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2009-06-23

有害図書指定

Gview  先に刊行された『Murder Watcher vol.5 殺人大パニック!』が福島県教育委員会から有害図書指定を受けたと連絡があった。洋泉社でははじめてのことだという。『萌え萌えお仕置きアイテム辞典』『多重人格探偵サイコ』などと並ぶと、なんとなく達成感があるのが不思議だ。ちなみに「著しく青少年の自殺又は犯罪を誘発し、その健全な育成を阻害する恐れがある」そうである。おかしいなあ。我々としては日々健康優良不良少年の育成をめざしているのだが。

 先日開かれた編集会議では、この指定を重く受け止め、今一度初心にかえって青少年健全育成のために活動してゆくことが確認された。そのため次号は少し間をおいて年内刊行予定。福島県犯罪史を大特集する。いや、福島はいいのがいろいろあるんですよ。全六巻のすばらしい『福島県犯罪史』なんて本まであるくらいの犯罪先進県ですからね。乞うご期待!

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2009-06-22

モフセン・マフマルバフ「“明日”では遅すぎる」

Makhmalbaf Film Houseよりyoutubeに掲載された2009年6月16日、EU議会にてのアピール(英語スピーチは『ペルセポリス』のマルジャン・サトラピ)

みなさん、6月12日の夜、選挙管理委員会からムサビの元へ過半数を制したので勝利演説の準備をするよう電話がありました。その後、ムサビ候補がスピーチを執筆し、彼の勝利を祝う友人たちが集まってきたとき、革命防衛隊の幹部が事務所を襲い、民主革命を押しつぶすクーデターを起こしました。その後まもなく、国営テレビがアフマディネジャドの勝利を宣言し、四人以上の人間が集まる集会を禁止すると発表しました。

昨日、自分の票を盗まれた人々は、当局の禁止令に逆らって、数百万人ものデモをおこないました。多くの死者と負傷者、逮捕者が出ました。私たちは国際社会に、アフマディネジャドの大統領当選を認めないように訴えます。イラン人民は国際社会に待ってほしいのです。正統な大統領を送り出せるまで。

イラン人民は核兵器など求めていません。イラン人民は平和と民主主義を求めています。みなさん、イラン人民の声に耳を傾けてください。選挙の前には誰もが訊ねました。「イラン人民に民主主義は可能なのか?」答えはイエスです。ええ、わたしたちには民主主義の準備ができています。それを投票で表現しましたが、その声は聞き届けられませんでした。

アフマディネジャド氏の大統領としての正統性を認めるというのは、イラン人民の正統性を認めないということです。イラン人民の民主主義運動を援助してください。ただ平和に生き、夢を見る自由を求め、国際社会において名誉ある地位を占めることだけを望む人々を。“明日”では遅すぎるのです。

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2009-06-21

SFファン交流会

Img_3560  会場の大向区民会館についたら、こんな掲示が。おいおい。
 なんと会場予約にミスがあって、場所が取れていなかったらしい。で、急遽決まった代替会場が新宿パセラ。即日で取れる20人入れる会議室ってカラオケボックスしかないんですね。なんか雰囲気的にはだいぶ変わってしまったわけですが、粛々と会場移動。誰一人文句を言ったり暴れたりしないところがさすが羊のように文明的なSFファンだ。

 そんなわけでカラオケボックスでバラードの話という予想外の展開。適当にバラードと英国植民地文学とか、戦前の上海の可能性とか、自伝に基づいた話なんかろいろいろ話す。SpeculativeJapanのサイトでレポートが上がるらしいのでお待ちを。

8668331_2991014542 ちなみに当日は岐阜のブログコミュニティSignaLの人が作ったバラード追悼Tシャツを着ていった。 なかなかお洒落で気に入っている。着た姿を送ると約束していたのだが、ドタバタですっかり忘れていた。

