22才の別れ (2006)
監督・脚本・編集大林宣彦 公式サイト
きみたちの大好きな、気持ち悪い大林宣彦が帰ってきた!(笑)
いや、普通に考えると、これこそ年取った大林宣彦が撮りそうな映画である。これ、実質的には『はるか、ノスタルジィ』のリメイクなんだけど、どうにもやたらと不能感ばかり感じさせる映画で、でも大林特有のべったりした感触だけはそのまま。まあこれだけ見ると「大林も年取った かな……」という印象が出てくるのもしょうがないのだが、このあとに『転校生』撮ってるわけだからな……
それにしても、大林映画ってなんでこんなに気色悪いんだろう?と見ながらしみじみ考えていたんだが、それはたぶん映画の中で人称の区別がついてな いからだな。この映画、筧利夫のナレーションで「こんな奇妙な物語はどうだろう?」てな感じではじまる。この時点では筧のナレーションは観客に向けられ たものである。つまりメタレベルのナレーションだ。でも、それ以外に劇中でも筧の呟きとか心象表現のナレーションとか鈴木聖奈への呼びかけとかいろいろ あって、それがすべて同じレベルで語られているんだよね。物語の語りのレベルがごっちゃにされているんで、なんだか大林宣彦本人の脳内を覗かされているよ うな気がするのだ。それがあの大林特有の観客との距離感のなさを生んでいるんじゃなかろうか?
あと、大林映画ってものすごくテクニカルなんだけど、大林ファンってそこんところを真似する人がほとんどいないのは残念だね。というか、あれだけ 細かくカット割って、なおかつひとつひとつのカットであれだけ細かくもの動かして人動かしてカメラ振って……みたいな撮り方する人いないよ、今時。
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コメント
成る程、「はるかノスタルジー」とは気付きませんでした。
ところで、「はるかノスタルジー」は、「さびしんぼう」のパート2的な要素もあるのですが、となると、「22才の別れ」は、「さびしんぼう」の間接的リメイク?
「22才」と「転校生」リメイクのタッチの差は、脚本家の資質の違いでしょう(笑)。
投稿: 内藤 | 2007-05-22 04:57
実際友人の「さびしんぼう」な人はべったりはまってました(笑)。まあ純度120%の濃厚大林というか。
投稿: garth | 2007-05-22 12:22