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2007-09-30

不倫中毒 官能のまどろみ(2007)

Yumi Yoshiyuki 監督 吉行由実 脚本 吉行由実、樫原辰郎 出演 薫桜子、なかみつせいじ ストーリー

 文芸雑誌〈さざなみ〉を舞台にした愛欲ドラマなのだが、〈さざなみ〉編集部として使われているのが実は洋泉社映画秘宝編集部。というわけでぼくも撮影 見学に行き、ついでにエキストラ出演までしてきた。見てみたらクレジットに名前が入っていてびっくり。ぼく自身は画面の隅の方にチラチラ写ってい るだけなので、さして目障りではないはずなのでご心配なく。

 映画は後半どんどんSMポルノっぽくなっていくのが興味深い。この物語では性の解放とヒロインの自己実現とが重ね合わされている のだけれど、これは吉行作品ではあまりなかったパターンのような気がする。吉行由実のヒロインって性を嫌悪するタイプが多かったように思えるのだ。その分、通常の ポルノに近づいているとも言えるのだが。正しくフェミニスティックなポルノ映画ではある。

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理容店の女房 夜這い寝間 (2007)

8a1 監督 新田栄 脚本 岡輝男 出演 瀬能司、平沢里菜子、風間今日子 ストーリー

 酒屋の主人が「理容店の女房に髪を切られると福を招く」という噂を流して、彼女を忙しくさせて昼行灯の旦那が釣り三昧してるうちに女房と浮気……っていうストーリーなんだけど、これ、根本的に間違ってないか? どう考えてもその噂を流すべきは旦那の方だろ! 噂によって女房が忙しくなるのを狙って、髪結いの亭主として浮気三昧……じゃないのか。新田/岡コンビの考えることはわからんなあ。

 平沢、風間とお気に入り女優が二人も出てたんで見たわけだが、風間今日子の出番が凄かった。見合いに30回も失敗している三十路の処女なんだけど、今度ばかりは失敗できない!というので噂を信じて奥さんに髪を切ってもらいに来る。でも髪はすでにセット済みなので下の毛を切ってくれというのだ(剃毛シーンあり)。
 で、そのおかげで見事に見合いに成功してそのままラブホに雪崩こむ。何もない胯間を見た見合い相手は「ちゃんと手入れしてるんだね」ってそうじゃないだろ! しかもセックス後「気持ちよかった……もうバイブは捨てるわ」とか言ってるし。このコンビの考えることはわからん。

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2007-09-26

レッド

286657933_191 レッド 1 山本直樹 講談社

 連合赤軍ものはこれまでいろんな人が試みているがほとんど成功した作品はないのだけど--これまで面白かったのはFAプロの林由美香の奴くらいだったな--これは傑作なのではないか。

 面倒くさい革命理論の話を全部すっとばして青春群像にしてるのがひとつ。匿名性のために全員本名ではなく仮名を使っている(たぶん組織内のコードネームとかだよな?)のも大きな力になっている。
 そして最大のポイントは数字。連赤事件の結末はみんな知っているわけで、そこまでどう運ぶかにみんな腐心して(そしてたいがい失敗する)いるわけである。そこに出してきたのが数字と「あと~日」というカウントダウン。避けられない結末に向かって日を刻んでいくカウントダウン形式にして、サスペンスを引っ張るドラマにしたわけ。

 ヒッチコックが言うところのサスペンスとサプライズの違いという奴だ。連合赤軍をサスペンスで語るというのは秀逸なアイデアだと思う。しかし、このペースだといつ完結するんだ?

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2007-09-25

第三回背徳映画祭

 本日最終日だということに気づいて、慌てて見に行った。以下、思いつくままに感想。

 いまおかしんじの『金鮎の女』に爆笑する。「佐藤宏。をプロデュース」というか。鬼才いまおかが下流社会の真実をえぐるドキュメンタリー!だった。いや ドキュメンタリーじゃないけど。いまおかしんじの佐藤宏サーガがはじまってしまったような気がする(第一作は『かえるのうた』のDVDについてるアレ)

 前田弘二の『遊泳禁止区域』は下北沢で撮るべきだったんじゃないか?と思う。まるでラ・カメラを出てぶらぶら歩いてる人たちを撮ったようだったからだ。

 村上賢司の『フジカシングルデート』について言えば、あれは絶対に最後の女の子との出会いを8ミリで撮らなければならなかった。いや9/13と日 付が入っていて9/14公開なんだからそんなことはありえないんだが、でもなぜか8ミリで撮られている。それが「8ミリを回せば奇跡が起こる!」ってことなんだと思うの だ。

