監督・ばんざい!(2007)
監督・脚本・編集・主演 北野武 6/2公開
[これはひどい]
なんというか、大学映研の8ミリ映画のようなというか、『みんな~やってるか』にCGをまぶしてさらに安くしたようなというか、『TAKESHI's』をさらにわかりやすくしたようなというか(しかし、あれをわかりやすくしたからといってどうなるというのか)。
何よりひどいのは劇中で「つまらない企画」として登場する映画が本当につまらない、ひとっかけらも面白くも刺激的でもなんでもないっていうことである。「小津風」とかもう見るも無惨で、本当にいたたまれない気分にさせられる。
しかし、だからこそ、このたけしの煮詰まりっぷりには何か凄まじく陰惨なものを感じるのであり、なんだかどんどん中原昌也の世界 に近づきつつあるような気さえする。この「何をやってもつまらないし、正直何もやりたいことはないが、しかし“世界のキタノ”になってしまったからに は、何かやらねばならない。オレはどうしたらいいんだ?」とでも言いたげな煮詰まり感の先には何が待っているのか? それを見るまでは追いつづけなければならない、という気にさせられる。少なくとも愚にもつかない若手監督の脳天気な“映画”よりはずっと。
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コメント
今の東京の空虚がそのまんま現れてる感じですか
投稿: モトモチ | 2007-04-07 11:39
「昭和30年代」のパートは良かったです。
貧乏人がゾンビみたいにわらわら出てくるところとか。誰もが言うだろうけど、あれだけで映画を一本作ればよかった。
投稿: garth | 2007-04-07 13:01
こんなに映画を観たくなる感想も珍しいですね。
あんま興味なかったのですが、
絶対観ようと思いました。
投稿: ヒノキオ | 2007-04-09 18:55