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2007-02-26

+1の日

 Loft+1の一日。お昼過ぎに出かけて2時から佐川一政氏の『業火』出版記念イベント。なぜか佐川氏の生前葬という格好で、壇上に遺影が飾ってあったりした。出演者は鈴木邦夫、さくら女王様、地引雄一。ぼくもなぜか壇上に上げられてだらだらと喋りました。イベント自体も久しぶりだったし、ゲストも当日までずっと未定だったりして、本当にお客が来るのか不安が多かったわけですが、ふたを開けてみると意外と若い(可愛い)女の子がいっぱい来ていたりして、佐川人気健在なのであった。

 佐川氏、地引さんらは打ち上げに行ったが、ぼくはそのまま残って7時からのゴミ鍋。こちらも平山夢明大先生が40度の発熱ということでいろいろ危ぶまれたんですが、無事に大盛り上がりで何より。中原昌也は例によって遅刻しまくり、ようやく来たかと思うと下品なギャグを連発して本当に困ったことであったよ。終了後はそのまま飲みに行って3時過ぎまで。寝てたけど。

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2007-02-25

鹿沼エリの店

 神楽坂にある鹿沼エリの店に行く。妻の知人に誘われてパーティに行ったのだが、鹿沼エリ以上に感激したのはゲストとして来ていた山本奈津子嬢。金子修介の最高傑作『濡れて打つ』は何度見たことだろうか。『神の左手、悪魔の右手』でも思ったけれど驚くほど若い。あの老けなさっぷりは凄すぎますですよ。
 今でもしっかりイケるよなあ、と強く思ったことであった。

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Harry Stephen Keeler Fan Club

Aftersports  After Sports vol.4という同人誌が送られてくる。 慶応sfcの学生が作ってるらしいんだけど、なんとハリー・スティーヴン・キーラーの特集号。
 RambleHouseのフェンダー・タッカー氏のインタビューとか、キーラー短編の邦訳とか載っている。以前、フィルムセンターで映画を見た後にいきなり学生二人組に声をかけられて、キーラーの翻訳を手渡されたことがあったけど、その学生たちの仕事らしい。 なかなか素晴らしいことであります。

 ちなみに翻訳短編は、その学生たちが作っているホームページHarry Stephen Keeler Fan Club でも読めます。

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2007-02-24

ポル会

 昼は東宝東和にて内覧試写。なんと『火の鳥 黎明編』だった! 日本では手塚治虫は映画化できないが、アメリカでならできるらしい。
 終了後、江戸木純らと「ウンベルト・レンツィ好きだったのかなあ」「やっぱ東宝東和の血がこういう映画を買わせちゃうのかね」などと盛り上がる。

 その後、麹町でT誌編集者と打ち合わせ。いろいろ口からでまかせを喋っているうちに、ふと慎太郎が東京オリンピックをやりたがる意味について壮大な妄想が浮かびあがる。すべての謎が解けた! まあただの妄想ですけどね。

 さらにその後、銀座に向かってK社Tが主催する飲み会〈ポル会〉(別名:岸本佐知子女王様とその下僕たちの会)。ひたすら飲みまくり喋りまくったが、翌朝になってみるとネタはひとつを除いて何を喋ったのかまったく覚えていないのであった。社会(とH書房)の平和のためにはそれで良かったのかもしれない。ちなみにひとつきり覚えているネタというのは、果たして豊崎由美は××を××いるのかという問題だったという……ああ、すべて忘れて正解だった!
 岸本さんから『空中スキップ』(ジュディ・バドニッツ マガジンハウス)を、T氏より『聖母の贈り物』(ウィリアム・トレヴァー 国書刊行会)をそれぞれいただく。「短編小説の快楽」は挟み込みのパンフが豪華すぎてしばし唖然。こんなもんに特色三色も使う出版社がどこにあるんだ!

