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2008-04-29

砂時計 (2008)

1006633_01 監督・脚本:佐藤信介 出演:松下奈緒、夏帆 公式サイト

 これ、主演松下奈緒のように宣伝されているのだが、話の八割は夏帆が出てくる過去の島根の話。夏帆の田舎暮らしか~と『天然コケッコー』を思い出してぽわわわとしているあなた、残念それは孔明の罠だ!

 時は一九九五年、事業に失敗した父親と別れた母に連れられて杏(夏帆)は田舎に帰ってくる。だがもともと繊細だった母は離婚のショックと閉鎖的 な田舎暮らしのプレッシャーで鬱病に。ついにある日ぶらりと山に出かけ、帰らぬ人になってしまう。以来杏は心を閉ざし、何かあるたびに不安に怯えて暮らす ようになる。友人がふらっと家出すると「お母さんのときと一緒だ!」と恐怖に震え、いきなり地面に沈み込むような不安の発作に襲われて卒倒してしまう。遠 くの方でピントの合わない黒髪の少女がゆらゆらしてる、とか完全にホラー映画の演出。恐怖のつるべ打ちにすでに夏帆の神経はボロボロ、完全なメンヘル女と 化して……

「こわい……わたしはきっと大悟(恋人)を堕としてしまう……」

 やがて大人(松下奈緒)になった杏だが、どうしても過去の恐怖から逃れられず、ついに婚約者から捨てられてしまう。思い出の島根の浜辺に一人立つ杏は、鞄から割れてしまった思い出の砂時計のかけらを手に、左手首をざっくりと……

 松下奈緒は駆けつけた昔の恋人大悟(ヤンデレにとりつかれたせいで人生を棒に振ってしまった男)に救われてプロポーズされるわけだが、どう見ても完全な共依存です。本当にありがとうございました。

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2008-04-27

少林少女 (2008)

1006139_01 監督:本広克行 出演:柴咲コウ 公式サイト 池袋シネマサンシャシンにて。

 初日にもかかわらず、客は50人ばかり。配給東宝、製作フジテレ ビ、監督本広克行、主演柴咲コウという最強の(最悪の)布陣でこの入り……本格的に邦画バブルの終わりを感じずにいられない。それともドラゴンの祟 りだろうか。劇中、一度でもブルース・リーの映画を見たことがある人にはとうてい許し難いシーンがあるので、思わずブルース・リーを舐めるな! と呟いてしまったのである。

 この映画、カンフーを舐めてるだけじゃなく、ラクロスに対してもたいがい失礼だと思われる(ゲームのルールすらわからない)。こんなのに協力しているラクロスU- 19日本代表チームこそいい面の皮だ。しかしそれよりもまず話の意味がわからない。これ、最大の敵が仲村トオル演じる悪の学校長なのだが、彼は「今時、売り物になるのは美だけだ!」とか言って、富士山麓にある大学の宣伝のために ラクロス部を強化しようとしているのである。で、素人ばかりのラクロス部(ここがすでに意味不明なのだが)に、少林寺で修行を積んだ柴咲コウが入部してくる(学生ですらないのに!)。彼女はものすごいパワーの持ち主だが、個人プレーに走ってチームは崩壊し てしまう。チームメイトに和の大事さを教えられた柴咲コウが何をするかといと…… 壁打ち

 それで協調性が身に付くのだろうか!? そしてチームが連戦連勝をはじめるや、仲村トオルが悪の本性を発揮して「あの女の大事にしているものをすべて壊せ!」と道場を焼き、師匠(江口洋介)を ぶちのめし……って柴咲コウが活躍すれば大学の宣伝になるんじゃないのかよ!

