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2008-07-31

iPhone 3G

 発売四日目にiPhone 3Gを購入してから二週間使いたおし、現在の確定前料金ではパケット通話料241,468円のオレがiPhoneについて語るよ。

 まず、何をやるにも最大の問題はともかく動作が遅いこと。画期的なバタフライ式の日本語入力は実に使い勝手がいいのだが、この動作が致命的に遅い。立ち上げるのに数秒、入力が反映されるのに数秒といった調子なので、入力意欲をそがれることおびただしい。safariは毎回毎回落ちるし、他のソフトも固まって再起動をかけなければならなかったりするのはしょっちゅう。全体に完成度は低く、きわめて不親切である。OSの完成度は漢字talk7.0レベルと言えば、古参マカーにはわかってもらえるか。商品としては致命的欠陥が……とまでは言わないが、今の携帯のレベルから行くと考えられない。

 バッテリーの持ちは悪い。朝から持ってでると夜中前にはバッテリ切れになってしまうレベル。もっぱら充電器を持ち歩いて追加充電しまくっているが、普通考えて予備バッテリは必須。だがエネループでは充電できないという話もあるので、これまた実用上は大いに問題あり、と言わねばならない。

 でも……というからには、当然、それを上回るだけの魅力がある。iPhoneはウェブ端末としてはほぼ完璧な出来である。とりわけMaps(Google Map)の使い勝手は最高で、これだけでもiPhone 3Gを入手する価値はある。見知らぬ街に行っても、これだけでガイドブックから道案内までほぼすべての用が足りてしまう。たしかに携帯としての完成度は低いのだが、これから出来るだろうことを考えるとレベルが違いすぎる。そして、完成度はこれからどんどん上がっていくのだ。

 住所録から電話やMapsに連携するあたりの使い勝手はさすが。ただしこればかりはもともとMacのAddress Bookで住所管理をしていたからできることではある。それをやっとかないと厳しいね。

 App Storeは大いに活用している。以下、お気に入りアプリを列挙

駅探エクスプレス 必須。ほぼ現状では最強アプリ(値段も含めて)。
midomi 元々はウェブ版のサービス(鼻歌を歌うと、曲名を推測して教えてくれる)だが、iPhoneに移植されるとものすごく楽しいおもちゃになった。先日はみんなで「ポリリズム」を一発で出すコンテスト、とかやっていた。
Twittelator  twitterアプリはいくつかあるけど、今のところこれが最強っぽい。Twinkleは位置情報で近所にいる人のtwitterを探してくれるアプリで、これまた非常におもしろい。なんか新しい出会い系が生まれそうな雰囲気。
AOL Radio ネットラジオ
Big Canvas Photoshare iPhone専門の写真共有SNS。どうかと思っていたのだが、やりはじめると意外とおもしろい。全員iPhoneなので、写真アップの敷居が低いからかな。
Starmap 星図アプリ。先日尾道に行ったときに必要性を実感したので購入。まだ役だった場面はないけれど、

 今後の希望としてはiWantの日本版(これはyahoo!とかからデータ引っ張ってくるだけなんだからすぐに作れるのではないかと思う。そのままの移植でいいから作ってくれ!)とGPSロガーだなあ。とりわけGPSロガーはiPhoneの機能を考えるとたいへん楽しいものができるのではないか。

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2008-07-30

いつも明日がある (1955)

Theres_always_tomorrow 監督:ダグラス・サーク 出演:バーバラ・スタンウィック、フレッド・マクマレー、ジョーン・ベネット

 PFFのサーク特集にて鑑賞。心底打ちのめされる。完璧な映画、完璧な絶望の映画である。フレッド・マクマレーは20年前に結婚して今では三人の 子持ち、玩具会社を経営する幸せな夫である。そこにある雨の夜(ほとんどフィルム・ノワールのように)20年前に突然会社を辞めた元従業員バーバラ・スタ ンウィックが訪ねてくる。彼女は今ではニューヨークで成功したファッション・デザイナーだ。無邪気に旧交をあたためていたマクマレーだが、息子が二人の仲 を勘ぐったせいで逆に雲行きがおかしくなってくる。自分の孤独を思い知らされたとき、昔の恋人と恋に落ちてしまうのだ。だが、その愛もまた報われない。別れ を告げにきたバーバラ・スタンウィックの顔に、ガラスに落ちる雨の影が落ち、まるで涙のように見える見事な場面。マクマレーは牢獄と化した家から飛び去っ ていく飛行機を見つめる。たったひとつの脱出の希望が飛びさってゆくのを。

 良妻賢母の鑑のようなジョーン・ベネットが、すべてを見通した目で「彼女は可哀想な人よ。女としての希望が何ひとつかなわなかったのだから」と見下すように言い捨てるところが怖ろしい。心の底から打ちのめされたので、『第九交響楽』は観ないで帰る。

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2008-07-29

尾道花火大会 2008


  Innoshima Bridge 
  Originally uploaded by Garth Yanashita.

 週末は毎年恒例の尾道住吉花火大会。いつものように大林家別邸に泊めてもらって、尾道の高台から花火を見下ろすという極楽コース。今年は別邸にバーベキューハウスができたので、さらに食い道楽レベルがあがった!