 で、合間にOS3.0にアップデートしたiPhoneをいじっていたら何が悪かったのかいきなりフリーズ。再起動をかけようにも林檎マークが出たまま反応しない。 iPhoneが使えないと実に何もできない自分がいる。すっかり依存症だ(その後復元してオレの愛しいiPhoneが帰ってきたよ)。

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2009-06-14

斜陽 (2009)

監督:秋原正俊 脚本・編集:落合雪恵 音楽:黒色すみれ 出演:佐藤江梨子、高橋ひとみ、温水洋一  公式サイト

 先日、なんの気になしにAV女優のその後とかを調べていたときのことである。白石ひとみって引退後ノイズ・ミュージシャンになったんだっけ? まだやってたの?とか考えてたんだけど、カエルカフェというCDレーベルをやっているらしい。で、そこのウェブページを見てみたら「カエルカフェシネマ」の名が。え、映画作ってるの? 気がつくとこんなに作品が並んでいた

 出演者が谷村美月堀北真希ガッツ石松! どうしてこんなメンバーが集められるのか。そもそもこんなキャストで映画が作られながら、まったく話題になってないのは何故なのか。なんか既存の映画界とはまったく別の論理で作られて流通しているような気がする。

 その新作がサトエリ主演、太宰治原作の『斜陽』だという。これは見ないわけにはいくまい。

 渋谷のTheater TSUTAYAに客は10人もいなかった。まあ通常の映画流通とは別の論理で作られているので……

 物語は戦後、没落した旧貴族の家の娘と母の物語。で、箸より重たいものを持ったことのない娘・サトエリがいろいろ辛酸をなめることになるわけだが、当然自主製作レベルの予算しかないカエルカフェシネマだけにセットも小道具も大きなものは作れない。可能なかぎりサトエリと高橋ひとみの会話を多くして家の中だけで物語が進んでゆく。それでもそこかしこにほころび出てくるが、まあそれはしょうがないよな……と思って見ていたのだが弟役の伊藤陽祐が出てきたら、ジーンズにTシャツ姿。え?と思うとサトエリが恋人にケータイメールを打ってる! え、これ現代の話だったの!? だったらこのサトエリの大時代な服装は!?!

 なぜかサイレント風の演出がされていたり、突然黒色すみれのPVがはじまったり、かと思うと「ギロチン、ギロチン、シュシュルルル」は活かされていたり、謎の多い映画だった。カエルカフェ、奥が深い。

 なお、脚本と編集を担当している「落合雪恵」こそ白石ひとみその人らしい。

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2009-06-11

ミステリーズ!2009/06

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 東京創元社より発行されているミステリ雑誌〈ミステリーズ!〉の2009年6月号に「バラードの死とバラード的生」と題してJ・G・バラードの追悼文を寄稿させていただきました。ミステリ雑誌になぜバラード、というところですが、バラードの翻訳を日本で一番出しているのは創元推理文庫なのですから、まあ当然でしょう。追悼文は他に山野浩一氏、増田まもる氏が寄せてらっしゃいます。山野さんがSFについて文章を書くのは久しぶりではないんだろうか。合わせてお読みいただければさいわいです。

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2009-06-10

映画芸術フェア@ジュンク堂新宿店

 ジュンク堂池袋店ではじまった映画芸術+nobodyのフェアだが、場所が変わって今度はジュンク堂新宿店。色紙も運ばれてきた。

 おや? なんか一枚色紙に書かれている文字が変わっているような?

 こういうのなんていうんだっけ? キジも鳴かずば撃たれまい、だっけ?

 まあトラックバックも送ってこないようなものは無視しようと思っていたのだが、コメント欄でも書かれているので、一応返答しておく。第二次惑星開発委員会NEWSでは


「オレの中にある悪意はルサンチマンという言葉で表現されるものとはちょっと違うと思うな。」

…そうかなぁ?

