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2008-09-13

「秘宝系」って誰のことだ?

誰が渡辺文樹を駄目にしたのか? で

ここははっきり書きますけど、柳下さんなどももう渡辺を追い掛けない方がいいと思う.。
と書かれていた。どうやらこの人は
一般のジャーナリズムや映画関係者が渡辺に無関心となり、秘宝系の人たちしか相手にしなくなってから、あの人はどんどん自分で自分を追い込んでいますよ。
「秘宝系の人たち」が無責任に煽り立てるせいで渡辺文樹はどんどん過激なテーマを追いかけるようになったのだ、と考えているらしい。「秘宝系の人たち」というのが誰を意味しているのかよくわからないが、秘宝まわりで渡辺文樹の追っかけをしているのはぼく一人なので、とりあえずぼくに対して言われているのだと考えて話を進める。

 ぼくは無責任に渡辺文樹の無法を煽りたてているだろうか? 過激であればあるほどいい、というような態度を取っているだろうか? ぼくは渡辺の『腹腹時計』を見にわざわざ清水まで行ったが、その経験はわが映画観に深く影響をおよぼしている。それは『興行師たちの映画史』にもはっきり書いたとおりだ。渡辺こそ映画草創期の巡回興行師たちへの先祖返りなのであり、映画とはまさしく渡辺文樹が上映するようなもののことなのだ。だから、ぼくは渡辺の映画をどこまでも追い続ける義務があると思っている。それが自分にとっての映画体験だからだ。

 そもそも

一般のジャーナリズムや映画関係者が渡辺に無関心となり、秘宝系の人たちしか相手にしなくなってから、あの人はどんどん自分で自分を追い込んでいますよ。
が本当ならば(ぼくはそうは思わないが)、責められるべきは「一般のジャーナリズムや映画関係者」の方ではないのか? 具体的に名を挙げればさっさとケツをまくった四方田犬彦が責められるべきではないのか? その責任を問わず
もちろんこれが、『天皇伝説』を上映させないための逮捕だったのは事実かもしれない。しかし「上映を前に右翼団体などによる妨害行為が懸念されてい」た状況下で、もし上映が行われていたら渡辺自身の身も危なかった可能性がある。渡辺はこの逮捕のお陰でむしろ命拾いしたと考えるべきだ。また一般観客も遊び半分で出掛けて危ない目に遭わずに済んだと思うべき。
と公安の予防拘禁を良しとする神経が理解できない。

 だいたい渡辺文樹の映画を見もせずに

誰にも追い掛けられなくなれば、あの人も自然と映画を撮るのは辞めるでしょう。
と言うあたりでお里が知れている。『天皇伝説』を見ればわかるように、渡辺文樹はどんな思想をも凌駕して映画小僧である。『天皇伝説』のアクション性は昨今の「アクション映画」など顔色なからしめるほどに濃厚なものなのだ。そもそもぼくが『天皇伝説』についてのエントリ
高橋洋、篠崎誠、黒沢清はいかな障害があろうともこの映画を見て打ちのめされるべきである。
と書いたのはなんのためだと思っているのだろう? 重要なのは政治思想などではなく、肉体アクションとしての渡辺映画なのである。その意味もわからず、『天皇伝説』をただ反天皇制を訴える思想映画だと思っている時点で、上っ面だけを報じて映画を見ない『週刊新潮』と同レベルだと言うべきである。

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コメント

自分の世界観を広げるのではなく、矮小な世界観をひたすらセコセコと補完するのがすべてっぽい悲しいひとたちはめずらしくありません。そんな連中には、純粋に映画を志向する渡辺氏(に代表される生きている人間)のスケールのでかさは理解できないのでしょう。理解できないが故に、路上のポスターや天皇制批判、右翼wといったメディアが垂れ流すわかりやすい表層をベースに語ることでちっぽけな世界は安定するわけです。「秘宝系」といったレッテルをはれば、翻訳家でも映画評論家でも殺人鬼研究家でもない「かる~~い柳下さん」のいっちょうあがり…

渡辺文樹氏のさらなる活動写真を期待しつつ!