 吉行由実の『ミルキィ♡オーディション』はあまりに凄すぎて唖然。何が彼女をさうさせたか、と。 まあいちばん監督本人の生理に忠実に撮られた一本ではある。

 しまだゆきやすの『京都借ります』はハイビジョンで撮れ! 臍ピアスの穴まで写せ!という感じ。他作品も含め、とりあえずヌードが出てくるので金返せという気にならないのが美点か。

 吉行作品を見た人は誰もが聞きたくなる曲……ある意味吉行由実のテーマソングだな……まさに不思議東京シンデレラだよ!

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2007-09-22

How to talk to girls by Neil Gaiman

Neil gaiman in Tokyo  映画『スターダスト』のプロモーションのため来日したニール・ゲイマンに会う。来日中、ひたすら取材また取材だったゲイマンたっての希望で、角川書店主宰によるサイン会が催された。これ、アメリカならたいへんなことになるところだが、日本だし告知も直近だったしでほどほどの人数でちょうどいい感じ。ただしさすがに外人が多いのと(ゲイマンに会える!というので日本中から集まってきたらしい)、女の子が多いのがさすがである。

 終了後、角川書店の方に誘われて、金原瑞人、大森望らと帝国ホテルでゲイマンを囲んでのお食事会。インタビュー(エスクァイア)ではわりとFAQ的な質問をしてしまったので、あまり記事になりそうもない話をいろいろ。

 サイン会に静岡から駆けつけたけど終了後ですれ違いだった女の子から角川書店の編集者が本を託されていると知ったゲイマン。スウェーデンで買ったという筆 ペンを出してすらすらとサインしながら、その女の子が置いていった連絡先を見ると、すかさず内ポケットから携帯を取り出し、新幹線で帰宅中の娘の携帯に電話しはじめ た!
「やあ、エマ。ニール・ゲイマンだよ」
(「うっそー! かついでるんでしょ?」)
「いやいや。冗談じゃないよ。今きみの置いていった本にサインしてるんだよ。今日は会えなくて残念だったね」

 これか! これがSF界一のモテ男の秘密なのか! まだまだ男として学ぶべきことは多いなあ、と大森望と顔を見合わせる。

 なお、ヒューゴー落ちたことについては「いや。そんなに気にしてないよ。だってもう四つ取ってるしさ。それにもし取ってても、『どうせゲイマン人 気だろ』って言われただけだろうけど、これで次回からは『作品の力で取れたんだ』って言えるだろ?」他の作家ならただの嫌味になるところだが、この人に 言われると……

 ラファティの話などして、たいへん楽しい夕べでした。角川の辣腕編集者T嬢もすっかりメロメロ。

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2007-09-20

鈴木則文 降臨祭

金沢則文祭りの興奮もさめやらぬ中、おなじみ新宿ロフトプラスワンで鈴木則文祭りが開かれます。監督もいらしていただける予定なのでみなさまふるってご参加を。

9/25(火)鈴木則文 降臨祭

トラック野郎、スッポン芸者、パンツの穴、ドカベン! 日本映画史に燦然とそびえ立つ則文宇宙の全貌が今ここに!
【出演】柳下毅一郎(特殊翻訳家)、杉作J太郎(男の墓場プロダクション)、中原昌也(作家)、他
【スペシャルゲスト】鈴木則文(映画監督)(予定)
【司会】多田遠志(+1、則文原理主義者)
※則文作品DVD販売あり!
Open 18:00 / Start 19:00
¥1000(飲食代別)

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2007-09-19

村木のいない名美

Main 『人が人を愛することのどうしようもなさ』(監督・脚本 石井隆 主演 喜多嶋舞)を見る。

 ヒロインが名美なのだが、村木は出てこない。実際には村木役の男はいるのだが、名前が村木じゃないのである。たぶん村木にするとネタバレしてしまうので、竹中直人と津田寛治のどっちが「村木」な のかわからなくしているのだろう。
 物語を転がす仕掛けは他にもいくつもあって、それが複雑な入れ子構造であったり喜多嶋舞のおっぱいだったりする。だけど、そういう仕掛けを入れれば入れるほどに逆にメインストーリーが弱くなってしまう。「名美」と「村木」の話ではなくなってしまうのだ。物語を補強するためにサービスをぶちこめばぶちこむほど物語が弱くなってしまう。その方法論自体は『花と蛇』で見出したもので間違っていないのだろうけど、仕掛けあればあるほど逆にメロドラマとしての軸の弱さを感じさせてしまう。難しいものだ。
 喜多嶋舞は大いに健闘しているし、「名美」にふさわしく汚辱の中での気高さもよく表現している。でもそのままで村木との物語にするには、まだもうひとつ足りない。

