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2008-04-11

Miracles of Life (2008)

51xoscwfcdl_ss500__2   J・G・バラードの最新作である自伝、Miracles of Lifeを読む。

 パリでは、SFはロブ・グリエやアラン・レネなど有力な作家や映画作家のあいだでも人気だったのだから、ロンドンでもそれに対応するものがあるだろう、とわたしは考えていた。これは大きな誤りだった。とはいえ、今日のSF愛好者はまったく異なる人種になった。多くが大学の学位を持っており、ジョイスやナボコフを読んで『アルファヴィル』を見ており、SFをより大きな文学的文脈に位置づけることができる。だが、奇妙なことに、同時にSFそのものが急激な衰退に見舞われつつある。ここにはなんらかの教訓があるのかもしれない。

 最終章にショッキングな癌告白が出てくるわけだけど、そこにいたる前半もすばらしくおもしろい。バラードのほとんどすべての小説の源が上海時代にあった(『ヴァーミリオン・サンズ』すらも!)ことが明かされるのは、バラードの忠実な読者にとっては大いなる喜びである。そして、このいささか人間嫌いのような印象を与える作家が、実は深く人生を愛していたことがわかるのはすばらしく感動的だ。たぶんバラードのどの本よりも暖かな読後感を与えてくれる、20世紀最大の作家が最後に残してくれた賜物である。

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コメント

いま『クラッシュ』を読んでいるんですが、『Miracles of Life』も、是非是非翻訳お願いいたします。
どんな教訓なのか気になります。

投稿: SF健忘症 | 2008-04-11 12:04

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