« 究極性感 恥穴えぐり(2004) | トップページ | 全文引用 »

2008-10-04

アディクトの優劣感 (2007)

Addicts_flyer監督:藍河兼一 出演:青山華子 公式サイト 原作文芸社刊

 去年の終わり、この映画のチラシを見てものすごい衝撃を受けたのである。そこには「mixiで発掘された新人女優がヒロインをつとめ」と書かれてあった。mixiでヒロインを募集する映画が商業映画として普通に公開されている! 日本映画はどこまで堕ちるのか!? 以来、この映画のことが気になって気になってしょうがなかったんだが、ついにDVD化されたので手にとった。ところがそのDVDジャケを見て、オレはまだまだ甘かったんだと気がついた。そこにはこう書いてあったのだ。

刺激的映像体験! “デフォメ”が映し出すアディクトたちの世界とは…。
“デフォメ”とは--【デジタルフォトアニメーション】 高画質デジタルカメラのスチルをアニメーション化した新手法。連続撮影した実写画像を、アニメーション的に一枚一枚加工し動画化。スチルカメラのレンズが切り取る映像はハイビジョンカメラよりも高画質で奥行き感がある。従来のデジタルビデオシネマをはるかに凌駕する高画質映像が、気鋭のアニメクリエイターたちの技術力によって完成。かつて誰も見たことのない驚きの映像がここに誕生した。

 そりゃ誰も見たことないよ! ていうか映画じゃない! ただの(クリスピン・グローヴァー抜きの)スライドショーじゃないか! こんなものが映倫マークをきちんと取り、入場料金1800円でまがりなりにも上映されてしまうという恐ろしさ。

 主人公は離婚した元主婦レイカ(26)。彼女は2007年5月28日に「俺は理解しあいたいなんて思ってないんだよ!」と意味不明の言葉を叫んで出て行った恋人が死んで以来、抗鬱剤にはまりこむ日々を送っていた。一ヶ月後、薬が切れて正気にかえったレイカは恋人ヒロユキが残していったパソコンを開く(一ヶ月間、パソコンの中身も携帯も見ていなかった!)。パソコンのデスクトップには「2007/5/28」というファイル名の文章ファイルが置いてある。開いてみると、「アディクトの優劣感」と題された文章にはレイカの知らないヒロユキの一年間が記されていた……

 ま、何があったかっていうと、ヤク中のクラブ経営者のヒロユキは一回り以上下の少女ヒノコ(mixiで見いだされた青山華子)という天然系少女にふりまわされるうち、「オレ、ヒノコ中毒になっちゃった」と言いだし、しまいに「インパルスアディクトのオレに最後に残された刺激は無という存在に触れることだけだ」(無には触れられないよ!)みたいなことを言い出してオーバードーズであの世に行ってしまったっていう話である。これがパラパラ漫画で語られるわけで、いやーすごいねこれ。これは劇場で見たかったなあ。まあ絶望して「無という存在に触れたい!」と思ってしまった可能性もあるが。

 それにしても「アディクトの優劣感」というこのタイトル。もちろんこんな日本語は存在しないわけだけど、中にもまったく無意味だったのにはさすがに恐れ入った。「映画」の中では普通に「アディクトの優越感」として語られていたよ!

|

« 究極性感 恥穴えぐり(2004) | トップページ | 全文引用 »

コメント

いいまつがいを、そのままタイトルにしたんでしょうか。

それにしても、柳下さんの語りを読むと、逆に視ておかなくてはならないのではという気がしてきます。

映画では無いですが、ナントカケータイ大賞をとった「あたし彼女」(このタイトル本当に酷い…)の感想も是非お願いします。

読むとイライラする事、必至ですが。

投稿: くるくる | 2008-10-05 00:46

今日、予告編を見た「ヤーチャイカ」は
“写真映画”だそうですよ。

http://yah-chaika.com/

流行ってるんですかね、スライドショー。

投稿: 田波正 | 2008-10-05 19:05

渋谷の映画館でこの映画見ました。
DJがその場で音楽をつけるというイベントでした。
最初なんでセリフが字幕で表示されるのか不思議だったのですが音楽がかかり出すと大音響でセリフが全然聞こえなくなってしまい、このための字幕かと納得しました。とにかく映画館とは思えないような大音響でした。

投稿: k | 2008-10-06 11:17

まあ評価はともかく、エポックメイキングだったんでしょうか。

写真で映画作って商業公開しちゃったんだからそれはそれでえらいですな。

投稿: mm | 2008-10-30 12:09

2chでこの映画(ではない?)のスレを見て思ったのはこの映画を批判してる人は映画を本当に好きな人であると同時に、アディクトの優劣感なる映画に映画を汚されたことを怒ってる人たちのようにみえました。

また、言えるのは映画を作りたくて作りたくて、監督になりたくてなりたくてなれなかった人たちの悲しみの声であるようにも感じました。

商業映画でも、自主映画で劇場公開できない映画は山ほどあるのになんでこの映画が?と思わせるんでしょう。

投稿: めとろん | 2009-01-15 17:49

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アディクトの優劣感 (2007):

« 究極性感 恥穴えぐり(2004) | トップページ | 全文引用 »