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2007-11-30

短篇調査団・性の巻

Nara2  短篇調査団・性の巻@neoneo座 「リクエストにお応えしての三本立て」とあるけれど、すいません、リクエストしたのは何を隠そうこのオレです。

『人間の性』 、『小学生と性-子と親の相談室-』、『性のめざめ』 の三本はそれぞれ東映教育映画、学研、国映ビデオの製作だったのだが、三者三様に面白かった。東映の『人間の性』はさすがに東映だけあって大久保清逮捕の実写映像とか 入ってる。学研のは養護教諭のところに性の悩みを抱えた生徒たちが相談に来る話なんだけど、登り棒にしがみついたときにイっちゃった新井くんがヤバイ。妹 の寝乱れ姿を見て「妹っていうより、どこかのかわいい女の子のような気がして……」と興奮して相談しに来たのだった。いやー性犯罪者の資格バリバリだよ。

 オレのお目当ては最後、国映ビデオ製作の一本だったのだが、これがなんと奈良林祥オンステージ。ひたすらHow to Sexの奈良林先生が喋りまくる40分間。奈良林先生の名言がいくつもフリップで出る

「セックスは人間形成を遂げてゆくうえで欠くことのできないエネルギーである」
男の恋は精子がささやく
女の子の自慰は人生のアクセサリー。男の子の自慰は健全で健康な人間形成を遂げるための必須科目」
大学生からでは遅すぎる
「自慰はママの引力圏を離れるためのロケット」

 などなど。奈良林先生飛ばしまくり。オナニー害悪論に反駁するのはともかく、女性の性についてはまったく考えにない感じ(結婚してから旦那に開発 してもらえばいい、と言いたげ)なのが時代を感じさせる。というかこれ、まったく学校の教材には使えそうもない感じだったんだけど、いったいどこで上映し たんだろうなあ?

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2007-11-29

『ファーストフード・ネイション』 (2006)

『ファーストフードが世界を食いつくす』の映画化。脚本も原作者が書いている。  公式サイト

『ダーウィンの悪夢』のDVDに収録されているフーベルト・ザウパーのインタビューで「別にナイルパーチが悪いわけじゃない。これをダイヤモンド に替えても、ウランに替えても、同じ話は成立するだろう」と語っている。舞台をアメリカに置き換えてもやはり成立するわけだ。つまり、ここではグレッグ・ キニア演じるマーケティング部長が主人公となって“ミッキー・バーガー”のパテに牛糞が混入している疑惑を追及するわけだけど、それは『ダーウィン』にお ける武器密輸疑惑と同じでたんなるマクガフィンである。大事なのは南北格差から生まれる搾取のシステムというわけだ。

でも、もちろんリンクレイターは聡明であるから、それが我々自身が望んで生みだしている世界だということも承知している。そこが問題で、ドキュメ ンタリーならそのまま結論を投げてしまってもいいのだが、劇映画だとなんらかのカタルシスをつけないわけにはいかない。そこらへんが難しいところではあ る。『いのちの食べかた』との比較も含め、いろいろ考えさせられた。

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2007-11-28

ALWAYS 続三丁目の夕日 (2007)

 人間ドックで生まれてはじめて胃カメラを飲んできたのだが、恐れていたほどきつくはなかった。鎮静剤を入れてもらったおかげでほとんど寝ていたからである。薬が抜けきらないでぼーっとした頭のまま、ユナイテッドシネマ豊洲で『ALWAYS 続三丁目の夕日』を見たのだが、どうもそのくらいでちょうどよかったような気がする。前作は見て 発狂しそうになるくらい怒り狂ったわけだが、頭に麻酔をかけていたおかげで今度はそれほどでもなかった。