 花火では毎年いろんな人に会うのだが、今年びっくりしたのは念力歌人の笹公人氏(『叙情の奇妙な冒険』他)がいらしたこと。「尾道に来ると“尾道としのり”と名乗ります」ということなので、そういう人だ。笹氏、さすがに念力歌人だけあってやることがすごい。持参のデジカメで花火をとりながらくびをひねっているので、なんですか?とのぞいてみると、なんと一面のオーブ。こんなに派手な心霊写真見たことないっつーくらいのオーブの嵐である。どれどれ、とオレも撮らしてもらったがやっぱりオーブ。「まあお盆ですからね……」と淡々と語る笹氏。

 翌日は因島までフェリーで行き、白滝山という山に登る。頂上には文政年間に柏原伝六なる者が建てた五百羅漢像が立つ。なんでもこの伝六は神道、仏教、キリスト教、儒教をひとつにまとめる「一観教」という宗教を立ち上げて数千人の信者を集めたのだという。そのせいで、ここには十字架つきの石仏という不思議なものがある。隣の瀬戸田の耕三寺といい、どうもこの辺、フリーダムなものが多いな。

 夜はmidomiで狙いの曲を出す勝負でエンドレスに遊びつづける。ちなみにsoftbank 3Gは意外に強力で尾道から因島まで電波が入らないことは一度もありませんでした。

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2008-07-20

宮崎のモアイ


  Kei'ichi Hara in Rapa Nui 
  Originally uploaded by Garth Yanashita.

宮崎映画祭に行ってきた。宮崎に行くのは数年ぶりである。すっかり東国原支配下の国になっており、すべてのみやげものには東国原知事の似顔絵がついているのだった。ちなみに県庁舎前には知事の出待ちをするおばちゃんの姿も見られ、県庁の隣には東国原グッズを売る店が出ている。店の経営者は大森うたえもんなのだそうだ。

 宮崎ではゲストだった原恵一監督(『河童のクゥと夏休み』)と一緒に遊んでいた。日南市にはサンメッセ日南という謎の巨大公園がある。さる宗教団体がバックにあるようなのだが、広大な敷地に模造のモアイが並ぶモアイ公園なのである(なんでもラパ・ニュイ長老会のお墨付きを得た、世界で唯一の公式模造品なのだとか)。一度は行ってみたかったイースター島だが、まさかこんなところでモアイと出会うことになろうとは。宮崎の抜けるような青空にモアイはよく似合う。広すぎて人影のない敷地内をカートで走りまわり、みやげにモアイまんじゅうを買って帰る。

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2008-07-17

カナザワ映画祭2008 フィルマゲドン

20080716  ついに公式ブログで内容が告知されました。今年9/12〜19の日程で開催されますカナザワ映画祭2008フィルマゲドン。詳しくはブログの方を見ていただきたいのですが、一本たりとも見逃せない超強力なラインナップにはもう脱帽。クリスピン・グローヴァーのBig Slide Showは今年最大の映画的事件といっても過言ではない。釜山とか東京国際映画祭とかあるのかもしれないけれど、心ある映画ファンは金沢に集合せよ! そして心胆のみならず地球をも寒からしめよ!

 告知されているように、ぼくはクリスピン・グローバーの通訳および翻訳をつとめるつもりです。Big Slide Showを見たときの話はこちら。グローヴァーは完璧に狂っているので、いったいどういうことになるのか、当日までわかりません! 乞うご期待!

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2008-07-05

インフェルノ 蹂躙 (1997)

14 監督:北川篤也 脚本:高橋洋 音楽:トルステン・ラッシュ 出演:立原麻衣、由良よしこ

 洋泉社でMurder Watcherの次号に関して田野辺くんと打ち合わせ。最近の殺人事件あれこれについて論じている中で、アフリカケンネル(関根元)について話していたときに、電話があって、出ると高橋洋さんからだった。
「今日『狂気の海』見に来てくれるんですよね?じゃあトークお願いしてもいいですか?」
 快諾してユーロスペース2に出かけると、同時上映の『インフェルノ 蹂躙』はまさしくアフリカケンネルを舞台にした映画だったのだ……

 物語はまるで『サイコ』のようにはじまり、まるで『悪魔のいけにえ』のように終わる。ジャネット・リーが出かけた先がアフリカケンネル(関根元)だったというわけなのだが、つまりこの映画が語っているのはベイツ・モーテルもレザーフェイスが住むシャッターの向こうもアフリカケンネルも実は同じひとつの場所なのだということである。そこはこの世の条理が通用しない場所、そこに行ったらすべてが終わってしまう異界だ。埼玉県のどこかには地獄へ通じる穴が開いていた。だからこの映画でもっとも素晴らしいのは実は美術なのかもしれない。殺人鬼夫婦の住む家の荒涼たる風景を見ただけで、そこにはあってはならないものが現出しているとわかるのだから。

 即席のトークでそんなようなことを喋ると、お客さんで来ていた俳優さんから「実は今度月蝕歌劇団で〈津山三十人殺し 幻視行〉というのをやるんです……」と言ってポスターをもらった。ほら、やっぱり地獄はつながっている……

 で、それとは(たぶん)無関係なのですが来週7/7(月)には『狂気の海』緊急臨時トークということで中原昌也vs高橋洋のトークがあるそうです。急に決まったことで告知もあまり行き届いてないようですが、みなさま是非お運びください。

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