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2009-10-21

麻瘋女 (1939)

監督・脚本:馬徐維邦 TIFFアジアの風 にて

『深夜の歌声』の怪奇映画監督馬徐維邦の旧作。英語タイトルはLeper Girl。そう、麻瘋というのはあの病気のことなのだ。すでにこの時点で翻訳不能なのだが、かつて中国では麻瘋病は他人に感染させると治ると言われていたらしい。したがって物語はさらにヤバイ方向に……

 清代、尾羽打ち枯らした若者が放吟しながら歩いていたところ、奇特な人物からさる富農の婿にと見込まれる。相手は才色兼備の娘だというので降ってわいた幸運に喜んでいると、新婚初夜、娘は思わぬ告白をする。実は娘の住む村は麻瘋を風土病としてもつ土地で、若い娘はみな麻瘋を病んでいる。そこでそのことを知らぬ者、財産目当ての浅はかな男を婿にとって、麻瘋を感染させたのち、本当に結婚したい相手と再婚する風習があるのだ。だが、生真面目な娘は自分のために何も知らない相手を殺すのも嫌だし、二夫にまみえるのも嫌だった。若者があまりに哀れなので、感染させずに死んでいくつもりなのだ。

 女の真心に男も打たれて二人は愛し合う仲になるが、なんせセックスしたら病気がうつってしまうので三日間同衾すれども手を出さず。濃厚なエロティシズムがたちこめる。三日目にとうとう男は旅立つのだが、その際、感染しているように見せかけるため、娘は若者の全身にキスマークをつけ、発疹に見せかけるのだ!

 しかもこれがミュージカル仕立てなものだから、途中「♪麻瘋~ 麻瘋~ これにかかったら一族郎党縁切り~」とか「♪わたしの手は腐れて顔は焼けただれ~」みたいな美しい歌がそこここに入る。麻瘋が発病して療養所にたたき込まれた女は、男に逢いたさのあまり男の家まで乞食となってたずねていく。男は科挙に合格して大成功している。最後は怪奇映画的な名場面のあと、女が奇跡的に麻瘋が治ってハッピーエンドなのだが、ここは男が娘のことを忘れてきれいな嫁さんもらっていて、麻瘋女の大復讐となってほしかったところだ。

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コメント

はじめまして。
いつも楽しく拝見させてもらっています。
私も『怪奇猿男』とあわせて昨日鑑賞しました。馬徐維邦監督に関しては高橋洋氏の著書で最近知ったのですが、『深夜の歌声』も見てみたいのです。やはりこういったDVD化もされていないような作品というのは今回のような上映の機会を待つしかないのでしょうか。

投稿: 米主義 | 2009-10-21 02:24

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