 とは言っても別に面白かったわけではないが。

 今回、頭がくらくらしたのはクライマックスとなる茶川龍之介(吉岡秀隆)の芥川賞待機宴会のシーンで、まあ待機宴会ってああいうもんじゃないよと かそういう突っ込みはメッタ斬りの人々にまかせるとしても、そこで待っていた人々が次々に本を取り出して「すごくいい話なんだ!」「オレは三回読んで、三 回泣いた!」「すんごく心がじんとすますたわあ」とか口々に言うシーン、どいつもこいつも「素晴らしい」とか「泣けた」とか抽象的な誉め言葉を言うだけで 具体的にどんな話しなのかちっともわからない。どうしようもねえな。だいたい文学は「泣ける映画」じゃねえだろ……と思っていたが違う!この山崎なんとかは描写すべきじゃないところまですべてセリフ で説明しないと気が済まない脳が麻痺した人なのだった! というのはそこでカットバックしてその本を開く車中の小雪のシーンになって、小雪がページを開い て読み出すとタイトルは『踊り子』という。おいおいと思う間もなく吉岡くんの朗読がかぶさって「……逢いたい、ただひたすらきみに逢いたい……」おめーそ れただのエッセイだろ! それが芥川賞候補作かよふざけんなこら。そんなもん文藝賞の一次選考も通らねえよ!

 だいたい茶川龍之介ってペンネーム使ってる時点で芥川賞候補にはならないよ!

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2007-11-26

堕靡泥の星 美少女狩り

Norifumi Suzuki

 鈴木則文監督作品『堕靡泥の星 美少女狩り 』が米国でDVD化されることになり、監督のインタビューを撮りにアメリカからスタッフが来日。その手伝いをした。

『女番長』と『堕靡泥の星 美少女狩り 』DVD用にそれぞれビデオ・インタビューを収録。さらには『堕靡泥の星 美少女狩り 』には音声コメンタリーもつくということで、無理を通して鈴木監督に音声コメンタリーのお願いをしました。監督の音声コメンタリーはもちろんはじめて。というか、東映監督の音声コメンタリー自体史上初なのではなかろうか? ビデオ・インタビューも監督がサービス精神を発揮していただいたおかげで素晴らしいものができたので、日本のファンも必見!

 DVDは『女番長』がMedia Blastersから来年2月に、『堕靡泥の星 美少女狩り 』はDiscotek Mediaから来春には発売予定。楽しみにお待ちを。

 追記:DVDプロデューサー(『恐怖奇形人間』のDVDプロデューサーでもある!)のblogはこちら

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2007-11-19

【平山夢明とデルモンテ平山のゴミ鍋~大毅サイボーグになれ編 】

11/25(日)は新宿ロフトプラスワンにて毎度おなじみの「デルモンテ平山と平山夢明のゴミ鍋」です。

『他人事』刊行記念! 『ビキマン』『サルベージ』と次々大作がスタートして失神連発の2代目T・ハリス夢さんが紡ぎだす言葉の地獄絵図に君は耐 えられるか!? ハンケチを文鳥のように見せかける腕前なら右に出る者無き作家がお送りする出任せと嘘と屑のお馴染み煮こごりイベント! 風呂の残り湯で 作った茶漬のような話しか出ません! お前ら金平だよ! 金平以下だよ!

【出演】平山夢明(作家)、柳下毅一郎(特殊翻訳家)、中原昌也(三島賞作家)、高橋ヨシキ(デザイナー)、多田遠志(猛獣使い)

Open18:00/Start19:00
¥1500(飲食別/ちくわぶ付き)

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「グラインドハウス A GO GO!」トーク

渋谷シネマヴェーラで11/24(土)からはじまる特集「グラインドハウス A GO GO! ~ タラちゃんとゆかいな仲間たち」初日にトークさせていただきます。みなさまふるってご来館ください。

11月24日(土) 17:30~  柳下毅一郎 × 篠崎誠(映画監督)
 (当日の映画入場料でご覧いただけます)

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2007-11-15

ベオウルフ/呪われし勇者 (2007)

623213608_253 公式サイト 12/1公開

どんなものかなあ……とあまり高い期待は抱かず見に行ったのだが、思いの外面白かった。これで監督がピーター・ジャクソンなら傑作になったのではないだろうか。いや監督ゼメキスのままでも、あの気持ち悪いCGでさえなければ……いやそれは言うまい。

その功績は一に脚本(ニール・ゲイマン&ロジャー・エイヴァリー)のおかげだ。てっきりエイヴァリーが骨子を作って、そこにゲイマンがセリフ回し やら神話的彩りをつけたものだと思っていたが、プロダクション・ノートを読むかぎり、どうやら話のメイン・アイデアもゲイマンのもので、エイヴァリーは清 書しただけらしい。すげえなゲイマン。

