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2007-07-17

キース・キャラダインのこと

Photo_altman_bowie  PFFのアルトマン特集。『ボウイ&キーチ』を見に出かけると佐々木浩久監督とばったり。個人的にはアルトマンの中で(『ナッシュビル』を除いて)どれ か一本となると『ボウイ&キーチ』なのだが、それは佐々木監督も同じだったらしい。なぜなんだ? という話になったんだけど、ぼくの理由はわりとはっきり していて、ひとつにはキース・キャラダインが好きだったからである。

 キース・キャラダインのファンになったのは『北国の帝王』を見てからである。え? 『北国の帝王』のキース・キャラダインは脇役ではないのか? そのとおりだ。あの映画を見て、ぼくがしたたか打ちのめされたのは、 「ぼくはリー・マーヴィンではない!」ということだった。ぼくはキース・キャラダイン演じる若造の方だった。わかったような気になって、口だけは 達者な小生意気な若造。最後には河に叩き込まれて「おまえは何もわかってねえ!」と怒鳴られる小僧。あれこそがぼくだ。ぼくはリー・マーヴィンにはなれない世代だっ たのだ。あの中途半端さ、乗り遅れた感じこそが自分のものだった。

 アルトマン映画も、だからキース・キャラダインがいちばん好きだった。キース・キャラダインのあの軽み、ニューシネマ的と言えば言えようが、ニューシネマの自己陶酔した悲劇は一切無縁の軽みが自分にはいちばんぴったり来たのである。久しぶりに見た『ボウイ&キーチ』はやっぱり悲痛なラブストー リーで、でも悲劇になりきれないところがたいへん好ましく、シェリー・デュヴァルのおどおどした感じが実にいい。悲劇になりきれない世代の悲劇という意味で、自分にとっては『地獄の逃避行』と並ぶ一本なのである。

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2007-07-15

そのときは彼によろしく (2007)

 もう何がなんだかよくわかんなくなってきたんで、自分なりに整理してみた

長澤まさみ→『世界の中心で愛を叫ぶ』
山田孝之 →『電車男』
北川景子 →『Dear Friends』
和久井映見→『椿山課長の七日間』
市川拓司(原作)→『いま、会いに行きます』
平川雄一郎(監督)→テレビ
柴咲コウ(主題歌)→『世界の中心で愛を叫ぶ』『黄泉がえり』

 こういうメンバーが集まったところに北野武先生がやってくる。
「今日はみなさんに殺し合いをしてもらいます」
 えー!
「武器は……難病です!」
 というわけで
「うっ……心臓が」
「ああっバイクが事故った!」
「ボ、ボク…水草がす、好きなんです」
「人と人とは物理の教科書には出てこない強い力で結びあっているんだよ」
 てな調子で人がバタバタと死んでいく。恐ろしい世界だ。

 中でも最強の武器を持ってるのはもちろん長澤まさみで、この人は「眠ったらそのまま目覚めない」という奇病にかかっているのだ。眠り姫かよ! だからいつもシャブをキメてギンギン。「眠るな! 眠ったら死ぬぞ!」

 まあどうせファンタジーだからなんでもいいんですよ。映画が終わって灯りがつくと場内はハンカチを手に「こんなに泣けるとは思わなかった……」と言い合う女子だらけでした。早く関東大震災が起きてみんな死んでしまえばいい、と思いました。でも、どうせすぐ黄泉がえってくるんだけどね!

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2007-07-12

ラザロ トークショー

ポレポレ東中野での『ラザロ-LAZARUS-』公開にあたり、7/18(水)、トークショーのゲストとして井土紀州監督と話をさせていただきます。お題は「映画・犯罪・悪意」ということなので、井土さんお得意の実録女性犯罪なんかの話をすることになるでしょう。

7/18(水) 21:10~ Aプログラム(『朝日のあたる家』篇)上映前

その他のゲストについてこちらを参照 ぼくの感想はここです

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思い出がいっぱい(「美少女図鑑 汚された制服」) (2004)

Omoide02 監督:竹洞哲也 脚本:小松公典 出演:吉沢明歩

ポレポレ東中野 R18 Love Cinema Showcase vol.3にて鑑賞

 2004年の林由美香出演作。これは傑作だった。ヒロインである吉沢明歩の濡れ場を最後まで引っ張って溜めに溜めるんだけど、そこまで濡れ場を引っ張るのがもっぱら林由美香嬢。言ってしまえばただの濡れ場要員なのだが、そこでエロ映画的魅力を存分に発揮して映画をダレさせない。ラストのラブシーンも気持ちが入ってなかなか泣かせる。

