どんな映画になりたい?
未來社のPR誌『未来』の3月号に載っていた岡田秀則の原稿(「草を食む映画」)が面白かった。映画フィルムに使われる乳剤の原料はいまだ合成されておらず、牛骨や牛皮から取れるゼラチンを使わなければならないのだという。
「私たちがこれまで映画館のスクリーンに見てきたのは、どれもこれも牛の体内物質を通過した光の跡なのである」
あるいは常識なのかもしれないが、ぼくは知らなかった。こういう話を聞くといろいろな夢想が進む。牛骨からゼラチンがとれるというなら、人骨からはどうなのだろう? あるいは量が少なすぎるかもしれないが、もし作れるとしたら? 遺言に「ぼくの骨からは映画フィルムを作ってくれ」と書いておいたら、骨からフィルムを作って、それをみんなで見てくれないだろうか? これはいいね。千の風になって漂ってるよりはずっといい。
もしそれが可能なら、どんな映画になりたい? やはりファスビンダー(『十三回の新月のある月に』あたりがいいね)と言いたいところだが、コメディでもいいな。生きているあいだは他人への嫌がらせみたいなことばかりしていた身としては、せめて死んだあとくらいは笑ってほしい。ブニュエルで『小間使いの日記』とかどうかなあ。ぼくから作ったブニュエルを見て、みんな笑ってくれるなら、これほど楽しいことはないよ!
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コメント
牛さんに感謝しつつ、映画好きの夢と思います。私は「アニマルハウス」か「バンデッドQ」の乳剤になれれば、今の処は本望です。ファスビンダーをはじめ、知らないものが多いので、牛さんも私も、もう少し頑張りつつ楽しみたく思います。
投稿: James | 2007-03-07 00:21
>人骨フィルム
ホラー映画になりそうなアイディアですね。
わたしは「赤ちゃん教育」になりたいなあ。
投稿: mercysnow | 2007-03-07 08:29
ロマンですね~
投稿: モトモチ | 2007-03-07 20:58
アメコミではマーヴェルの編集者だったMark Gruenwaldの遺灰が遺言によってインクに混ぜられ、彼がストーリーを担当した「Squadron Supreme」の表紙画に使われたという例がありますね。
ソイレント・グリーンになって人々の糧になる、という手もありますが。
投稿: kingink | 2007-03-11 10:22