 あー、頭が痛い。終わったあと、前に座っていたカップルの男が「あー面白かった」と言ったのには本当に力が抜けた。これほど誰にも勧められない映画も珍しい。映画を見て怒りを感じるのが 明日への活力になるという人にだけお勧めします。

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2008-04-26

恐怖の対談 映画のもっとこわい話。

Isbn9784791764051  前巻「映画のこわい話」の好評を受け、急遽登場の黒沢清対談集第二弾。なぜかぼくが秘宝でやった「インタビュー」も再録されています。ぼくの分は対談なんて立派なものではありませんが、他の方との対談はいろいろ面白いので是非お読みいただけるとよろしいのではと思います。

 登場するのは高橋洋、鶴田法男、斎藤環、手塚眞、中原昌也、青山真治、テオ・アンゲロプロス、サエキけんぞう、蓮實重彦、伊藤潤二 ですがやはり高橋+鶴田、伊藤潤二というホラー系の話がおもしろいですね。

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2008-04-24

北京国安1-0鹿島アントラーズ@北京

 ACL天下分け目の決戦を見るためにサッカーバー・フィオーリに出かける。この試合で勝てば一次リーグ勝ち抜けが決まるという試合だったのだが……

 正直、この試合は1-0でラッキーだった。下手すればここでACLが終了していてもおかしくなかった。パススピードが遅く、運動量において負けており、1-0で済んだのは北京のFWがシュートをすべてはずしてくれたおかげだった。一点取れたら一気に崩せる雰囲気はあったんだけどなあ。シュート打てよ、田代!

 近所だったのでゴールデン街で自棄酒を一杯やって帰る。

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2008-04-23

ピ○チュウかわいいでチュウ

 ガンダーラ映画祭のChim↑Pom作品にたいへん感動したので、高円寺の無人島プロダクションに行って、Chim↑PomのDVD P.T.A.を購入してきた。ギャラリーの人がいたので、「ピ○チュウいいですね!」と言ってみたら本物を見せてくれた。いやーすばらしい。ピ○チュウか わいいでチュウ。ぼくも欲しいでチュウ!と頼んでみたのだが、売りものではないのだった。やっぱりいろいろと問題があるらしい(動物愛護の人とかN天堂方面とか)。たぶん ゲームフリークはオッケーだと思うけどね!

 その後ポレポレ東中野でR18 Love Cinema Showcase vol.5『激愛!ロリータ密猟』と『ゆーのーみー』。『ゆーのーみー』を見るのはたいへん辛かったが、これはまあしょうがないかもしれない。『激愛!ロリータ密猟』と組み合わされた方が可哀想だ。こ れ、ピンク映画史に、というか日本映画史に残るような一本だもんなあ。単純にゲリラ撮影がありえないとか暴力描写がすごいとか曲はどうなってるんだとかそういうことではなく(それぞれの要素はどれもありえないくらい強烈なのだが)画面全体のテンションがはじけすぎていて、見ていてひたすら圧倒される。 次に見られるのがいつになるのかわからないけど、上映されるかぎりは見に行こうと思う。

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2008-04-22

白衣いんらん日記 濡れたまま二度、三度 (1997)

Vol05 監督:女池充 脚本:小林政広 ポレポレ東中野のR18 Love Cinema Chowcase vol.5にて。

 なんという童貞ぶり(笑)。女池充のデビュー作だが、実に清々しいほどの童貞映画である。しみじみと思ったが、女池充って本来はまったく別の資質を 持った監督だったんじゃなかろうか。でも四天王世代の(というかサトウトシキの)強烈な抑圧によってなんか全然違う方に行ってしまったんだろう。この映画も なかなかいいところがあって、妙ちきりんな窓越しのダンスなんか、まさしく童貞的に泣ける名シーンである。あのまま童貞なラブロマンスで作ればなかなかの佳作になったんじゃないかと思うんだけど、なんかそこから本田菊次朗の話になっちゃって、サトウトシキの出来の悪いイミテーションみたいな……