 もう一本、『恋味うどん(悩殺若女将 色っぽい腰つき)』も再見。最初に見たときは「『短距離TOBI-UO(ホテトル嬢 癒しの手ほどき)』の方がいいかな?」と思ったのだが、再見してだいぶ印象が変わった。いや、これはうまい。なかみつせいじと吉沢明歩の濡れ場を引っ張るために繰り出す手練手管には感服した。正しく大船調の映画だなあ。女優陣では下着姿でストリップダンスを踊る倖田李梨がスタイルも良くてとっても格好いい。昼間グラインドハウスのイベントをやったせいもあり、「グラインドハウスっぽくていいなあ……」と見惚れてしまった。

 気になったのは舞台挨拶で、ああいう斜に構えたようなトークはもう本当にやめませんか? ピンク大賞でならそれでもいいんだろうけど、せっかく一般観客にアピールするチャンスなんだから、正攻法できちんと訴えて欲しいね。それだけの力はある映画だったと思うし。

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2007-07-09

ファビュラス・バーカー・ボーイズ 対談生収録!

7/11(水) 13:30~ 平日の昼間ではありますがLoft+1にてFBBイベントやります。

ファビュラス・バーカー・ボーイズ 対談生収録! 平日昼間に一回きりの再結成! ゲストなし! お題はもちろん「グラインドハウス」!

出演:ファビュラス・バーカー・ボーイズ(ウェイン町山&ガース柳下=町山智浩&柳下毅一郎)

Open/12:30 Start/13:30

【料金】1000円(1ドリンク付き)

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2007-07-07

ゴーレム降臨!

Photo  神田三省堂で滝本誠氏と『ゴーレム100』刊行記念トークショー。「〈三省堂SFフォーラム〉史上最悪のグタグタ」とか言われてしまいました……すいません……無理矢理登壇していただいた渡辺佐智江さん、若島正さん、山形浩生くんどうもありがとうございました。まあ滝本誠の知られざるSF史と自前でゴーレム・スタンプまで用意してきてくれる渡辺さんのラブリーさは伝わったと思うのでいいですよね。

 グタグタすぎて話し忘れていたネタがひとつ。ベスターがさる雑誌の副編集長をつとめていたとき、まだルポライターだったピーター・ベンチリーから持ち込みがあったという。原稿を一読したベスターはベンチリーに向かって「これは長篇の第一章じゃないか。おまえはこのまま一生ルポライター稼業を続けていくつもりか? それとも一念発起して長編小説を書いて人生を変えるか、どっちだ!」と煽り、ベンチリーがそれに応えて書き上げたのが『JAWS』。つまりスピルバーグが今あるのもベスターのおかげってことなんですね。

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舞妓Haaaan!!! (2007)

監督水田伸生 脚本宮藤官九郎 公式サイト

 予告を見たときには死んでも見たくない映画の一本だったんだけど、某筋から強く勧められたこともあり見に行った。驚いたことに楽しかった。いやマジで。途中、球団をはじめるあたりはマジで傑作かも!?と思ったんだが、どうもその後がよろしくない。クドカンって毎回そうなんだけど、これも話のまとめ方を間違ってる気がする。きっちり伏線を回収して落とす能力があれば最強なんだがなあ。クドカンさんには黄金期ハリウッド映画の脚本を分析してみることをお勧めする。

 これ、無責任シリーズをイメージして作られてるんだな。だからこれが植木等の遺作だというのは、ある意味正しいことだったのではないかと思う。ともあれ、真矢みきが歌って踊るミュージカルシーンは素晴らしいので殊能将之さんにはお勧め。

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2007-07-02

One-Armed Machine Girrrrl!

One-armed Machine Girrrrl!  霊峰富士の裾野、御殿場までえっちらおっちら出かけてゆく。井口昇監督の新作、『片腕マシンガール』の撮影見学である。着いてみると、そこは地獄だっ た……現場はすでに地獄の一丁目状態で、切られた手や足や顔、穴があいたりバラバラになった胴体がそこらじゅうにごろごろしている。加えてカット割りの細かさとアクションの密度はありえないぐらいで、連日 連夜体力の限界に挑戦するかのごとき撮影が続いているのだという。井口組恐るべし。しかし誰一人嫌がるでもなく、進んで過酷な撮影に挑戦しているのが井口 くんの人徳か。まあ井口くんがいちばん楽しそうなんですけどね。 なお、テーマは「イジメはよくない」だそうです。そりゃそーだ。

 ヒロインの片腕少女はグラビアアイドルの八代みなせ
なかなかアクションも頑張っていて期待大。井口くんも大いにお気に入りのご様子。井口くんが求めるタイプの誇張した演技には、グラビアとかやってる人は結構向いているのではないかと思ったりもする。キメ顔を作ることには慣れているからである。

『片腕マシンガール』は井口昇、初の海外資本の作品(デモ田中世界進出!) 年内にはアメリカに上陸の予定だとか。今日はFangoriaの取材も来ていたというくらい。ところで肝心の日本公開は……

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