« 2009年1月 | トップページ | 2009年3月 »

2009-02-27

ナ・ホンジン・インタビュー

P1040503  韓国映画『チェイサー』の監督ナ・ホンジンが来日したので取材に。『チェイサー』は2004年ごろ韓国でデリヘル嬢や富豪を20人以上殺害した連続殺人鬼柳永哲事件をモチーフにしているので、これはもう当然オレたちの出番だろう!と洋泉社の田野辺くんらとでかけたわけである。クロックワークス社は現代アートのギャラリーみたいなところだった。

 ナ・ホンジン自身はあまり表情の変わらない人で、こちらの質問に対して淡々と答えていく感じなので、質問しながら(あー盛り上がらないな~今回のインタビュー失敗だったな~)などと考えていたのだが、途中、田野辺くんが発した質問(柳永哲の人肉食疑惑について)を期に空気が一変。インタビュー終了後には「おまえらすげえぜ! 一緒に写真撮ろう!」と監督の方から記念撮影を頼まれてしまった。田野辺くんの和ませ力は最強。

 インタビューは「映画秘宝」と4月発売のMurder Watcher次号に掲載予定ですので、乞うご期待。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009-02-26

バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争-邦画バブル死闘編-2007-2008年版

61b7pqwqbfl_ss500_
『映画秘宝』の連載「日本映画縛り首」がまとまったので単行本となりました。題して『バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争-邦画バブル死闘編-2007-2008年版』長い! タイトルだけでなく中身も意外とボリュームが出てしまい、入れるはずだった『ボディジャック』や『アディクトの優劣感』の話やら日本一忙しい女優長澤奈央の謎やらといった話は割愛せざるを得ませんでした。残念ではありますが、この研究成果もいつか発表できる日が来るでしょう。その代わりに語り下ろしおまけ鼎談に厖大な脚注までつけて316頁で1600円とサービスしておきましたんで、みなさん本屋で見かけられましたら手にとっていただけると……

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009-02-21

モーフィー時計の午前零時

514wwmirsvl_ss500_
 国書T他と毎度おなじみ底抜け飲み会。最強セクハラマシーンと化したiPhoneが大活躍したとこまでは良かったのだが、最後は例によってどやさな感じに。

 その場で見本としてあがっていた若島正編『モーフィー時計の午前零時』(国書刊行会)を受け取る。ずっしりと重い400頁。装丁に無駄に凝りまくる国書タッチは健在で表紙は赤黒二色に金箔押し! これ、普通に考えると四色より二色の方が安いだろうと思ってしまうのだが、実はそうではなくて二色の方が手間も金もかかるのである。

 帯は羽生善治。しかし何より凄いのは若島正の25頁におよぶ解説で、小説中に出てくるチェスゲームやプロブレムをすべて実際に棋譜を乗せて解説しているのだ! 本文を読む分には必要ないけれど、解説を読むときには手元にチェス盤を置いておきたい。

 小説もたいへん逸品がそろって\2800+税はお買い得だと思うのでみなさま是非とも。ちなみに拙訳のジーン・ウルフ短編は、たいへんウルフらしい傑作で、個人的にも大好きな短編のひとつ。ウルフらしいとは言っても別に面倒な叙述トリックとかあるわけではなくて、戦争の話とかが入ってくるところでふっと世界が広がる感覚を与えてくれるところかな。来週なかばくらいには本屋に並ぶかと思いますので、よろしくお目通しのほど。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

闘う時評

 ブクマコメントでも指摘されてるんだけど、昨日の飲み会で『週刊新潮』のコラムで福田和也が『旭山動物園』を絶賛していると聞き、思わず買ってきてしまった。

 いや、福田和也が政治で人を褒めることはあるのわかってるんだけど、津川雅彦を「現役最高」とまで書いて、どういう政治的利得があるというんだ!? しかもルビッチやヒッチコックを引き合いに出してまで! ちなみに福田は「どんな監督だって、ルビッチであれ、ワイルダーであれ、ヒッチコックであれ、なかなかデビューから三作連続して傑作を世に問えるものでありません」とか書いてるわけだが、あんた、ルビッチの監督第三作って見てるの? たぶん1915年の短編一巻ものだと思われるわけですが(もちろん、ぼくは観ていません)。

「マキノ作品は、ファーストシーンが凝っていますが、今回も意表をつかれました。チリトリに死んだカブト虫を寄せていって、生きている一匹を押し入れに投げ入れる……訳が分かりませんが、観ているうちにその意味あいの深さが分かってくる、という考え抜かれたシーンです」

