に立つ。まあ酔っぱらいに出すもんだからおじやとかお茶漬けとかさっぱりしたもの…で、何をするかというと、いきなりかつおぶしを削り出す
「何時間かけてんだよ! 時間かけりゃ誰だってうまいもん作れるよ!」
 いや正論だなあ。ことさように柴咲コウの料理にはおもてなしの心が決定的に欠けており、それゆえちっとも旨そうに見えない。ここには他者がいないのだ。自分が満足のいく料理を出せればそれでいいというわけ。

 怖いのは自分しかいない森的世界観である。柴咲コウの母であるシングルマザーの余貴美子、コウは自分が不倫で生まれた子供だと思って母を嫌っていたのだが、実はそうではないことが判明する。余貴美子は初恋の相手が行方知れずになってしまったので以後セックスしたこともなく、処女で注射器で膣内に精液を入れて人工授精で子供を産んだというのだ。これいい話として語られるんだが、普通に怖いよ! ていうかそれって『ピンク・フラミンゴ』でマーブル夫妻(ミンク・ストール)がやってた奴だよ! この悪趣味さにこの人たちは気づかないのか!?

 ずっと飼ってたブタを食うときも別に葛藤があった様子はないし、すべてを食い尽くしてしまう柴咲コウの森林は怖い。平和の使者みたいなイメージで飛んでたハトがいるのだが、ある日なぜか死んで降ってくる。それを拾いあげた柴咲コウ……やばい……と思ったら次のカットでジビエの焼き鳥に! それを食ったコウは声を取り戻し、余貴美子と一緒に食ったブタにまたがって空の彼方へ消えていくのだった。

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2010-03-05

喪失(妹)告白 恥じらいの震え (2010)

監督・脚本・出演:吉行由実 出演:延山未来 上野オークラにて

 皆様知ってのとおり、吉行由実と言えば恋愛映画作家である。それも「愛」ではなく「恋」。ピンク映画界にありながら、セックスではなく恋愛を撮り続けることが吉行由実の特異さであり、吉行映画を特別なものにしている。とりわけ林由美香とのコンビ作では恋愛の輝きにより、林由美香の少女性が見事に引き出されていたのである。

 この映画は兄萌えの美少女がさまざまな相手と初体験しようとするんだけどうまく行かなくて…とひたすら家出してしまった兄への思慕を綴る。いかにも吉行監督好みの恋愛譚である。だが、そう思っていると少々意表をつかれる。どうも最近の吉行監督作品って少し趣が違っていて、恋愛以上に性愛の素晴らしさを訴える感じなのである。本作でも最後、ヒロインは何度もしくじったあげくについに処女喪失するのだが、それは恋愛の成就というよりは性愛が満たされた満足感のように見える。かえって前後にサンドイッチされているヒロインの恋愛場面がキッチュで嘘くさく見えてしまうほどだ。吉行監督の新生面をうかがわせる佳作である。

 ちなみに併映の松岡邦彦監督作『男で愛して、女でも愛して』は女優に男役をやらせてホモ映画で、ヒロインは終始男装で上着も脱がないんだけど、やたらとエロチックだという傑作。どうもエクセス作品は敷居が高くて見逃してしまうことが多いのだが、松岡/今西コンビの作品、もうちょっとちゃんと見ないとなあ。

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