 なんとなくわかってきた。ピンクの童貞映画時代はどうやら「七福神」世代からはじまるらしい。だがこの世代には四天王の抑圧が強かったから、どうしても童貞映画は作れなかった。抑圧がいい方に向いたのがいまおかしんじで、変に働いてしまった代表格が女池充なのではないか。そのあとの世代ののびのびとナイーブな青春童貞ピンクを見ていると、強くそう思わずにはいられない。

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銀幕版 スシ王子!~ニューヨークへ行く (2008)

監督・脚本・原作:堤幸彦 主演:堂本光一 公式サイト

 新宿ミラノ1で鑑賞。観客は30人ぐらい。なぜか老人が多かった。ミラノ座(定員1064名)で30人の老人と一緒にこの映画を見るというのがどんなものか、ちょっと想像してみていただきたい。

 映画を見ているあいだは本当に辛く、見終わったときには心底落ち込んだ。この映画が何を目指して作られたものなのか皆目わからなかったからだ。カンフー映画? しかし型を決めてポーズを作る合間はすべて早送りで飛ばしてまったく動きがわからない映像のどこにカンフーの快楽があるのだろう? 寿司の美学? アメリカ風のゲテもの寿司よりも江戸前の方がうまいってだけなら、映画なんか作るまでもない。コメディ? え、ひょっとして、あれギャグだったの?

 この無力感はほとんど『大日本人』を見たときに匹敵する。しかしあれはまだ松本氏の作家性の発露ではあったわけで、これはいったいなんなんだろうなあ。こんなもんが作られてしまってミラノ座でかかっていることに、誰も疑問を持たない映画界の現状にはほとほと頭が痛くなる。

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2008-04-21

第三回ガンダーラ映画祭

Chimpom  前日朝まで飲んでいたので眠い目をこすりながら下北沢LA CAMERAへ。

 今回、見ていちばんびっくりしたのがアート集団Chim↑Pomのビデオ。Death of Blackってパフォーマンスでは拡声器からカラスの鳴き声を流して群れを呼び集め、バイクの後ろに乗った少女が頭上高くにカラスの剥製を掲げて走ると、その群れが後からついてくる。騒がしく喚きながら飛ぶカラスの群れを引きつれ、東京の街を疾走する美少女! これは格好良かった。ついにカラスは日本政治を動かす影のフィクサーの……
 ピカチューも良かった。オレもピカチュー欲しい。

 その他の作品では松江哲明の『セックスと嘘とビデオテープとウソ』がもはや風格さえ感じさせる出来だった。松江母が作っていたレバー炒めが旨そうだったな。

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2008-04-19

『拷問者の影』新装版


  Gene Wolfe's The Book of the New Sun 
  Originally uploaded by Garth Yanashita.

 ついに『拷問者の影』新装版の見本が手元に届きました。本文が470ページ、旧版は422ページですから組が変わってだいぶゆるやかになりました。それよりびっくりしたのは背表紙が黒! 背表紙だけ見るとミステリ文庫みたいです。番号も新しくなってウ-6-5。でもお値段は据え置きで¥840+税とたいへんお得になっております。

 是非とも一家に一冊お買い求めを! 書店にならぶのは来週4/23となります。おっと、それから下に敷かれている白い紙の束は……

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2008-04-18

さよならリトル東京

 長らくhttp://www.ltokyo.com/yanasita/に置いていたぼくのホームぺージだけど、このたびついにltokyo.comが閉鎖されることになったので、niftyの自前アドレスに移します。アドレスはhttp://homepage3.nifty.com/yanasita/。旧アドレスも6月頃までは生きているはずなので、徐々に移行してゆきます。

 

リトル東京というのは桝山寛さんがウェブページの集合体コミュニティみたいなプロジェクトをやろうということで、日本の個人ホームページ草創期の主だったところを集めた、今にしてみれば豪華なプロジェクトだったのだ。池松絵美(辛酸なめ子)とか砂原良徳とか。ピクスピもいたんだっけ? 個人ホームページを持つコストが安くなったので、みんな自前でページを持つようになって徐々にすたれて いったんだけど、ぼくと大森望だけはそのままずるずると居座っていたわけ。桝山さん、長いことありがとう!

