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2008-06-19

デスペア~光明への旅 (1978)

Despair_2_einh 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 脚本:トム・ストッパード 原作:ウラジミール・ナボコフ ドイツ文化センターライナー・ヴェルナー・ファスビンダー映画祭2008にて。

 ナボコフ原作、ファスビンダー監督というオレ的には夢の一本。ビデオでは見ているけれど、ようやくスクリーンで見ることができて大感動。

 これ、原作を読んでいる人はご存じのとおり、主人公の亡命ロシア人である「私」が、退屈な日常と愚かな妻にうんざりしているところで自分にそっくりの男と出会い、自分の身代わりにそいつを殺そうと考えるという物語である。ナボコフお得意の分身テーマに「信用できない語り手」が加わり、きわめて眩惑的な物語が構築される。ファスビンダーがこの物語をどう処理したかというと、もちろん鏡とガラス。自宅は家の中にすりガラスの迷宮ができており、主人公(ダーク・ボガード)はつねにガラスごしに人と言葉を交わす。決して人と直接目を合わさず、一枚皮膜をはさんだ向こうから現実を見つめている。主人公はまったく現実が見えていないので(そのせいでとんでもない結末にいたるのだが)それがガラスの迷宮として表現されているのだ。

 美術は超絶的で、主人公のオフィスには、中に秘書が入るガラス張りのキュービクルがある。まったく意味不明ながらすごい、超現実主義もきわまれりという感じ。そんな物語なので主人公にはまったく感情移入ができず、あまり受けなかったというのもわからないでもないけれど、映画としては本当に素晴らしいなあ。

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コメント

大阪でも7月にファスビンダー祭ありますね。
素晴らしいことです。

投稿: ピ | 2008-06-19 20:34

スチール写真の女性はもしかしてアンドレア・フェレオル(『ZOO』『季節のはざまで』)ですか? 『デスペア』は残念ながら用事があって見に行かれそうにありません。

『ベルリン・アレクサンダー広場』も春にクライテリオン盤DVDでやっと見ることができました。画質・特典・パッケージデザインとも大満足。

クリストフ・シュリンゲンジーフの『ボトロプの120日』をやはり輸入盤DVDで見ました(共同脚本は『素粒子』のオスカー・レーラー)。一応ファスビンダーへのオマージュでイルム・ヘルマンやマーギット・カルステンセンも出ていますが、相変わらず下品なドンチャン騒ぎが繰り広げられます。誰だ、この汚いデブは!と思ったらフォルカー・シュペングラーだった…。

投稿: マヌルねこ | 2008-06-20 23:28

>スチール写真の女性はもしかしてアンドレア・フェレオル(『ZOO』『季節のはざまで』)ですか?

そうです。陰毛も見られます。って見たくないか別に。

実は世界進出を狙った映画なので、いつものストック・キャストが脇にまわってるんですね。

投稿: garth | 2008-06-21 13:55

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