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2008-03-07

ヘアピン・サーカス (1972)

監督:西村潔 シネマヴェーラ渋谷にて。『弾痕』がプリント不良で『薔薇の標的』に差し替えになってしまったので、はからずも封切り時の二本立てが再現されることに。岡田英次がナチス第四帝国復活を願って加山雄三を殺し屋としてスカウトするという『薔薇の標的』も十分凄い映画だが、やはりここは『ヘアピン・サーカス』。

 自動車教習所の教官をつとめている元花形レーサーが、走り屋の小娘との出会いによってついにハンドルを握る……というシンプルなストーリー。主役を演じるのは本物の元レーサーだし、芝居らしい芝居もなく見せ場はほぼすべてカーレースなのだがもうこれが! 昔の映画を見ると「どうやったらこんな撮影ができるんだろう?」と思わされることがよくあるが、『ヘアピン・サーカス』も例外ではない。高速で車のあいだをぶんぶん抜いていくタイトル・バックにもう息を呑んでいたが、クライマックスでは横浜市内でカーチェイス、どうやったらこんな撮影ができたものか。ラスト、菊地雅章のジャズ・スコアが鳴り響く中で延々と続く公道カーチェイス。最初は教育的指導のつもりではじめたレースだが、やがて主人公とヒロインのレースは求愛のダンスのようになり、車は踊り、舞い、時空を越えて舞い上がる。永遠に続く刹那の幸福。

『デスプルーフ』でオマージュを捧げられた『バニシング・ポイント』のことを思い出さずにはいられないのだが、実際、単なる同時代性だけではなく通じる何かがあると思う。タランティーノに見せてやりたかったね。

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