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2009-08-30

スーフリナイトvol.4

 スーフリナイトに行ってきました。回してきました。CDJを見るのもはじめてというド初心者だったわけで、はたしてどうなることかと思ってたんだけど、なんとかなったみたいでよかった。ぼくの仕事にありがちな、「個人的には満足してるけど、周囲の人にはまったく伝わらない」仕事だった気がするな……まあでも楽しかったですわ。DJって本当に(落語の「寝床」的に)楽しいね。

 何にしようかやる前は悩んだんだけど、やっぱこれしかないな……と考えて「J・G・バラード追悼」。セットリストは以下の通り。

"Atrocity Exhibition" Joy Division
"No One Driving" John Foxx
"Chemistry of a Car Crash" Shiny Toy Guns
"Me And J.G. Ballard" Dan Melchior's Broke Revue
"High Rise" Hawkwind
"Down in the Park" Marilyn Manson ft. Nine Inch Nails
"Doctor Jeep" The Sisters of Mercy
"Video Killed The Radio Star" The Presidents Of The United States Of America
"Enola Gay " Orchestral Manoeuvres In The Dark
"Hiroshima Mon Amour" Ultravox

 バラードファンの書いた曲とバラードっぽい曲を並べる方向で。「ラジオ・スターの悲劇」は、あまり知られてないけど、実は「音響清掃」にインスパイアされている。

 早々に出番が終わったんで後はリラックスして聞いてましたが真実一郎(インサイター)氏の「モテキDJ」が素晴らしかったですね。会場では漫画を再確認しながら曲を聴くというクラブにはありえない光景がくりひろげられていた模様。

 ラストは「忘れらんねえよ」。死ぬほど笑った。打ち上げまでひたすら「モテキ」的光景が繰り広げられていたよ!

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大森望のSF漫談VOL.2

 

『狂乱西葛西日記20世紀remix』刊行記念のトークショーにゲストとして呼ばれました。大森望のウェブ日記本の出版記念イベントということで、ほぼ同時期にウェブ日記をはじめた登場回数ランキ ング6位として登壇。まあ昔話をすることになるんじゃないかと思います。連休最終日の暇つぶしにどうぞ。なお、全席立ち見ではなくて、先着順で10席か20席くらいは席があるそうです。

『狂乱西葛西日記20世紀remix』の刊行を記念して、大森望のSF漫談VOL.2を開催します。今回はゲストに柳下毅一郎氏をお招きし、スリリングなトークが展開される予定。たくさんの皆様のご参加をお待ちしています。

開催日時 2009年9月23日(水/祝)19時〜
会場 青山ブックセンター六本木店
参加方法
2009年9月8日(火)朝10時より、青山ブックセンターの店頭もしくはお電話でご参加を受け付けます。トーク終了後にサイン会がございます。 同じく2009年9月8日(火)朝10時より、六本木店にて『狂乱西葛西日記20世紀remix』(本の雑誌社刊 2520円税込)をお買い上げの方にサ イン会整理券を差し上げます。
補足 店内でのイベントです。ほとんどの方は40分〜50分のトークをお立ち見となります。ご了承ください。参加は無料ですが、ご予約を承ります。
問い合わせ先  青山ブックセンター六本木店 03-3479-0479

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2009-08-29

アラン・ムーア×H・P・ラヴクラフト

611382t1cel_ss500_  Alan Moore's Yuggoth Cultures and Other Growths(Avatar)を読む。ムーア×ラヴクラフトという夢の組み合わせ、これは読みたい!人は多いだろう。元になっているのはいかにもムーアらしいアイデアで、ラブクラフトの長編詩Fungi from Yuggoth(「ヨゴス星より」)の詩句から自由に発想をふくらませて一冊の本を作ろうというのだ。