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6/2(水)
 わかったよ、オレは。要するに正義は向こう(行定&柴咲)にあるんだ。あいつらが世間というものであり、あいつらが正しいのが世の中というものなんだ。そして『世界の中心で、愛を叫ぶ』連中を見た瞬間に理由もなくムチャクチャにしてやりたい思いに駆られるオレは悪の側なんだ。
http://www.ltokyo.com/yanasita/diary/04061.html(リンク先訂正)
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 とあり、宇野くんはどうやらこの一節がルサンチマンの表現だと思っているらしい。ひょっとして一人で『世界の中心で、愛を叫ぶ』を見に行ったらまわりがカップルばかりだったんで「きーっ!悔しいざます!」と頭にきたとでも思っているのだろうか? どう読んでもこれはたんなる世界に対する悪意の表現なのだよ。ぼくの暗い青春をあげつらいたいのなら、『愛は死より冷たい』(洋泉社)の前書きとか、『ヴァート』の解説とか、もっといい例があるから、そっちを読んだ方がいいよ。ウェブばかり読んでいるのではなくてね。
 なぜか宇野くんは引用しそこねているんだが、このあとの部分で
 今こそオレはジョーカーの気持ちがわかる。カエルを刺してしまうサソリの気持ちが分かる。オレは必ずやバットマンに退治されるだろう。でも、それがわかっていても、オレは戦いを挑まずにはいられないのだ。あいつらと同じ側にだけは死んでもいられない。

 とぼくは自分をジョーカーになぞらえているのだが、ジョーカーってなんかルサンチマンを抱いていたっけ? 宇野くんはたしか『ダークナイト』を高く評価していたんじゃなかったっけ? その上でジョーカーはルサンチマンの産物だと言いたいのだろうか? さらにそのあとの「カエルを刺してしまうサソリの気持ちが分かる」というのが何からの引用かわかるだろうか? たぶん知らないと思うから書いておくが、これはオーソン・ウェルズの『黒い罠』『ミスター・アーカディン(秘められた過去)』からの引用だよ。たぶんオーソン・ウェルズなど見ていないだろうと思うので、是非見た上で(すばらしい映画だからね)、あのオーソン・ウェルズの言葉がどうルサンチマンの表現なのかを論じてほしい。以上。

(オーソン・ウェルズの作品タイトルを記憶違いにつき訂正。6.11)

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『あんにょん由美香』~映画館で逢いましょう

 7/11(土)公開の松江哲明監督『あんにょん由美香』blogでぼくが『あんにょん由美香』に寄せたコメントが公開されています。あいかわらず中野監督はいいこと言ってますね。実はこのコメント、iPhoneで書いてメールしたもの。iPhoneで原稿書いたのははじめてですが、はたしてサイバーなコメントになってるでしょうか!?

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2009-06-08

ゴミ鍋 ~ツヨP!めげるな!もっと発展しろよ!すればわかるさ!編

もうみんなすっかり忘れていたような気がする〈デルモンテ平山と平山夢明のゴミ鍋〉が6/23(火)に一年ぶりの開催となります。場所はもちろんLoft+1。

【平山夢明とデルモンテ平山のゴミ鍋~ツヨP!めげるな!もっと発展しろよ!すればわかるさ!編 】

1年ぶりにゴミが帰ってきた! 例の泥酔事件を予見していた作家がお送りする地デジアンテナピンコ立ちイベント! 炎天下のチャンヂャのような話しか出ません! ミッドタウンの公園なんて二丁目の青パン公園以下だ!金のない撮影現場なんて歯槽膿漏のパンパン以下だよ!