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キラキラコウモリ

61sq6u8syhl_sl500_aa240_  マガジンハウスのPR誌『ウフ。』に殊能将之三年ぶりの短篇小説が掲載されているというのでわざわざ滝本誠氏に頼んで入手した。なんというか、牛刀をもちいて鶏を裂くという言葉が脳裏に……

 中身はあっと驚くことに戸梶圭太ばりの下流小説。登場人物を突き放した冷ややかな筆致は相変わらずうまいのだが、三年ぶりでこれか!と言いたくなるような小品なので、これを書けるならもっと書いて!の悲鳴が各地から……

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2008-04-15

金沢古本屋めぐり


  antiquarian Duckbill 
  Originally uploaded by Garth Yanashita.

 週末は友人の結婚式で金沢へ。ついでなので、現地の友人を運転手としてコキ使い、金沢の古本屋めぐりをする。朝の10時から夜中11時まで飯も食わずに走りまわり、古都金沢の古本事情はほぼ把握したので個人的ベスト5を。

  1. 金沢文圃閣 小さい店だが品揃えは抜群。脂っこいところが揃っていて値段も手頃。金沢で一軒寄るならここでしょう。唯一の弱点は土曜日以外はいつ開いてるかわからないというアバウトな営業形態。
  2. 古書Duckbill 山の中、田圃を見下ろす高台に立つ一軒家の古本屋。朱塗りの壁も美しく、訪れたお客には一杯お茶をふるまってくれる。堅めの本が多かったので本探しには微妙かもしれないが、ピクニックがてら出かける価値はあり。
  3. ビデオ激安王 倉庫のような巨大中古ビデオ屋。ものすごい量の屑ビデオが叩き売られている。もちろん中身は全部屑なので、変な期待はしないように。
  4. やまびこ書房 市内からは離れた場所で、埃まみれの店内はいかにも昔ながらの古本屋。意外と掘り出し物がありそう。金沢関係の本がかなり充実していた。
  5. 本の広場 香林坊の近くに出ている常設古書市。能登半島の古本屋や市内の店が在庫を出品しているらしい。意外なものが転がっている。

 あと市内には古本カフェあうん堂本舗があるようだけど、古本カフェということである程度見える部分があったのでパス。

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2008-04-11

Miracles of Life (2008)

51xoscwfcdl_ss500__2   J・G・バラードの最新作である自伝、Miracles of Lifeを読む。

 パリでは、SFはロブ・グリエやアラン・レネなど有力な作家や映画作家のあいだでも人気だったのだから、ロンドンでもそれに対応するものがあるだろう、とわたしは考えていた。これは大きな誤りだった。とはいえ、今日のSF愛好者はまったく異なる人種になった。多くが大学の学位を持っており、ジョイスやナボコフを読んで『アルファヴィル』を見ており、SFをより大きな文学的文脈に位置づけることができる。だが、奇妙なことに、同時にSFそのものが急激な衰退に見舞われつつある。ここにはなんらかの教訓があるのかもしれない。

 最終章にショッキングな癌告白が出てくるわけだけど、そこにいたる前半もすばらしくおもしろい。バラードのほとんどすべての小説の源が上海時代にあった(『ヴァーミリオン・サンズ』すらも!)ことが明かされるのは、バラードの忠実な読者にとっては大いなる喜びである。そして、このいささか人間嫌いのような印象を与える作家が、実は深く人生を愛していたことがわかるのはすばらしく感動的だ。たぶんバラードのどの本よりも暖かな読後感を与えてくれる、20世紀最大の作家が最後に残してくれた賜物である。