 ムーアは実際に何編かのシナリオを書いていたらしいのだが、そのアイデア帳をタクシーの中に置き忘れる!といういかにもラヴクラフト的な事故にみまわれ、完成を断念する。結局断片をかき集めて復活させたのが二篇のみ。ラヴクラフトの父、ウィンフィールド・ラヴクラフトの悪魔との遭遇を描くThe Recognition があまりに素晴らしいので、これ完成していれば傑作だったんじゃないかと思うんだがなあ。 ここであえてラヴクラフトの父親にまつわる伝記的事実を調べてきて、それをコズミック・ホラーにつなげてしまったりするあたりがいかにもムーアっぽい感じである。

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2009-08-28

海よおいらの歌に泣け(1961)

 監督:田口哲 出演:白根一夫、万里昌代、天知茂  TCC試写室での自主上映会にて

 出演者も監督もまったく無名の作品。1961年、新東宝の配給で公開された幻の映画が自主上映で復活。というわけでさっそく駆けつける。主演の「白根一夫」もまったく知らなかったんだが、東芝からデビューしていた歌謡歌手らしい。物語はフェリーの船員をやってる主人公が美声をかわれてバンドの歌手にスカウトされるが、父の猛烈な反対にあい(「おまえを夜学にやったのは人前で歌わせるためじゃない!」)、飛び出すように家を出る……という筋立て。

 もちろん最後にはめでたしめでたしになるのはわかっているのだが、そこまでの苦労の描写が酷すぎて笑った。海岸で歌っていた彼の声を聞いた東芝の部長がその声に惚れこむのだが、名前を聞きそびれたせいで以下どうしようもないすれ違いドラマが演じられる。ひたすら歌手と部長がひたすら「きみの名は!」とすれ違い続けることで物語を引っ張るのである。主人公がまったく演技できないせいで、何があってもただ黙って突っ立ってるだけだというのは笑うしかない。

 猫型女優としておなじみ万里昌代はバンドが居候するバーの娘(でもちろん主人公に恋をする)。特別出演の天知茂は落ちぶれて流しをしている主人公の声を聞いて「こんなところで流しをするような人間じゃないはずだ!」と助けの手を差し伸べようとする顔役でワンシーンだけの顔見せ。格闘シーンでは天知がカメラに向かって拳を振りまわす!(殴られる側の主観ショット) 残念ながら天知の善意はすれ違い攻撃の前には無力なのであった。

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2009-08-26

『童貞放浪記』公開記念イベント

 ヒューマントラストシネマ文化村通りで絶賛公開中の映画『童貞放浪記』で公開記念トークに参加することになりました。

9/5(土) 19:00の回上映後 トークショー @ヒューマントラストシネマ文化村通り
ゲスト:吉行由実 黄金咲ちひろ 神楽坂恵 柳下毅一郎 (予定・敬称略)

 てっきり原作者相手に童貞話をさせられるのかと思ったら、あっと驚く巨乳祭り。そしてこの中でぼくは「童貞どうですかイヒヒヒヒ」などとセクハラなトークをすることになるんでしょうか? まあみなさん巨乳見に来てくださいね。

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2009-08-19

ムーアとニューウェーブ

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 アラン・ムーアがウィリアム・バロウズから強い影響を受けているのは、たとえば『ウォッチメン』にNova Expressっていう左翼雑誌が出てくることからもわかるわけだけど、ムーアが六十年代の英国にいたSF小僧だったことを考え合わせると、ムーアのバロウズ趣味はNew WorldsとJ・G・バラード経由なのではないか?と想像される。ムーアもニューウェーヴ少年だったのでなかろうか?