 それでもなおこれは近年の石井隆作品の中では出色の出来であり、結構傑作ではないかと思った。『サンセット大通り』になるところではちょっぴり戦慄さえし た。自作を取り込むメタフィクショナルな構成も好ましく、ほとんど『マルホランド・ドライブ』というか『インランド・エンパイア』のような映画なのだが、リンチにとってのノイズにあたるものが喜多嶋舞のおっぱいなんだから、これはいいに決まっている。『花と蛇2』も悪くないという話なので、今度見てみようと思った。

 実は写真集も買ってしまった…

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2007-09-16

カナザワ映画祭2007 青いオトコの則文祭り

Kanazawa Film Festival 2007 カナザワ映画祭2007〈青いオトコ祭り〉に招かれて行ってきた。14日(金)は前夜祭として金沢城公園で『トラック野郎 望郷一番星』の野外上映。翌15日(土)は『シルクハットの大親分 チョビ髭の熊』、『伊賀野カバ丸』、『堕靡泥の星 美少女狩り』、『大阪ど根性物語 どえらい奴』の四本(最後の『徳川SEX禁止令 色情大名』はパス)。15分休憩でぶっ続け上映というスケジュールはさすがに厳しすぎて疲弊。トークショーの出来も危ぶまれたがなんとかこなす。

 ニュープリントの『堕靡泥の星 美少女狩り』は圧倒的迫力で、これ一本でお腹いっぱいな感じ。残念ながらプリント状態の良くなかった『ちょび髭の熊』はというとギャグも冴え渡った傑作。これはきれいなプリントで見たい。お竜さんの殺陣が『緋牡丹博徒』よりも血なまぐさい感じがした。『どえらい奴』はビデオで見てはいたのだが、スクリーンで見ると全然印象が違う。加藤泰の弟子なんだなあ、とあらためて思わされる佳作。

 いちばん驚いたのは実は『伊賀野カバ丸』で、すっかり忘れていたのだが、ラストの「アクション5番勝負」の最後の一戦、「カーロデオ」って『デスプルーフ』の元ネタではないか! タランティーノ、これ見てるだろ!

 金曜日の前夜祭、天気予報は雨で心配されたのだが、最後まで天候はもって上映は無事大成功。『トラック野郎』は実に野外上映にふさわしい映画だった。あのどこまでも突き抜けて飛んでゆくような野放図な脳天気が野外上映の解放感によく似合う。野外上映ではスクリーンサイズはあまり気にならないということを学んだ。

『望郷一番星』のラスト、札幌へとひた走る桃次郎(菅原文太)をカムチャッカ(梅宮辰夫)指揮下のトラック野郎たちが寄ってたかって助け、バケツリレーで水をまく。「あれこそが人民の海だ!」(則文談)あの場面を見ているうち、われ知らず目頭が熱くなる。なんでこんなに感動的なのだろう? 無私の団結だ。それが映画である。上映のために九時間かけて群馬からやってきた一番星号のオーナー、ボランティアとして上映を手伝っていた北陸のトラック野郎たち、『堕靡泥の星 美少女狩り』のニュープリントのために一万円を寄付してわざわざ北海道から見に来てくれた美女。無名のトラック野郎たちが桃次郎のために汗をかくように、みんなが映画のために身を捧げている。それがこの映画祭でいちばん感動的だったことである。

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2007-09-14

スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ (2007)

Sukiyaki_western__django_rgb 監督:三池崇史 主演:伊藤英明、伊勢谷友介他たくさん 公式サイト

 それで、これを見てしみじみ思ったのは、三池崇史には映画的教養がない。それはもう、ものの見事に何もない。まあそのこと自体は別にハ ンデでもなんでもなくて、三池は映画的教養など必要としない映画しか作らないからだ。だから、これがちっともマカロニ・ウェスタンではないとしても、三池 にマカロニ魂がかけらもなかったとしても、それはしょうがないことなのだろう。