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2007-02-22

ルネッサンス (2006)

フランスのSFノワール・アニメーション。夏公開。公式サイト
3月のフランス映画祭向けの試写で見ました。なんつーか、いかにもフランス製SF映画って感じでしたね。絵は格好いいんだけど、話はスカスカという。

その後新宿タワレコで「神殺しのダブ・オーケストラ」ことVermilion Sandsの"RE/O//VER//DU/B"購入。バンド名からはけだるいラウンジな感じの音楽を期待してしまうけれど、そんなもんではなくてかなり激しめ。ライブが面白そう。

Vermilion Sandsって曲やバンド自体はいくつもあるんで、まあ全部追いかけてたらきりがないんだけど、気になるのはMo Bomaってバンドかなあ。Myths of the Near Futureって三部作には The Kindness of WomenとかThe Crystal World C.S.とかMemories Of The Space Ageとかなんとかそんなタイトルの曲がてんこもり。 ちょっと聞いてみたけど、ワールド・ミュージック風味で、むしろThe Drowned Worldって感じだろうか?

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2007-02-21

映画欠席裁判3

Cover 『映画欠席裁判3』の見本が送られてきました。FBBの『映画欠席裁判』、今回で一段落ということですが、別に解散とか喧嘩別れとかそういうことじゃないんでご心配なく(そして残念でした)! 今週中には本屋に並ぶと思いますんでよろしくおねがいします。

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2007-02-20

闇を駆け抜けろ!(2007)

監督・脚本・撮影・音楽 戸梶圭太
出演 平沢里菜子 、華沢レモン、吉沢明歩、亜紗美、日高ゆりあ、鳥栖なおこ、他どうでもいい男性多数

 

戸梶圭太の自主製作映画『闇を駆け抜けろ!』試写に潜りこむ。今日も平沢里菜子の出ている映画を見てしまった! 三日連続、これはすでに愛なのか!? 打ち上げでの(男性陣の)感想はほぼ一致していて、
 1)亜紗美が凄すぎて、ほぼ映画をさらっている。
 2)吉沢明歩がかっこ良すぎるんですけどどうしましょう(レンタル屋に駆けこめ!)
みたいな感じ。
 映画でも素晴らしい存在感を見せつけるキング山口とかナヲイくんとか松江くんとかとひとしきり下品な話で盛り上がる。あー楽しかった。
 なお、映画の方は今のところ公開未定のようですが、とりあえず今週末からはじまるゆうばりファンタでは上映されるとのこと。

 試写に来ていた田野辺くんから秘密のブツを渡される。あっこれも平沢里菜子出てるじゃん! まさに平沢里菜子地獄状態!

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2007-02-18

平山夢明とデルモンテ平山のゴミ鍋~このミス外道編

またぞろゴミ鍋のお知らせです。

2/25(日)
祝!『このミス』1位!
平山夢明とデルモンテ平山のゴミ鍋~このミス外道編
祝! このミス1位獲得! と喜んだのもつかの間、またぞろやって来たちくわぶ無限地獄! 出演者の知名度上がれども、イベントクオリティはウナギ下がり! 膿んだような話しか出ません! どうせスカですスカトロ以下ですよ~だ

【出演】平山夢明(『このミス』1位作家)、柳下毅一郎(特殊翻訳家)、中原昌也(野間文芸新人&三島賞作家)、高橋ヨシキ(デザイナー)、多田遠志(+1の人&猛獣使い)

18:00open19:00start

【料金】1500円+order(ちくわぶ付き)

会場:新宿Loft+1

またしてもちくわぶ付きです。水戸産ですがダイエット効果はありません。
なお、当日は昼間の回(13:30open14:00start)で「佐川一政『業火』出版記念パーティー」がございます。たぶんこっちにも顔を出すと思いますので、合わせてよろしく。

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妻のいとこ 情炎に流されて (2006)

 昨日の今日というわけで、平沢里菜子主演作を追いかけて浅草まで出かけた。東京マラソンでにぎわっているかと思いきや、六区をにぎわせているおっさんたちの関心は競馬だけだった。

 平沢里菜子の荒木組出演作は『妻のいとこ 情炎に流されて』m@stervisionの的確なレビュウがある。これに付け加えるとするなら、どうも荒木太郎のウェットな乗りには平沢里菜子は合わないのではないか、ということがある。彼女は良くも悪くもドライなんだよね。
 最近、そういうことばかり考えているのだ。誰に頼まれたわけでもないのだが、平沢里菜子はいかに使うべきか?と頭を悩ましている。四六時中彼女のことばかり考えて……これって恋?
 個人的には、コメディをやるならスクリューボール・コメディがいいのではないかと思っている。まったく無表情で、なんの悪意もないままに男を死ぬような目に遭わせて平然としている女。