 Mustardというイギリスのコメディ雑誌に載ったムーアのインタビューを読んでいたら、思いがけぬところでその答えを見つけた。League of Extraordinary Gentlemenの第三巻Centuryの第二部についているおまけ小説の話である。なんでもおまけ小説は月世界でのパルプSF風冒険譚になるらしい。で、それを掲載するのに

今回はそれが六十年代のSF雑誌、マイク・ムアコックの素晴らしいNew Worldsに載っていたことにしようと思ってる。New Worldsが性的な内容をめぐってWH.Smith書店とトラブルになったとき、ブライアン・オールディスが、誌名をLewd Worlds(みだらな世界)に変えればいいって言ったという。だから我々のMinions of the Moon(月世界兵団)はLewd Worlds of Science Fictionに連載されている--編集長はジェイムズ・コルヴィン、これはムアコックのペンネームなんだけど、六十年代後半の(New Worldsの)編集後記で、掲載拒否原稿の詰まったファイリング・キャビネットに押しつぶされて死んだって書かれていたんだよ。それから作者の名前には「ジョン・トーマス」というのを使う。わが最愛のNew Worlds作家の一人であるジョン・スラデックが昔使っていたペンネームだよ。

 正しくはジョン・スラデックとトマス・ディッシュの共作ペンネームだが、こんな誰もわからないようなネタを必死に考えているムーア先生のNW少年っぷりがすばらしい。そしてムーア先生もジョン・スラデックのファンだったとは。オレ、間違ってなかったなあ。

 なお、このインタビュー、他にも

...I don't even know if I've got a copy of Watchmen in the house, or V for Vendetta. I've not got any copies of Swamp Thing.
 なんて爆弾発言があったり、『ウォッチメン』の映画がらみでワーナー・ブラザーズに不快な思いをさせられたので「呪ってやったぜ(プロフェッショナル的な意味で)」と言ってたり、全編翻訳したいくらいのおもしろさ。新作小説Jerusalemの話はまたいずれ紹介します。

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2009-08-08

審理 (2009)

Omote
監督:原田昌樹 出演:酒井法子、星野真里、田中圭 企画・制作:最高裁判所

 最高裁判所制作による裁判員裁判PR映画。これだけならなんということもないはずだったのが、ヒロインの酒井法子が覚醒剤取締法違反で逮捕状が出て逃亡中(8/8現在)となったため、使用を停止。ホームページも閉鎖し、DVDの貸し出しも停止という封印状態になってしまった。何もなければたぶん一生かかわりをもたなかった映画だが、こうなると見ないわけにはいかないな……と図書館から借りてきた(笑)。
 監督はウルトラマンティガなどを撮っていた原田昌樹。その件にも絡んで、切通理作氏がアピールを出している。

 昨日、最高裁は酒井法子主演、故・原田昌樹監督の裁判員制度広報用映画『審理』の配信及び公共施設での貸し出し、および上映活動の中止を決定したというニュースを知りました。
 私はただいま、ライターとして原田監督の遺された言葉を集め、関係者の証言をいただいた本を作っております。
  
  その過程で、原田監督の遺作である『審理』は癌で余命を宣告されていた中で、命を刻むようにして作っていった作品であることを知りました。毎日撮影が終わると、監督は自宅で倒れていたといいます。それでも、撮影現場の誰一人重い病気だと気づかなかったぐらい、気力を限界まで振り絞って作られたのです。
  出来上がりは壮絶さのかけらも見せず、裁判を描いて、ここまで心がやわらかくなる映画が他にあっただろうかというようなテイストで、酒井法子演じるごく普通の主婦の視点で、裁判員制度に臨む人たちに、人が人を裁くのではなく、罪を裁くのだということをわかりやすく説いていました。
  
  原田監督が生きているときにはまだ行われていなかった裁判員制度における法廷、つまり「未来法廷」。そこを描くということは、監督からいまの時代に放たれたメッセージ。
  それが、こんな形で「封印」されてしまうなんて。
  裁判員制度の第一回法廷が開かれた直後という、ある意味一番タイムリーな時期に、こんな「未来」が待っていたなんて。