 もうひとつ、しみじみ思うのは三池崇史の才能は徹頭徹尾破壊の才能だということである。構築はできないんだよね。だから三池のコメディ があまりに冴え渡っているにもかかわらず、馴染んだジャンル以外のことをやろうとするととたんに滅茶苦茶になってしまうのもそういうことだ(コメディはどうなんだ……と言われるかもしれないがコメディに必要なのは破 壊の才能なのである)。この映画の場合、無国籍で時代も定かでないSF設定、セリフはすべて英語に……と無意味な破壊は次から次へと繰り出してくるのだ が、ではその舞台での愛と死をいかに構築するか……という部分ではいきなり立ち止まってしまうわけである。

 ギャグに関してはさすがに冴えているところもあって、佐藤浩市が演じている清盛のキャラには悔しいけどちょっと笑ってしまった。「今日から俺はヘンリー だ。ヘンリーと呼べ!」とか。ただこれやってるのが佐藤浩市なんで……ちゃんと芸達者な人が演じてたらもうちょっと面白かったんじゃないのって気がするがね え。

 あとねえ、木村佳乃がねえ。もうほんの、これっぽっちでも色気があれば許せたんだが……この役に脱げない踊れない色気もない女優をキャスティングするのってどういうんだろうなあ。

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2007-09-09

ポーランドの『氷の微笑』

144769  ポーランドでKrystian Balaという作家が逮捕されたのは2006年のことである。彼が2003年に発表したAmokという小説の中身が2000年に起きた実際の殺人事件に酷似していたということで逮捕されたのだ。犠牲者は半裸で拷問されたのち殺害され、オーデル川に捨てられていた。

 このときは小説の類似だけを手がかりにした見込み捜査の色が強く、反カトリック作家の弾圧だ!と国際的な救援運動が起こったりもした。Balaもほどなく釈放。ところがその後、Balaが犠牲者の持っていた携帯電話をebayで売っていたことなどが判明し、とうてい事件と無関係ではありえないとなったのである。Balaは再逮捕され、このほど禁固25年の有罪判決を受けたという(参考:zakzak)。

 要するに自分で殺人して(妻の浮気相手を殺した)、それを小説に書いてたってわけ。リアル『氷の微笑』! 読んでみたいなこの小説。

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2007-09-08

未来予想図 (2007)

出演 松下奈緒、竹財輝之助 監督 蝶野博 公式サイト 10/6公開

 これ何かというと、ドリカムの同名曲にインスパイアされた映画だそうです。映画になるくらいだからすごくヒットした国民的名曲なんだろうけれど、ぼくは知らなかった。映画の中で二回流れたんだけどもう忘れた。

 なんで忘れちまうのかっていうと、歌詞に具体性がないからなのである。たとえに出すのが正しいかどうかよくわからないんだけど(爺さんの言うことだと思って許していただきたい)、ユーミンだって中島みゆきだってつねにシチュエーションを想起させるために具体的な名詞がある。でもそういうものがいっさいなくて「時々二人で開いて見るアルバム/どれくらい同じ時間、二人でいたかしら」てな調子なんだよ。固有のシチュエーションがなくて、ただ抽象的なイメージだけなのだ。

 この具体性の無さは曲だけではないのではないか? たとえば松下奈緒の演じているOLは「編集者になりたい!」って学生時代からの夢をかなえるために、転職しようと面接を受けるのである。
「で、きみは編集者になって何をしたいの?」
「自分の好きなものをみんなに伝えたいと思います」
「きみの好きなものをみんなが好きだとはかぎらないよ? きみは何が好きなの?」
「人の人生ですね」
「人生? どういう意味?」
「夢をもって生きている人の人生は素晴らしいと思うんです」
「ふうん。で、きみの夢はなんなの?」
「…編集者になることです」
 落ちる! こんな奴を採用する編集部はこの世のどこにもありません! オレが面接官でも落とす! しかるに松下奈緒はしっかり試験に合格し、マガジンハウス社でTickleという異常に広告の入っていない女性誌に勤め、毎日パンプスにブランドもののワンピ着て縦ロールの髪で編集者稼業をがんばっちゃうのであります。あ、転職したとたんに学生時代からの恋人を捨てちゃうけど、三十路が近づいてきたらふと思い出して会いに行ったり「もうこんな仕事、やめちゃおうかな……」なんて思ったりなんかして。

 死ね! 今すぐ死ね! この映画に限っては難病解禁!