 もう一本、山崎邦紀監督の『催眠エクスタシー 覗かれた性交癖』も見る。見逃していた作品だけど、脚本がどうにもこうにも投げっぱなし。というかそもそも博士(佐々木基子)が「あなたたちは変態ではなく、失敗した芸術家なのよ」と言いながら患者を「治療」しようするところに根本的な矛盾があるような。この話なら患者のトラウマを解放して突き抜けさせてやらなければならないのではなかろうか。
 こないだ『くりいむレモン プールサイドの亜美』で史上最低レベルの演技を見せられた北川絵美がちゃんと格好になってるのには感心した。いや、正しくは芝居させないで映画を撮ってるってことなんだけど。

 二本見たあと、ちょうど時間がぴったりだったんで田宮二郎の『3000キロの罠』を見ようと浅草新劇場に入ると、なぜか空席だらけなのに通路に立っているおっさんたちが……あっここってそう言えばアッーーー!!

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2007-02-17

つまらないあたしのどうでもいい物語

Img_2210  ナヲイくんに誘われて、松江くんと一緒に平沢里菜子主演の新作ピンク映画のエキストラに行ってきた。 SMショーの客の役だというので思いっきり鼻の下を伸ばして。
 新宿のハプバーを一日借り切って撮影だという。平沢嬢が縛られたり吊るされたり鞭打たれたりするところを見られるものだと思って行ったら、思いっきり中抜きで阿呆面のリアクションだけ撮られて、思いのほか早く終わってしまった。

 ちょっと残念なような気もしながら昼飯を食いに行き、エロフェッショナルから最近のエロ出物について話を聞く。

 映画は『奴隷』というタイトルで3/9より新宿国際で公開。

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2007-02-16

『大失敗』スタニスワフ・レム

433604502x01_aa240_sclzzzzzzz_v46912891_レムってなんて凄い作家だったんだろうか。

『天の声』がファースト・コンタクトものをつきつめた結果コンタクト不能な地点にまで行ってしまう反ファースト・コンタクトSFであり、『枯草 熱』が究極のミステリにして反ミステリであるように、これは究極の宇宙冒険SFであり反宇宙SFである。つまり、究極の反SFなのだ。これが最後の小説に なったのも当然のことである。

これ、SFプロパー筋からはあまり評判良くないようだけど、なぜだろう? 中盤が冒険SFになっていないということだろうか?(ぼくはそれは事実ではないと思う) 悪訳だからだろうか?(これは事実だ) ぼくにはすごく面白く、最後の方は一気読みだったのだが。あるいはこれがSFファンには受け入れがたいとすれば、これがあまりに完璧に反SFであるからかもしれない……と思うのはうがちすぎかな。

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2007-02-14

ハンニバル・ライジング (2007)

 今日は珍しく三本も映画を見たが、三本とも戸田奈津子大先生が字幕だった。

『ラスト・キング・オブ・スコットランド』
はいろんな映画的記憶が刺激される映画で、見ている最中ずっと「やっぱ『食人大統領アミン』だよな」とか「あれ?『特攻サンダーボルト作戦』はやらないのか?」とか「”ウガンダ・ボンバイエ”っていいなあ」とかろくでもないことしか思い出さない。全体としては『キリング・フィールド』みたいな映画だった。フォレスト・ウィテカーは頑張っていただけに、うざい白人青年とか抜きにしてアミン一代記にすれば良かったのになあ。

 夜は日劇3にて『ハンニバル・ライジング』。『羊たちの沈黙』エピソード0というか、つまりカニバル・ハンニバル誕生編である。翻訳的にはこれがいちばん気になるところが多かった。"You half consciously..."が「おまえは知らなかったけどな」になってたりとか"crime of passion"が「衝動的犯罪」になってたりとか。