投稿: 電脳伝説 | 2008-09-13 15:21

柳下さんの言われていることに賛同。
でも、小心者の素人が匿名で書いてることに対して本気で相手することないですよ。
小市民的な発想しかできない輩ばっかり増えてる世の中でストレスが溜まってらっしゃるのかもしれませんが、こういうレベルの皆さんに変にからんでも、余計な時間が取られるだけです。
これからもいい仕事期待してます!

投稿: ai | 2008-09-13 15:50

私は、十何年前に思い立って、反体制フォークソングを歌っているであろう岡林信康のライブに(情報収集せずに)行ったら、エンヤトットをやっていてガッカリしたものです(笑)。

一口に右翼といってもいろんな人間がいるだろうから、一概には言い切れないだろうけど。右翼の妨害で観に行って後悔するような結果になるとは、到底思えませんけどね。そんな事心配してる暇があったら、交通事故の心配でもしてた方がいいと思いますよ。そっちの方がずっと確率高いだろうし。

投稿: 卑怯な臆病者 | 2008-09-14 00:26

>渡辺はこの逮捕のお陰でむしろ命拾いしたと考えるべきだ

表現の自由を侵害する恫喝を看過し、表現者に落ち度があるかのようなこの感覚…。こういう人って映画の何を見てるんでしょうか?

投稿: 正刈草雄 | 2008-09-15 00:59

私は映画秘宝などの柳下さんの記事を見る限りは、柳下さんが渡辺文樹さんの映画を煽るというよりは体感したと捉えて読んでいます。柳下さんの記事を読んで渡辺さんの映画を見たいと思いますし、渡辺さんへのインタビューなどを読んでても、周りが何言おうが、警察に捕まろうがこの人はこんな事で終わらないだろうなと思ってます。

投稿: ウーリー | 2008-09-15 16:38

>重要なのは政治思想などではなく、肉体アクションとしての渡辺映画なのである。

僕も、昨年か一昨年だったか(曖昧な記憶でスミマセン)、『映画秘宝』誌で渡辺文樹さんの特集記事があったとき、
柳下さんが寄稿されていて、この「渡辺映画のアクション性」について触れられていたのを思い出しました。
未だに、渡辺映画を見る機会には与かれないのですが(汗)

批判すること自体は悪いとは思わないのだけど、せめて取り沙汰する人の過去記事くらいは読むか例示するのが筋だと思うのですが、如何か?

既に媒体名は出しているのだから。

投稿: 冬の蠅 | 2008-09-15 17:45

先日のカナザワ映画祭オールナイト上映で初めて渡邊文樹の映画を観た者です。
観終わったいま、柳下さんのおっしゃることがよく理解できます。
思想性とかイデオロギーは映画的快楽のカタパルトでしかない、まさにそんな映画でした。

あと、渡邊文樹ご本人は意外と謙虚でシャイな性格の方のようにお見受けし、好感を覚えました。

投稿: hironaka | 2008-09-16 15:44

渡辺文樹監督、また逮捕されたようです。新作映画「三島由紀夫」の上映妨害ではないかとの話ですが。
今後も目が離せなくなりそうです。でも、その前に映画見せて!

投稿: のわーる | 2009-11-08 19:18

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承前:2008-09-11■[映画人消息]誰が渡辺文樹を駄目にしたのか?id:HALTAN:20080911:p2 何げなくリンクを貼っただけでトラバも送っていないのに、まさか柳下先生がここを読まれたとは・・・。 そもそも 一般のジャーナリズムや映画関係者が渡辺に無関心となり、秘宝系の人た... [続きを読む]

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偶然、話題のものを見つけた。 参考エントリ http://garth.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-10a2.html [続きを読む]

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