天皇伝説 (2008)
東京発15:08のMaxやまびこ121号で福島に降り立つ。本日、世界最初の上映となる渡邊文樹監督作品『ノモンハン』、『天皇伝説』を見るためである。降りるとすでに駅前はポスターだらけで文樹世界……ではない。ポスターがない。どこにもない。文樹映画のトレードマークとなっていたポスターがどこにもない。本当に上映はあるのか……という不安は上映直前まで続いた。
開場時間に会場の福島県文化センターに着くと、いつもの渡邊文樹が待っていた。六時半から『ノモンハン』(世界初上映)。これは実は『ザザンボ』以来の福島の土着性を感じさせる重厚な作品で、渡邊文樹の映画作家としての実力を存分に味あわせてくれる。ヒロインの黒瀬麻美が藤原紀香似の美人で、文樹映画の美人素人女優の系譜にまた一頁が加わった(ちなみにサブヒロインもなかなか可愛い)。
だが、心底驚かされたのは『天皇伝説~血のリレー』である。延々と天皇家の血にまつわる謎が語られ、「まあ渡邊文樹の言いたいことはわかるが、映画としては……」と思っていたところへいきなり不意打ち!?! まさかこんなところで『××の××』の再現を見ようとは思わなかった。これは参った。いまどき四畳半で誰も興味を持たない自分の内面について映画を作って満足している自主映画青年たちはみんな文樹の爪の垢を煎じて飲むべき。そして高橋洋、篠崎誠、黒沢清はいかな障害があろうともこの映画を見て打ちのめされるべきである。
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