プレスの表紙にまでなっていてすっかり主演みたいなアンジェリーナ・ジョリーはもちろんはまり役。ていうかこの役はどう見てもアテ書き。あとクリ スピン・グローヴァーもアテ書き。まあそれはいいんだが、最後までジョリーの役が「グレンデルの母」でしかなく、名前がついてないのはいかがなものか。嘘でもいいから名前ぐらいつけとけ、と。

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2007-11-12

恋空 (2007)

061030mobile01 公式サイト 新宿バルト9にて。超満員。

「ヤバイ! マジチョー泣けた!」--高校生(16歳)
(本当にこう言っている女子高生がいた)

やっぱYoshi様は偉大だなあ。美嘉ごときではまだまだ超展開が足りない。たんに普通のつまらない映画である。16歳女子高生がセックスし て妊娠してレイプされて流産する話を「普通」と言えればの話だけど。もともとつまらない原作(なんとハードカバー上下巻なのである。読んだよそれも)をさらにおとなしく改変していたのでいっそう地味になってしまっ た。最後に原作からはなれた部分でちょっとびっくりしておお!と思ったのだが、残念!それは『オトナ帝国』のパクリ。

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2007-11-10

最近読んだ本

618168022_99_2 『ロリータ、ロリータ、ロリータ』 若島正 ★★★★★
『緑の影、白い鯨』 レイ・ブラッドベリ ★★
『映画のこわい話 黒沢清対談集』 ★★★
『戦前の少年犯罪』 ★★★★★
『世田谷一家殺人事件の真実』 山元泰生 ★★★★
『ブルバキとグロタンディーク』 ★★★

『ブルバキ〜』は「もいっぺんブルバキやろうかなあ」(無理!)と思わせるくらいには面白かったが、ちょっと疑問も多い。何よりもブルバキという のは一般化の鬼であり、応用を嫌い、図解によ「理解」を嫌ったからこそあんなにも面倒くさい代物になった(そして美しい)とぼくは理解しているのだが、そ のブルバキを構造主義に与えた影響において称揚しようとするのは戦略としておかしいのではないか? ブルバキは何物にも還元されないからこそブルバキなの ではなかろうか。

もうすぐ閉店の書肆アクセスで塩山芳明の『東京の暴れん坊』を買ったらサイン本で  他人の悪口はやめよう  と書いてあった。すいませんすいません。帰ると『オン・ザ・ロード』(ジャック・ケルアック)と『[ウィジェット]と[ワジェット]とボブ』(シオドア・スタージョン)が届いていた。次はいよいよ『蒸気駆動の少年』だ よ!

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2007-11-07

おれについてこい!(1965)

 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。ニチボー貝塚の女子バレーボールチーム、すなわち「東洋の魔女」を率いた「鬼の大松」の自伝に基 づく伝記映画である。東京オリンピック女子バレーボール決勝戦、宿敵ソ連との決戦を前にしたバレーボールチームのメンバーが、ここにいたるまでの日々を回想す る…という構成である。大松監督役はハナ肇、大松から「馬」呼ばわりされる主将の河西に白川由美。

 何が素晴らしいって女優たちがみんなバレーボールやってるところである。猛特訓の場面、今だったらきっとカット割ってごまかしてしまうんだろうが、ひたすらボールを左右に投げつづけるハナ肇の背中から左右にレシーブ練習を続ける選手の姿をワンカットでとらえるカメラ。白川由美は本当に練習し、本当に回転レシーブしているのだ。ど んなに細かくカットを割ろうともこの感動は得られない。いったいどのぐらい練習したのかしらないが、今の映画にはない贅沢とはこのこと だ。映画はまちがいなく退化している。特訓さえあれば、試合のシーンなんかなくても映画は十分成立するのだ。

 同時にこんな気の狂ったスパルタ特訓ができなくなったのだから、日本社会はまちがいなく進歩している。なんせタコ部屋みたいなところに閉じ込めて、一年360日、毎日12時過ぎまで練習させるのだ。この練習に耐えられるんなら世界一にもなるよ!

