ジャック・ケルアック 『オン・ザ・ロード』
以前からぼくは「ケルアックはまだイケる」と言い張っていたんだけど、この新訳でようやくそれが証明されたと思う。ケルアックは良くも悪くもハ シカのように若いころにかぶれるものだと思われていて、そんなものは大人の読み物ではないから「今さらケルアックでもないだろ」と決めつけられて、そのまま読まれずじまいになっているような気がする。で も、そうじゃないのだ。たしかに『オン・ザ・ロード』に描かれている世界は過去のものとなったかもしれないが、その魂は今もなお有効だ。
これまでの翻訳があまりにあまりだったので、単なる幼稚な自意識の垂れ流しとして理解されてしまったのかもしれないが、今回、青山南氏 の翻訳ではじめて、ケルアックがいかに繊細で生彩に富む文章をものにする優れた文章家だったかもわかるし、サルとディーン・モリアーティ(ニール・キャサ ディ)のせつない愛憎関係は腐女子のハートをわしづかみだろう。願わくば、すべての若者がこれを手にしてヒッチハイクの旅に出ますように(そう、ハシカと しての効果もやっぱりあるのだ)。
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