アラン・ムーア×H・P・ラヴクラフト
Alan Moore's Yuggoth Cultures and Other Growths(Avatar)を読む。ムーア×ラヴクラフトという夢の組み合わせ、これは読みたい!人は多いだろう。元になっているのはいかにもムーアらしいアイデアで、ラブクラフトの長編詩Fungi from Yuggoth(「ヨゴス星より」)の詩句から自由に発想をふくらませて一冊の本を作ろうというのだ。
ムーアは実際に何編かのシナリオを書いていたらしいのだが、そのアイデア帳をタクシーの中に置き忘れる!といういかにもラヴクラフト的な事故にみまわれ、完成を断念する。結局断片をかき集めて復活させたのが二篇のみ。ラヴクラフトの父、ウィンフィールド・ラヴクラフトの悪魔との遭遇を描くThe Recognition があまりに素晴らしいので、これ完成していれば傑作だったんじゃないかと思うんだがなあ。 ここであえてラヴクラフトの父親にまつわる伝記的事実を調べてきて、それをコズミック・ホラーにつなげてしまったりするあたりがいかにもムーアっぽい感じである。
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コメント
ムーア×ラヴクラフトといえば「The Starry Wisdom」というトリビュート短編集にも寄稿してますね。
前に読んだことがあるはずなのに、どんな内容だったか覚えてませんが。
投稿: kingink | 2009-08-29 13:50
ムーア攻めなんですか?
投稿: o | 2009-08-29 13:54
ラヴクラフトといえば、ギレルモ・デル・トロ監督による『狂気の山脈にて』の映画化への期待が高まりますね。
映画化にハズレが多いラヴクラフト作品ですが、2005年にアンドリュー・レーマン監督が映画化した『クトゥルーの呼び声』は、感激のあまり涙がにじむほどの大傑作でした。
映画『クトゥルーの呼び声』では、ラヴクラフトの作品世界を、モノクロ・サイレント・ドイツ表現主義によって、完璧に映像化していました。
ラヴクラフトを映像化するために、ドイツ表現主義の手法を使うアイディアには、目からウロコでした。どうして今まで、誰も思い付かなかったのだろう。
これだけの物を見せられれば、もうラヴクラフトが映像化不可能なんて言えません。ギレルモ・デル・トロには、アンドリュー・レーマンを凌ぐ作品を造って欲しいですね。
投稿: ダンウィッチ | 2009-08-29 15:17