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2008-04-10

鹿島1-0北京国安@鹿島

 観客6748人。たいへん寒く、モツ煮を食う食う。行列もなく、グルメスタジアムを大いに堪能した。だが試合の方はあまり堪能とまでは……

 試合は北京がよく走り、連戦の疲れから出足の悪い鹿島は押され気味。とりわけ20番マルチネスの運動量に手を焼いていた。北京は基本的に引いてカウンター狙いだったので、苦労するのは仕方ない。4番が退場して一人減ったあとはますます引きっぱなしの北京DFの前で横パスを回す展開が続く。本山がもう少し中に切り込んでいけたら良かったんだろうが、パートナーがダニーロだと攻撃に専念するわけにもいかなかったか。

 ホームで10人相手に一点差勝利。とはいえ、新井場の強烈なミドルが一本でも決まっていたら……というところだから、まあ結果オーライか。ダニーロは今日も獅子奮迅だったが、守備に戻るときの大股の走りはまさにおっとり刀という言葉がぴったりだった。

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2008-04-06

かなまら祭り2008


  Kanamara Festival 
  Originally uploaded by Garth Yanashita.

 いい陽気だったので、「ちんこ祭り」として有名な川崎金山神社のかなまら祭りに行ってきた。最近では海外での方が有名で、外人観光客が集まっておおはしゃぎ。「Oh! ウタマーロ!」みたいな感じで。

 もともとは鍛冶をつかさどる火の神様なんだそうで、名だたる製鉄メーカーがこぞって黒光りする鋼鉄のペニスを寄進したもので境内がたいへんなことに……たいへん立派な逸物を堪能させていただき大満足。もうちょっとソフトなものがお好みの人にはチンコあめとかチンコチョコとかも。

Cute Girl in Kanamara Festival 会場でいちばん人気だったのはまちがいなくこの少女。チンコあめを可愛らしくペロペロ舐めてる姿が衝撃を呼んで思わずまわりから写真撮られまくり。必ずや世界中のヘンタイに向けて配信されているものと思われる(オレも及ばずながら協力してみた)。問題はカメラ向けると口からチンコ離してピースマーク作っちゃうことかな。

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2008-04-05

四十路の蜜つぼ 男好きな肉体 (2008)

080404mitsutsubo 監督:荒木太郎 出演:浅井舞香、淡島小鞠、佐々木基子

 このところ煮え切らない作品が続いている荒木太郎だが、久々の快作か?と思わされる。冒頭、路上でいきなり全裸になって車を停める女→ダンプの上(文字通り上!)でのセックス→その女が足立区のガソリンスタンドで働きはじめるまでの五分くらいはまるでラス・メイヤー映画かと思うような強烈なテンションでいやがうえにも期待は高まるのだが、そのあとがどうもいけない。野上正義の父親に荒木太郎、淡島小鞠の兄妹三人でやっている家族経営のガソリンスタンドに女が波紋を引き起こす、という物語がどうもままごとみたいに見えてしまって……

 思うに最大の問題は熟女淫乱AV嬢である浅井舞香のキャラと、荒木太郎が書いた設定との齟齬にある。女は会う人ごとに「丈って男を知らない?」と問いかけ、あるいは「あたしは三十五の時に狂ったのよ……男狂いにね……」とひとりごちてみたり、あきらかにセックスの魔に魅入られて身を持ち崩してしまった女として描かれている。ならば身体の疼きがおさえられず片っ端から男をくわえこむにしても、それは嫌々流されるようなかたちであるべきだ。

 だけど実際のセックスシーンでは、あきらかに浅井舞香の方が楽しんでエロの空気を発散しているのである。おかげで女が流れていく話にどうも説得力がない。ぼくは浅井のAVは見たことがないのだが、これはどう見ても本人の資質の問題なので、結局のところ、荒木太郎には彼女のキャラクターを扱いきれなかったということになるだろうか。浅井舞香としてはもっとキャンプな映画の方が向いていると思われるので、ここは旦々舎を推薦しておきたい。浜野佐知さんとは気が合うのではなかろうか。

 今回、100円パンフが堀内満里子さんではなくなっていた。できたら次回作は堀内満里子にやってほしいんだけどなあ……

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