 これ、投げ込むのは押し入れじゃなくて隣の部屋ね。そこはカブトムシやらクワガタやらが床一杯にざわざわうごめいている昆虫屋敷で、その中に座り込んだ少年がカブトムシを手に恍惚の笑みを浮かべているという……レクター博士かジョン・ドーの少年時代か!?と思うような衝撃のサイコ・ホラー演出。これが「人間嫌いの引き籠もり少年」の描写だっていうんだからさ……

「岸部、長門はともに飼育係を演じているのですが、その演技合戦がすさまじい。ゾウとチンパンジーを担当する係を演じた長門の芝居は、ケレンがたっぷりの癖を前面に出すスタイル。それにたいして、ひたすら動物によりそう係を演じる岸部の控えめな演技は、動物と人間双方の孤独さと、その孤独を踏まえてこその絆を実感させてしまう。奥深いものでした」

 いや、それは普通演出が存在しないという。そしてここで書いてる長門の大芝居が酷いんだよ。独りよがりで思い入ればっかりのもう観てらんないレベル。それを延々長回しで撮ってるもんで……普通の監督なら全部カットだよね。 物語上はまったく必要ないし。

「マキノ雅彦がいるかぎり日本映画は大丈夫、と思わせてくれるものです」

 オレは福田和也の映画を観る目がいちばん心配だよ! オレがまったく政治的含意を読めてないだけで、実はこのコラムは褒め殺しを意図したものであるならいいんだけどね!

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2009-02-17

老人動物園 ペンギンが空を飛ぶ (2009)

監督:マキノ雅彦 出演:西田敏行、中村靖日 公式サイト

 行動展示で有名な旭山動物園のPR映画だから、当然きゃわいい動物がわんさか出てくるんだろうな……と思って暗い気持ちで見に行ったが、マキノ雅彦(津川雅彦)のボケっぷりはそんな甘いレベルではなかった! これ、基本は園長・西田敏行とその周囲の飼育係の人間ドラマなんだが、そのメンバーが凄い。長門裕之、岸部一徳、塩見三省、六平直政、榎本明……ってここは動物園じゃなくて養老院じゃないか!?と思わせる大老人大会。

 で、この面々がちっとも有能じゃなく、とりわけチンパンジーの飼育係長門裕之にいたっては、自分がチンパンジーの妊娠に成功したからって、ゴリラの飼育係岸部一徳を馬鹿にする始末。「(雌ゴリラの)マリはおまえのことを旦那だと思ってるからな!」からかわれた岸部一徳はすねてゴリラの檻に閉じこもる(子供か!)。しまいにゴリラの飼育係を降りてしまう。ふられてしまったマリ(雌ゴリラ)はハートブレイクで死んでしまうのだ!

 ついにチンパンジー出産の日が来た。産まれたぞ!と大喜びの長門裕之ははしゃぎすぎてゾウに抱きつき、踏みつぶされてしまう! 葬式では中村靖日(元ヒキコモリ)が「野生の壁を犯したから、その報いですよ!」と言い放つのだ。

 ……で、延々ダメ飼育員たちとダメ動物園を救えって市民運動(岸部一徳が着ぐるみ着てビラ配ったりする)が続くばかりで、行動展示をはじめるのは最後の五分くらいだった! ペンギンはCGで宇宙空間を舞ってたよ!

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009-02-10

SFが読みたい!

111458

『SFが読みたい!2009年版』で発表されたベストSF2008・海外篇において拙訳であるジョン・スラデックの『蒸気駆動の少年』が見事ベスト第二位に選出されました。なんと奇想コレクション史上最高順位を獲得! これもひとえにご協力いただいた素晴らしい訳者陣のおかげです。読者のみなさまのご支援にも深く感謝いたします。
 ちなみに上位入選を記念して、2/25発売のS-Fマガジン4月号にスラデックのパロディ短編「よろこびの飛行」を訳載します。『蒸気駆動の少年』には(奇コレの性格的に)パロディSFものは収録できなかったので、その補完という意味もこめました。合わせてお読みいただければ幸いです。

 なお、「このSFを読んでほしい!」のコーナーでは国書刊行会のところにぼくの関係タイトルがあがっていますね。それ以外にも、いくつか(あっと驚く作品も含めて)翻訳は予定されてますんで、乞うご期待!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009-02-03

映画芸術ベスト&ワースト10

「映画芸術」#426 ベストテン&ワーストテン発表号が出ていた。立ち読みだけのつもりだったけど、あまりに酷いんで思わず買ってしまった。これは本当に酷い。衷心より申しげるが、一刻も早くこの雑誌は廃刊されるべきだ。これ以上、荒井晴彦は恥をさらすべきではない。「映画芸術」という素晴らしい雑誌の末路がこんなものになってしまったというのは、本当に残念なことである。