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ノートに眠った願いごと (2006)

C0b48a8f   公式サイト 『バンジージャンプする』で世界を、いやオレを震撼させたキム・デスン監督作品。韓国版『クローズド・ノート』みたいな売られ方をしているが、しかし『バンジージャンプする』の監督であるからしてそんな甘いものではなく…

 司法修習生のキョヌ(ユ・ジテ)とTVプロデューサーのミンジュ(キム・ジス)は結婚も間近な恋人同士。だがキョヌが検事局での修習に忙しいので ミンジュはちょっとおかんむりだ。今日も一緒に新居の家具を見に行くはずだったのに、キョヌは会議で抜けられず、「悪い!先行って見といて!」会議を終 わったキョヌがようやくかけつけ、信号を待ってデパートに入ろうとした瞬間 ガラガラドッシャーン! と目の前でデパートが崩壊した!

 ってこんな映画、韓国でしか作れねえ! まーそのあとは『クローズド・ノート』的展開を見せるわけで、『バンジージャンプする』ほどの衝撃はない ものの十分おもしろかった。最後にミンジュが「新しい舗装の下には古い思い出が埋まっているのね。古い思い出の上に新しい道を造って走って いけばいいと思うわ」とかポエムを言ってみんな幸せっぽい終わり方になってしまうのがなんともはや。ちなみにこの二本のあいだには『血の涙』という映画がある そうなんですが、これも見ないとなるまい。

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2007-11-03

「KASUMIKKΦのBE MY BABY ライブハウス裁判所へようこそ!」

41jcjxeyjfl_ss500_ 11/5(月)百人町のNaked Loftでやる裁判傍聴集団『霞っ子クラブ』のイベントにゲストでお邪魔します。ぼくは第一部に出演。最近はあまり新ネタがない(あるけど、現場探訪とかではない)ので、古い話になるかもしれません。Loft+1の方ではないのでお間違いなく

霞っ子クラブpresents
「KASUMIKKΦのBE MY BABY ライブハウス裁判所へようこそ!」
ここから始まったすべての事件(コト)達へ——巷で沸き起こる事件の数々…その行く末を裁判所で見守る霞ヶ関の狂犬、霞っ子クラブ。どこにも属さない KASUMIKKΦが繰り広げる裁判トークGIG!今夜、夢を見てる奴に送ります!…女の子だけの裁判傍聴集団「霞っ子クラブ」、久々のイベント開催!今 回は何が飛び出す!ロシアでも裁判傍聴しているという毒人参は帰ってくるのか!?色々ひっくるめて展開予測不能!衝撃のGIGを見逃すな!
【出演】
ユキ、(・∀・)<毒人参?(霞っ子クラブ)
【Guest】
あるかも!?
OPEN18:30 / START19:30
前売¥1,200(+1drinkから)
当日¥1,500(+1drinkから)
前売チケットはNaked Loft店頭にて販売中!
電話予約も受け付けます。
【問】Naked Loft 03-3205-1556(16:30〜24:00)
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2007-11-01

ビキニ娘、波の数だけイカせて(1999)

Sh_100000810_m  上野オークラで渡邊元嗣監督特集を見る。いわゆる「作家」としてアテネ・フランセやポレポレ東中野で特集上映が組まれるタイプの監督ではなく、当たり前 のエロ映画を作りながらその中で作家性を発揮すると言うタイプの渡邊元嗣だけに、こうしたかたちで特集が組まれるのは嬉しいことである。

 三本それぞれに面白かったが、いちばん楽しかったのは1999年の『ビキニ娘、波の数だけイカせて』(『痴漢海水浴 ビキニ泥棒』の改題作 品)。これ、タイトル・ロールの「ビキニ娘」は黒田詩織が演じている東京で働いているイメクラ嬢の方なんだけど、映画の中での主役はその姉で旅館「汐風 荘」をやっている未亡人の姉、西藤尚の方なのだ。夫が死んでからはや七年、一人で旅館を守っているが…という役どころ。

 話的には妹の方に行ってもいいのだが、途中からすっかり西藤尚の方にカメラが向きっぱなしになってしまう。またこの西藤尚がすばらしく可愛く撮 られて魅力的なのである。惚れた女優は可愛く撮る、渡邊元嗣の良さが発揮され、映画自体のバランスの悪さとかは忘れてしまえる。

 三本のセレクションには、一応ジャンルを分けたりとかの考慮があったようだけど、このさい惚れた女優で三人並べた方が良かったんじゃないかな あ。その方がよりナベ的セレクションになったんじゃないか。あと、80年代の作品はやらないのかなあ、と思ったが、よく考えたら初期作 品はみな新東宝だったのか。今度は国映=新東宝でも特集をよろしく。

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