〈津山三十人殺し〉幻視行
ザムザ阿佐ヶ谷に月蝕歌劇団公演を見に行く。題して「〈津山三十人殺し〉幻視行」! 都井睦雄ブームはおさまらず、ついに高取英まで参入したというわけだ。音楽はもちろんJ・A・シーザー。
物語はいきなり鬼となった睦雄(胸のナショナルランプは再現されていたが、頭の懐中電灯は天井向き)が虐殺をはじめるところから。村人を殺し尽くそうとする睦雄の前に三人の男があらわれ、「おまえのあこがれの人に会わせてやろう」と持ちかける。「あこがれの人」それは阿部定で あった。
阿部定と都井睦雄を結びつけた芝居は実は前にもあった。燐光群の『阿部定と睦夫』 である。高取英もこれを見ているのではなかろうか。ただ、もちろん月蝕だけにここからの展開はまるっきりオリジナルで、なんとその三人は睦雄の書いた小説の登場人物であったことが判明する。さらに睦雄の驚異の戦闘力に目をつけた大日本帝国陸軍もスカウトに…
なかなかおもしろうございました。高取英っていつの間にか時代に追いついていたのかなあ、とかやくたいもない感想を抱いた(ていうか、時代の方が「月蝕」的なものに近づいたのかな) 。ちなみにいちばんびっくりしたのは「おばやん」役が佐倉萌だったことである。
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コメント
はじめまして。
今頃になって申し訳ないのですが、「津山…」に関して書かれている内容に疑問がありますので、書かせて頂きます。
まず、高取さんが津山…を取り上げられたのは、決してブームに乗った訳ではないと感じます。そんな短期間であれほど史実をかなり的確に描いた舞台に仕上げられるとは思えないからです。
次に睦雄と阿部定の関係ですが、筑波昭氏著「津山三十人殺し 日本犯罪史上空前の惨劇」をお読みください。当時の警察資料や証言を基にしたルポルタージュとでも言う本ですが、睦雄が定に憧れていたことが書かれています。
私は三日目に観劇しましたが、事前に筑波さんの本を読んでいったため、史実を踏まえたストーリー性の高さにも感激して帰った次第です。
以上勝手ばかり申しあげましてすみませんでした。
とても素晴らしい舞台でしたので、その印象を壊されたくないというか…。
投稿: 大西義広 | 2008-09-13 09:51