 なお、監督はこれがデビュー作で、長らく平山秀幸とかの助監督をやっていた人らしい。まあ有能な助監督だったのかもしれないし、監督としてもそんなに無能ではないのかもしれない。でも、この企画を引き受けてる時点で駄目だよね。こんな映画を見て、「俳優の演技は地獄のようだし脚本は白痴だし歌は酷いし、そもそも観客は誰も見に来ないだろう。でも演出だけは良かった」なんて言ってくれる人は絶対にいないので。たとえ念願の本編を取るチャンスだったとしても、企画を断る勇気を持っていただきたい、と思った。そしてぼくには、こんな映画は見に行かない勇気が欲しかった。

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2007-09-05

カナザワ映画祭・青いオトコ祭り

Dabid4e 9/14(金)~21(金)まで金沢21世紀美術館、シネモンド、駅前シネマでおこなわれる〈カナザワ映画祭2007 青いオトコ祭り〉にゲストで出演します。

9/15(土)
10:00 『シルクハットの大親分 ちょび髭の熊』 1h19m
12:30 『伊賀野カバ丸』  1h26m
14:20 『堕靡泥の星 美少女狩り』  1h30m
16:15 『大阪ど根性物語 どえらい奴』  1h17m
18:00  鈴木則文×柳下毅一郎  トークショウ
19:25 『徳川セックス禁止令 色情大名』  1h19m

『堕靡泥の星 美少女狩り』はニュープリントでの上映になります。さらに9/14(金)のオープニングでは『トラック野郎 望郷一番星』の上映に一番星号が登場! 世界的珍品の本邦初の一般上映がおこなわれる9/16(日)の駅前シネマオールナイトも是非お忘れなく! その他上映作品の詳細は映画祭HP

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2007-09-04

さよならSF大会

the 65th World SF convention Hugo award

Nippon2007(第46回日本SF大会兼65th World Science Fiction Convention)に行ってきた。

SF大会には久しく行ってなかったんだけど、今回はおそらく最初で最後の日本でおこなわれるワールドコンなので出かけることにした。ロバート・シルヴァーバーグにサインをもらい、ヒューゴー賞授賞式を見物し、英語企画も物色し、テッド・チャンインタビューもNW企画も見て、三日間たっぷりSFを満喫した。

で、あらためてしみじみと思うのは、SF大会は進化の袋小路に入ってしまったなあ、ということだ。

はじまる前、あまりに準備の態勢がデタラメなので、「史上最低のワールドコンと言われるのではないか」「国辱ものだ」と心配している人も多かったのだが、蓋を開けてみればワールドコンの海外客はたいそうのんびりまったりしていて、キリキリしているのは日本人参加者だけだった。それは企画にもはっきりとあらわれていて、ワールドコンの英語企画は演者も客席の参加者も区別がなく、ほとんど大会の合宿企画のように参加者からの勝手気ままな発言を許容しつつ進行していく。一方で日本の企画はゲストとして招かれた演者のお話をお客さんである観客が拝聴する(演者の方はお客を楽しませる)。日本のSF大会にはあきらかに矛盾がある。つまりボランティアベースのイベントであるくせに、プロの演者がサービスとしてお客を楽しませることになっているのだ。

なぜこんなことになってしまったのかといえば、それは歴史的な問題で、たぶんアシノコンあたりまで遡ることになるんだろう。プロとアマを分離しようとした(どちらの側もそれを望んだので、どちらかが悪いというわけではない。強いて言うならその発想自体の問題だった)ときに、たぶん今にいたる道が築かれてしまったのだ。そして完全にファンベースの大会にするには、今の大会規模は大きすぎる。せいぜいが千人くらいの規模で、どこかの公民館みたいなところでやるしかないだろう。それなら参加費ももうちょっと安くなるし、ワールドコン並にまったりした企画でも誰からも文句は言われまい

ぼくがSF大会に行かなくなったのは、なんの企画もないのにゲストとして呼ばれるのが苦痛になったからである。行くなら金を払って参加すべきだし、その気がないなら行くべきではないと思ったからだ。本当に見たい企画、参加したい催しがあるなら、あるいはSFファンダムにそれだけの思いがあるなら行くべきだけど、そうでもない人間がゲストにしてもらっても、一般参加者の負担を増やしているだけのことである。そう思うと同時にほとんどSF大会に行く意味がなくなっていることに気づいた。だから幕張メッセのSF2001を最後にゲスト招請はお断りしている。

だから、これが最後のSF大会参加になるかな、という気が自分でもしている。別にファンダムから足を洗うわけじゃないけど、今のかたちのSF大会にはぼくのような人間は居所がないのだ。楽しかったけど、さようなら。

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