極右と極左は通じあう
山形ドキュメンタリー映画祭で見損ねたドイツ特集〈交差する過去と現在〉をドイツ文化センターに見に行く。
本日は『あるドイツ人テロリストの告白』と『反逆者』の二本立て。これが組み合わせの妙もあり、非常に面白かった。
『あるドイツ人テロリストの告白』は国際テロリスト、カルロスとともにOPEC本部襲撃事件を起こしたドイツ人極左テロリスト、ハンス・ヨアヒ ム・クラインについてのドキュメンタリー。彼はパレスチナで軍事訓練を受けてテロに参加するが、エンテベ空港襲撃事件の際にバーダー・マインホフ集団の残 党がユダヤ人とそれ以外を選別して人質にしていたというのを知り、「これじゃナチスと同じじゃないか」と疑問を抱いて運動を離脱する。
『反逆者』の方は米軍に爆弾テロ闘争をしかけて多数の死傷者を出したケッヘル=ヘップ集団のリーダーであるネオナチ、オットフリート・ヘップについ てのドキュメンタリー。ヘップはもともとネオナチとして活動していたのだが、バイエルンで活動していた極右カール=ハインツ・ホフマンとかかわったことか らホフマンの国際運動に抜擢され、レバノンに渡ってベイルート郊外の軍事キャンプでPLOから都市ゲリラの訓練を受けるのだが、キャンプで内ゲバ殺人が あったことからほうほうのていで脱出し……ヘップはその後反米爆弾闘争をやったり東ドイツに理想のファシズム世界を見出して東ドイツ秘密警察のスパイに なったりと波瀾万丈すぎる人生を送るのだが、それはさておき
この二つ、まったく同じではないか! 極右も極左もPLOの訓練を受けてユダヤ人を殺すのがドイツのテロリズムなのか! となると、ここでの「右」とか「左」とかってなんなの? 質疑応答でもそういう話で大いに盛り上がる。
ちなみに連合赤軍ばりのネオナチ内ゲバ殺人なんだけど、なぜそんなことになったかというと、原因は喫煙。ナチだから禁煙禁酒の健康志向なのだ。これが本当の禁煙ファシズムだ!
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コメント
初めまして。
山形は遠すぎて、各回を追って、しばしば興味深い映画のプログラムをネットで見るたびに歯噛みしています。柳下さんの発信はその癒しがたい苦痛の一因です、恨みますよぉw
まぁ、冗談はさておいて、以下の記述は面白いと思いました。
>この二つ、まったく同じではないか! 極右も極左もPLOの訓練を受けてユダヤ人を殺すのがドイツのテロリズムなのか! となると、ここでの「右」とか「左」とかってなんなの? 質疑応答でもそういう話で大いに盛り上がる。
考えてみれば極右も極左もマイノリティであり、今日、地位を快復しようとする悲遇の民族の象徴(として“公”認されている)パレスチナには憧れを抱かない訳にはいかないのかもしれません。
そして彼等の違いは、平等=疎外からの快復において、主体を志向するか(極右。主体→客体)、客体を想像しようとするか(極左。客体→主体)というくらいで、実は心理の構造としては単純な逆位相なのかもしれません。
投稿 冬の蠅 | 2007-10-18 16:43
『反逆者』の監督の新作『キック』も形式が面白かったです。内容も人が嫌がる(誤魔化す)ことだったので好感が持てました。とある村で起こったいじめ殺人をドイツの問題にかぶせた舞台劇なんです。関係者が映画に出たがらないんで俳優男女二人組に語らせてるんですが、これがかえって批判力があるんですな。誰にでも起こりうることなので。居合わせた某評論家はブニュエルの『失われた人々』をひきあいに出して質疑してました。
『反逆者』は『第三世代』を思い出しましたね。監督はそんな映画知らないって仰ってましたが。
投稿 ガンダムマン | 2007-10-19 02:34
すみません間違えました。『反逆者』ではなく『ブラックボックスジャーマニー』の監督でした。アンドレス・ファイエル。酷いHNも重ねてすみません
投稿 ガンダムマン | 2007-10-19 02:49