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2007-09-08

未来予想図 (2007)

出演 松下奈緒、竹財輝之助 監督 蝶野博 公式サイト 10/6公開

 これ何かというと、ドリカムの同名曲にインスパイアされた映画だそうです。映画になるくらいだからすごくヒットした国民的名曲なんだろうけれど、ぼくは知らなかった。映画の中で二回流れたんだけどもう忘れた。

 なんで忘れちまうのかっていうと、歌詞に具体性がないからなのである。たとえに出すのが正しいかどうかよくわからないんだけど(爺さんの言うことだと思って許していただきたい)、ユーミンだって中島みゆきだってつねにシチュエーションを想起させるために具体的な名詞がある。でもそういうものがいっさいなくて「時々二人で開いて見るアルバム/どれくらい同じ時間、二人でいたかしら」てな調子なんだよ。固有のシチュエーションがなくて、ただ抽象的なイメージだけなのだ。

 この具体性の無さは曲だけではないのではないか? たとえば松下奈緒の演じているOLは「編集者になりたい!」って学生時代からの夢をかなえるために、転職しようと面接を受けるのである。
「で、きみは編集者になって何をしたいの?」
「自分の好きなものをみんなに伝えたいと思います」
「きみの好きなものをみんなが好きだとはかぎらないよ? きみは何が好きなの?」
「人の人生ですね」
「人生? どういう意味?」
「夢をもって生きている人の人生は素晴らしいと思うんです」
「ふうん。で、きみの夢はなんなの?」
「…編集者になることです」
 落ちる! こんな奴を採用する編集部はこの世のどこにもありません! オレが面接官でも落とす! しかるに松下奈緒はしっかり試験に合格し、マガジンハウス社でTickleという異常に広告の入っていない女性誌に勤め、毎日パンプスにブランドもののワンピ着て縦ロールの髪で編集者稼業をがんばっちゃうのであります。あ、転職したとたんに学生時代からの恋人を捨てちゃうけど、三十路が近づいてきたらふと思い出して会いに行ったり「もうこんな仕事、やめちゃおうかな……」なんて思ったりなんかして。

 死ね! 今すぐ死ね! この映画に限っては難病解禁!

 なお、監督はこれがデビュー作で、長らく平山秀幸とかの助監督をやっていた人らしい。まあ有能な助監督だったのかもしれないし、監督としてもそんなに無能ではないのかもしれない。でも、この企画を引き受けてる時点で駄目だよね。こんな映画を見て、「俳優の演技は地獄のようだし脚本は白痴だし歌は酷いし、そもそも観客は誰も見に来ないだろう。でも演出だけは良かった」なんて言ってくれる人は絶対にいないので。たとえ念願の本編を取るチャンスだったとしても、企画を断る勇気を持っていただきたい、と思った。そしてぼくには、こんな映画は見に行かない勇気が欲しかった。

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コメント

毒舌芸を披露する対象としては、あまりにも明らかな弱者?が続き過ぎのような気がします。自民党クソッタレ!とあんまり変わんないていうか…

投稿: furuhe | 2007-09-09 14:55

爺いとかいう問題じゃないぞ~
爺いを言い訳にするな~
迷惑だ~
貴方個人の問題だよ
以上

投稿: イッコ上 | 2007-09-09 22:32

>爺いとかいう問題じゃないぞ~
具体性がないのでよくわからないのですが、たぶんこの人はぼくが「ドリカムの曲を知らないし覚えられない」のを爺だからと言い訳してるとお思いなんですね? 良く読んでもらえばわかると思うんですけど、「爺さんの言うことだと思って許していただきたい」と言ってるのは「ユーミンや中島みゆき」をたとえにあげてることですよ?

そもそもはてブのコメント見たら
>ユーミンとドリカムの歌詞の差異はむかし宮台真司が分析していたね。
オレだけじゃないんじゃん! いや宮台さんがどう分析なさったのかは知りませんが。

投稿: garth | 2007-09-09 23:34

早とちり、大変悪うございました。
イメージなんて具体的でなきゃ―という話も
その屁みたいな台詞の虚しさ(?)も良く分かるけど
その詞への云々はナンクセっぽいなあ。
映画の不出来を単に、歌詞の作りのせいにしてるようにとれる。
私には、アルバムを(畳だかソファで)覗き込む二人の男女の姿が見えるけどねえ。
ユーミンとドリカムの差異〉それって、分析するほどのもんかなあ

投稿: イッコ上 | 2007-09-10 02:03

ま、コメントによる補間(言い訳・屁理屈)がなければ成立しないクソ「日記」ですな

投稿:  聰 | 2007-09-10 07:20

>この映画に限っては難病解禁!

不覚にもワロタ

投稿: 名無しさん | 2007-09-10 14:41

>コメントによる補間(言い訳・屁理屈)がなければ成立しない

それは読解力の問題では。

投稿: ななしさん | 2007-09-10 18:30

>それは読解力の問題では。

二言目には「死ね」と書く短絡的な輩の文章から何を読み取れと?w

ま、ある意味わかりやすいがw

投稿:  聰 | 2007-09-11 11:25

久しぶりに気持ちよく笑えてスッキリしました。

投稿: ヒノキオ | 2007-09-11 12:58

>二言目には「死ね」と書く短絡的な輩の文章

読解力の問題ですね。

投稿: 何が目的なの? | 2007-09-14 01:22

>読解力の問題ですね。

投稿:  聰 | 2007-09-14 05:42

みんな、こんな映画でもちゃんと身銭切って見に行ってるガースさんに涙しろよ。

煽りでもなんでもなく、これってかなり崇高な行いだと思うぜ。自己犠牲、とまでは言わないけど。

投稿: 4歳児の父 | 2007-09-14 22:37

この映画の観客及び製作関係者への無差別殺人を推奨します。しかし観客に柳下さんが含まれるのには心が痛みますね。

投稿: 夢を、あきらめない | 2007-09-19 12:32

<でも演出だけは良かった
うけるww

ガースさんの美しい自己犠牲精神、いつも
楽しみにしています。私は1円も払いたく
ありませんが、これからもがんばってください!

&ガースさんが「キサラギ」についてはどう
思われたのか、気になって夜も眠れません。

投稿: デイヴ・グロール | 2007-09-19 23:08

>転職したとたんに学生時代からの恋人を捨てちゃうけど

主人公は、自分と一緒にいたいから日本で仕事をすると言う恋人をスペインに行かせるために別れたのであって捨てたわけではないと思います

投稿: ななし | 2007-10-12 12:09

この作品については交通費くらいは払っているだろうが試写会だからゼロ円ね。けど、ひょっとするとそれ以上に貴重な時間は使っている。
私も時間とカネを使ってみたが、インスパイアものならせめて大林を見習って欲しいとは思うね。金払ったものは返すくらいのものを作れよ、と。
こんなものがメジャーでかかっているこの時代を憂慮する。

投稿: 六郎 | 2007-11-05 22:31

評価について良い、悪いというものはつきものだが、ここまで汚い評価の仕方は初めてだ。

映画をどんな気持ちで創ったかあなたにわかるのか。

特にDREAMS COME TRUEのファンである私には、あなたのような何も知らない輩に歌の駄目出しをされていることに憤りを感じる。

顔が見えないことをいいことに、言いたい放題なのは大人としての品格を失うものだ。
もう少し大人らしい言葉が見つからなかったのか。

評論家とは皆このように汚い輩ばかりなのだろうか問いたいものだ。

投稿: 通りすがり | 2007-12-27 23:26

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