『大失敗』スタニスワフ・レム
『天の声』がファースト・コンタクトものをつきつめた結果コンタクト不能な地点にまで行ってしまう反ファースト・コンタクトSFであり、『枯草 熱』が究極のミステリにして反ミステリであるように、これは究極の宇宙冒険SFであり反宇宙SFである。つまり、究極の反SFなのだ。これが最後の小説に なったのも当然のことである。
これ、SFプロパー筋からはあまり評判良くないようだけど、なぜだろう? 中盤が冒険SFになっていないということだろうか?(ぼくはそれは事実ではないと思う) 悪訳だからだろうか?(これは事実だ) ぼくにはすごく面白く、最後の方は一気読みだったのだが。あるいはこれがSFファンには受け入れがたいとすれば、これがあまりに完璧に反SFであるからかもしれない……と思うのはうがちすぎかな。
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コメント
『大失敗』は大傑作ですね。
>これ、SFプロパー筋からはあまり評判良くないようだけど、なぜだろう?
そうなんですか? 不思議だなあ。
だって、ほとんどスペオペ並に通俗SFしてるじゃありませんか。
冒頭はロボットアニメだし、SFファンはみんな喜ぶとばかり思ってました。
「悪訳」と呼ぶのは少々気の毒なような気もします。
まあ、読みやすくはなかったですが(笑)。
投稿: mercysnow | 2007-02-16 16:31
>これ、SFプロパー筋からはあまり評判良くないようだけど
というのは言い過ぎかもしれませんが、複数の人から「立派な小説だろうけど面白くない」という感想を聞いています。
ぼくもまさしく手に汗を握る大エンターテイメントである、と思ったんですけどね。
第一章とか、いわば釣り餌なわけですが、その部分でこんな小説を苦もなく書いてしまうなんて、なんてすごい作家なんだろう、としみじみ思いましたねえ。
レムは頭が良すぎて、エンターテイメントしてのSFの不毛さを見抜いてしまったわけですが、それはSF界にとっては不幸なことだったのかもしれませんね。
投稿: garth | 2007-02-16 18:33
校正もロクにできないボンクラが
悪訳うんぬんは笑わせますなw
投稿: chon | 2007-02-17 17:27
はじめまして
私も冒頭の「モビルスーツ」には唖然としました。
レムを読むのに普通の意味で「SF」を期待する人はあまりいないのではないのでしょうか。私などはスペオペ的展開を全く予想していなかったので多少面食らいましたが。
TBしておきますのでよろしくお願いします。
投稿: piaa | 2007-02-20 00:07