  酒井法子さんは原田組最後の主演女優でした。
  覚せい剤の有罪性について論議があるのは知っています。でも、もし容疑が本当なら、酒井さんには、こういう影響がある立場の仕事なのだということに、もっと自覚を持ってもらいたかった。少なくとも、そういう信頼があっての上でのキャスティングだったと私は聞いています。

  でもその前に、容疑の段階でのこの措置は、公平な裁判について描く広報映画への措置として、他ならぬ最高裁が、性急に下していい判断だったのでしょうか。

  そのことを、疑問に思います。

  また、作品そのものと出演した役者、制作に携わったスタッフの私生活とは区別して考えるべきではないでしょうか。

  そしてこの作品を、最高裁が制作した作品として、歴史から消してしまうようなことに、もしなったとしたら、とても悲しいことです。今回の公開中止はあくまで一時的な措置であることを祈ります。

 酒井法子が演じているのは裁判員に選ばれてしまったせいで友達とのランチに行けなくなって「シェ・タツミのランチ、食べたかったなあ~」と泣き崩れるノンポリ主婦、子供には「ママって優柔不断だし、いっつもグズグズ悩むじゃん」とくさされている(いやいや、夫がつかまった瞬間に逃走を決める判断は素早かったと思うがなあ)。証拠調べで犯人と被害者の複雑な事情を聞くうちに、「世の中には、わたしよりも不幸な人もいるんだよねえ」と……

 ところで、映画の中でも再三、「審理がすべて終わるまで、予断をもたずに冷静に判断して下さい」と裁判官(星野真里)はくりかえす。もちろん、推定無罪の原則なんていうのはただの建前であり、テレビや新聞はよってたかってノリPに制裁を加えている。それに鼻白んでみせるほどナイーブなわけじゃない。でも、せめて裁判所くらいは建前を守るポーズくらいしないとまずいんじゃないかね。酒井容疑者はまだ逮捕もされてないわけなんだが。

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是枝裕和監督取材

 六本木のアスミックで是枝裕和監督取材。お題はもちろん9月下旬公開、ペ・ドゥナ主演の『空気人形』。宣伝の人の話によると、取材前、是枝監督は「柳下さんはこれまでのぼくの映画は苦手でしょうね……」とこぼしていたらしい。一方ぼくの方も真面目な人相手に死んだようなインタビューになるのでは……とおそるおそる出かけたのだが、あにはからんや思いがけず意気投合して盛り上がってしまった。

 ひたすらペ・ドゥナの素晴らしさをたたえあい、空気人形から空気が抜ける場面のエロさを語り合うオレたちはすでに監督でも評論家でもないただの変態さんと化していたのだった。なんか魂通じあっちゃったな~。まーしかしぼくと是枝監督という物差しの両極端のような人間同士まで結びつけてしまうドゥナちゃんおそるべしというべきか。オレ的には本年ベスト1作品ですんで、公開されたらみなさんも是非見に行ってください!

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2009-08-06

スーフリナイトvol.4

〈スーフリナイト〉というイベントに出演することになりました。なんと初DJ。それなに? 食えるの? という感じなんで、みんな指差して嗤いに来てください。真実一郎氏には前から会ってみたいと思っていたので楽しみにしています。

スーフリナイトvol.4 -スーフリ Strikes Back!-

8月29日(土)  17時30分~22時30分

浅草STELLA 東京メトロ銀座線田原町駅徒歩6分

DJ 横文字三郎(エロ本編集者の憂鬱と希望)、かちゃくちゃ(大衆決断)、とんびのからあげ(未来の文学)、大坪ケムタ、地球宇宙そして我ら、DJエメラルド(a.k.a DJ world-japan)、ryuto taonと抱擁家族(LIVE SET)

Guest DJ 柳下毅一郎(特殊翻訳家)、真実一郎(インサイター)、オス山メス太郎(忘れらんねえよ・SOLO LIVE SET)

1000円+500円(1drink)

info http://d.hatena.ne.jp/breaststroking

※本イベントではスーフリ的なことは起こりません。

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