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2010-03-05

喪失(妹)告白 恥じらいの震え (2010)

監督・脚本・出演:吉行由実 出演:延山未来 上野オークラにて

 皆様知ってのとおり、吉行由実と言えば恋愛映画作家である。それも「愛」ではなく「恋」。ピンク映画界にありながら、セックスではなく恋愛を撮り続けることが吉行由実の特異さであり、吉行映画を特別なものにしている。とりわけ林由美香とのコンビ作では恋愛の輝きにより、林由美香の少女性が見事に引き出されていたのである。

 この映画は兄萌えの美少女がさまざまな相手と初体験しようとするんだけどうまく行かなくて…とひたすら家出してしまった兄への思慕を綴る。いかにも吉行監督好みの恋愛譚である。だが、そう思っていると少々意表をつかれる。どうも最近の吉行監督作品って少し趣が違っていて、恋愛以上に性愛の素晴らしさを訴える感じなのである。本作でも最後、ヒロインは何度もしくじったあげくについに処女喪失するのだが、それは恋愛の成就というよりは性愛が満たされた満足感のように見える。かえって前後にサンドイッチされているヒロインの恋愛場面がキッチュで嘘くさく見えてしまうほどだ。吉行監督の新生面をうかがわせる佳作である。

 ちなみに併映の松岡邦彦監督作『男で愛して、女でも愛して』は女優に男役をやらせてホモ映画で、ヒロインは終始男装で上着も脱がないんだけど、やたらとエロチックだという傑作。どうもエクセス作品は敷居が高くて見逃してしまうことが多いのだが、松岡/今西コンビの作品、もうちょっとちゃんと見ないとなあ。

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