 荒井晴彦が嫉妬と僻み根性だけでできあがった人間なのはみなさんご存じだろうが、今年ほどそれがあからさまだったことはないのではないか。荒井晴彦はただ自分の嫉妬心を満足させるために映芸ベスト10を利用している。

 では、今年のベスト10を見ていこう。映芸ベスト10がベスト点からワースト点を引く特異な採点方法を採用しているのはご存じだろう。今年のベスト5はこうなっている。

1 「ノン子36歳(家事手伝い)」 84
2 「実録・連合赤軍」 83 (116-33)
3 「接吻」 82 (102-20)
4 「トウキョウソナタ」 81 (125-44)
5 「人のセックスを笑うな」 「PASSION」 55

 ちなみにぼくは今年のベスト邦画は「実録・連合赤軍」であり、これを一位にするのが「映画芸術」の義務だろうと思っていた。そのためなら少々の操作も許されるだろう。しかしこれは酷すぎる。

「実録・連合赤軍」のマイナス点は
荒井晴彦 -10 映芸ダイアリーズ -10 岡本安正 -5 藤元洋子 -5 中島雄人 -3
「接吻」
荒井晴彦 -10 寺脇研 -5 山下絵里 -5
「トウキョウソナタ」
荒井晴彦 -10 藤元洋子 -10 寺脇研 -10 映芸ダイアリーズ -9 中島雄人 -5

「映芸ダイアリーズ」というのは映画芸術DIARY で映画評を書いているメンバーの合評 つまり編集部お手盛り) 岡本安正は「会社員」 藤元洋子は「派遣社員」 中島雄人は「ゴールデン街鳥立ち店主」 山下絵里は「築地魚河岸の帳場さん」だ。

 いや築地魚河岸三代目が映画評を書いてもいいよ。でも、これじゃあ荒井晴彦が嫉妬した相手をおとしめるためだけにマイナス点を入れるメンバーを集めてきた、と言われても反論できまい。真面目に投票している人たちはどう思ってるんだろう? 高橋洋も渡辺武信も、こんなところに並べられてどう感じてるのか?

 そして熊切和嘉はこんな投票で一位になって、本当に嬉しいのだろうか? 「ノン子36歳」は素晴らしい映画なのかもしれない。でも、これじゃあ荒井晴彦にとって、熊切なら安心して褒められる=嫉妬を感じず、上から目線で見られる相手だって言われてるも同然じゃないか。実際には熊切監督に対しても侮辱を働いてるんだってことを、映芸の人たちはわかっているのか?

| | コメント (1) | トラックバック (3)

2009-02-02

恋極星 (2008)

Upch1686 監督:AMIY MORI 出演:戸田恵梨香、加藤和樹 3/14公開 公式サイト

「ティア・マイスターたちが若手実力派女優・戸田恵梨香を迎えて贈る白くて淡い、スターダスト・ラブストーリー」

 このコピーを聞いただけで「これは見ないわけにはいかないな!」と思ってしまうオレはどこかおかしいのかもしれないが、しかしティアマイスターという言葉の響きには逆らえない。たぶんtear +meister つまり「涙の名匠」って意味だと思うんだが、そんなギルドがドイツにはあったのだろうか? そして「マイスター」の割には聞いたことのないAMIY MORIという人気女性写真家って誰なんだ!?(ていうか、綴り間違ってないか?)

 物語は小樽の町で一人知的障害の弟の面倒を実ながら暗い青春をおくっている菜月(戸田恵梨香)のところに、ある日軽いイケメンに変身した幼なじみが11年ぶりに帰ってくるところからはじまる。昔は子供同士で「けっこんしようね」とか約束したのに、自分をほっぽって勝手に外国に行ってしまって、急に帰ってきたからって馴れ馴れしくしないで!などと精一杯ツンツンする戸田恵梨香なのだが、イケメンパワーの前にすでに股間はゆるんでいたのだった……

 で、あとは例によって「奇跡なんて起こらないんだよ!」「5月6日みずがめ座イータ星流星群は13年ぶりの極大です」「Wrecking Ball 左半身失調!」と定番のティアイベントがてんこ盛りです。ティアマイスターはどうも、安っぽい音楽をだらだらと垂れ流してる以外はあまり仕事してないような気がしました。

 製作はデジタルハリウッド・エンタテインメント。デジハリって、昔高城がやってたとこだっけ?

| | コメント (4) | トラックバック (0)

« 2009年1月 | トップページ | 2009年3月 »