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2009-04-26

アナタハン島の真相はこれだ!! (1953)

Anatahan1

監督:吉田とし子 出演:比嘉和子

 戦後すぐ、大いに世間を騒がせた「アナタハン島事件」という事件がある。戦時中、孤島に漂流した船の乗組員の中に一人だけ女性がいたことから、彼女をめぐって男たちが殺し合いを演じたというものだ。その女性、比嘉和子は「アナタハンの女王」と呼ばれ、愛欲渦巻く孤島での生活はさまざまな憶測を呼んだ。

 当然事件は映画のネタになり、スタンバーグの『アナタハン』をはじめとして多くの映画が作られた。その決定版とも言えるのがこの『アナタハン島の真相はこれだ!!』である。なんと比嘉和子自身が本人役を演じるという際物映画。てっきり失われた作品だと思われていたが、プラネット映画資料館がなぜか所蔵していて、フィルムセンターの「発掘された映画たち2009」で東京初上映ということになった。

「毒婦」呼ばわりされた比嘉和子が自己弁護のために出演した映画だということもあり、基本的には彼女は男たちの獣欲の犠牲者として描かれている。まあ実際美人でもない彼女が踊りとも言えない盆踊りを踊ってたりするのを見ているとイジメとしか見えないので、ある意味では意図は達成されているのかもしれない。実際、彼女が犠牲者だったのは間違いなかろう。ただ、和子の気を惹くために男たちが食い物を届けたりするのを、いい気になって煽っていたのも事実だろうと思われるのだが。

 もっぱら比嘉和子本人に注目していたわけだが、蔓ブラに腰ミノという土人スタイルでムチムチな肉体美を披露し、観客の期待にもしっかり応えているところはさすがである。あと地面を掘ってミミズ食って見せたのにはびっくりした。まったくためらいがなかったので、あれは本当にやっていたんだと思うな!

 上映はあと一度、29日(水)の13:00からあるので、ご興味ある向きはお見逃しないよう。ちなみに同時上映の『剣劇女優とストリッパー』は売れない女剣劇を立て直すためにストリッパーを舞台にあげてみる、という木に竹をそのまま接いだような話で笑った。

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コメント

初めまして。
今から二十数年前、伊丹グリーンという映画館のオールナイト企画、特撮大会の覆面上映で、まさにこの「アナタハン」を観ました。同じフィルムと思われます。
特撮大会といいつつ「九十九本目の生娘」や「蛇精の淫」が朝8時まで上映される場でした。そこに来るような百戦錬磨の(今でいう)キモオタな観客の方々が、上映後に茫然(呆然?)としていたのを記憶しています。
映画としては学生の自主制作だと思いましたが、並々ならぬ気迫もあり、それは今でも忘れ難いものとして残っております。

投稿: シマダユウコ | 2009-04-28 09:50

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