【出演】
平山夢明(作家)
柳下毅一郎(特殊翻訳家)
高橋ヨシキ(デザイナー)
多田遠志(猛獣使い)

Loft+1
OPEN18:00/START19:00

¥1500+order(ちくわぶ付き)

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2009-06-06

時間の墓標 J・G・バラード追悼

6月のSFファン交流会で「時間の墓標 J・G・バラード追悼」と題して増田まもるさんとお話させていただくことになりました。みなさまお誘い合わせのうえお運びください。

■日時:6月20日(土)午後2時~5時
■会場:大向区民会館
   (JR渋谷駅 徒歩10分)

●テーマ:「時間の墓標 J・G・バラード追悼」
●ゲスト:増田まもるさん(翻訳家)、柳下毅一郎さん(翻訳家)
●参加費:500円

●内容:
 またひとり、偉大な作家がこの世を去りました。6月例会では、バラードがSFにもたらした影響、1960年代のニュー・ウェーブ運動、そして翻訳家から見たバラード像などについて、『クラッシュ』『夢幻会社』などの訳書があるお二方に語っていただきます。

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2009-06-03

あんにょん由美香

〈週刊アクション〉6/16号のコラム「アクション・ジャーナル」で7/11(土)公開の映画『あんにょん由美香』のレビュウを書きました。この映画に関してはぼくはまったく他人ではなく、松江くんからインタビューを受けて出演もしています。そもそもこの映画が出来たのは『女優林由美香』のせいなのだから、その意味では主犯とも言える。林由美香に関することなのでとうてい客観視などできないので、これは素晴らしい映画だから是非見てくれ、としか言えません。



 ちなみに6/27(土)〜7/10(金)まではポレポレ東中野で関連企画として〈女優・林由美香×松江哲明監督特集上映〉がおこなわれます。ラインナップはspotted productionなどご参考に。本邦初公開の作品も含め、貴重な作品が何本も含まれておりますので是非。ぼくも日参しておりますから、劇場でお会いしましょう。近づいたら再度告知いたします。

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ルサンチマン中年

 ジュンク堂池袋店でnobodyと映芸の共同ブックフェアをやっているのだが、宇野常寛に色紙でディスられてるって風の噂に聞いたもんで覗いてきた。

 宇野氏の色紙には 「秘■のルサンチマン中年を皆■せ!」 と書いてある(■は元の色紙で潰してあったので、本人が伏せ字にしたものと思われる)。「ルサンチマン中年」ってなんのことだ? なんにせよ、宇野氏はこれが〈映画芸術〉との共同企画だということを忘れてるんじゃないか? 誰がどう見たって映画界でいちばん「ルサンチマン中年」な人がすぐ上にいるんだが。 もっと笑ったのは中原昌也の色紙が一緒に並んでいることである。

 で、何を言っているのかちっともわからなかったんだが、近所の本屋でPLANETSの六号を立ち読みしてやっと色紙の意味がわかった。中に「PLANETS Selection Special 惑星開発会議」という座談会があり、森直人、前田智也、福田彩乃、宇野常寛の四人が園子温の『愛のむきだし』について話していたのである。座談会自体はどうでもいいのだが、その中で、森直人が〈映画秘宝〉の「日本映画縛り首」の中で『少年メリケンサック』をとりあげた回のことに触れたのに対して、宇野常寛がこう言っていたのだ。
『少年メリケンサック』は柳下さんみたいなルサンチマン系の中年はもう通用しないと言っている映画なので、彼らにとっては不快なんでしょうね。痛いところを突かれすぎて。僕も宝島チルドレンのひとりだから、あんまり言いたくないけれど柳下的なルサンチマンについていけなくて、僕は秘宝だったりサブカル保守から離れていったという経緯があります。教室でいじめられている自分はその分真実が見えているんだ、みたいな逆差別をあの年で生きがいにしているところがどうしようもなくつまらない。
「柳下的なルサンチマン」ってなんだ!? ていうかオレ別にいじめられっ子じゃなかったし! たぶん宇野氏的にはオタク=いじめれっ子=ルサンチマンという公式が成立しているのだろう。オレはたしかに暗いかもしれないが、オレの中にある悪意はルサンチマンという言葉で表現されるものとはちょっと違うと思うな。 まあ宇野くんには、人がすべて「快/不快」に基づいて発言しているという浅薄な思い込みをいいかげん捨てて、早いとこ文章の中身を理解する努力をすべきだ、とだけアドバイスしておきます。

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