 物語はほとんどトマス・ハリスの妄想映画。前作はジュディへのラブレターだったわけだけど、今度はコン・リー。コン・リーに萌えまくって「オレもコン・リーに筆下ろししてもらいたい!」 みたいな。まあそんな感じの中二っぽい映画でした。なんかメイドをかしづかせてる悪役とか出てきて、トマス・ハリスのまちがいまくったジャパネスク妄想が炸裂していて大いに笑う。

 帰ってから、刺激された映画的記憶に忠実に『食人大統領アミン』のビデオ見る。うん、やっぱりこれ最高。これをフォレスト・ウィテカーでやってくれれば最高だったのに。さんきゅー・べりまっち!

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2007-02-10

Dear Friends (2007)

 21世紀をリードする巨匠、Yoshi様の新作映画がやってきた! 映画評論家を名乗る以上、これを見ないわけにはいかないだろう!と思って、オープンしたばかりの新宿バルト9に行ってきた。これ、行ってはじめて知ったんだが、バルトってドイツ語のWaldだったんですね。じゃあヴァルト・ノインじゃないのか?とか余計なことを考える。懐かしの新宿東映パラスは丸井の最上階になっていた。

 さて問題のDear Friendsだけど、今回Yoshiは原作のみで監督も脚本もしていない。というわけでDeep Loveみたいな楽しいことにはなっておらず、比較的普通の難病ものであった。とは言ってもYoshi流超展開は随所に見られて多いに笑う。

 中でも最高だったのは癌で乳房を切除しなければならなくなったリナ(北川景子)が病院の屋上から飛び降りようとするところ。駆けつけた幼なじみのマキ(本仮屋ユイカ)に向かって、リナは「そんな体になったら、生きててもしょうがない!」と絶叫する。するとマキは「じゃあ、あたしも胸を切り取る!」と言って鞄からカッターを取り出し、自分の胸を切り裂く! なんでカッター常備なの?と思ったら、マキはいじめられっ子でリスカ常習犯なのでいつでも手首を切れるようにカッター持ってなければならないのだった。
 その後手術したリナは、以前に言い寄られたDJと再会する。「あたしが交通事故で両足なくしちゃったら、どうする?」「オレがリナの足になってやるよ」いや、それどう考えても男、ヤリたいだけだから! ホテルに行ったリナがおずおずと服を脱いでみせると、男は「……ごめん。やっぱ無理」あたしは誰にも愛されないんだ……と絶望したリナは病院の屋上へ……って世の中に飛び降りる場所は病院しかないのかよ!

 興味深いのは、この物語にはYoshiの主要読者層であろう(とみなが考えている)渋谷で遊んでいる子供たちを裏切るような道徳訓が設定されていることである。つまり、派手に遊んでいるクラブの仲間たちのあいだには友情も恋もなく、真の友情に目覚めたリナは足を洗ってマジメに生きる決意を固める。とても不思議だ。
 ふたつの理由が考えられるだろう。ひとつは、Yoshiの読者は実は渋谷で遊ぶ子供たちに憧れているだけで何もしていない小心な子供たちである、という可能性。もうひとつは、実際に遊んでいる子供たちも、それがいけないことだというモラルを心のどこかにもっており、罰してもらいたいと考えているのではないか、ということである。

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2007-02-09

ベスト1

Drdeath 『SFが読みたい! 2007年版』でベストSF2006が発表されていますが、ジーン・ウルフの『デス博士の島その他の物語』が見事ベスト1に選出されました。恥も外聞もかなぐり捨てて自分でも票を入れた甲斐があったというものです。賞罰なしの生涯を送ってきましたが、ついにベスト1獲得とは!!! あー『デス博士』の代表訳者はあくまでも浅倉久志さんですけどね!
 なお、ジーン・ウルフのベスト1獲得を記念して、2/24発売のSFマガジン4月号でウルフの「迷える巡礼The Lost Pilgrim」を翻訳しました。お目通しいただければ幸い。

 現在発売中の文學界三月号、中原昌也の対談連載「映画の頭脳破壊」に鈴木則文監督と一緒に登場しています。一緒に京都まで行った奴です。しかし、わざわざ則文さんを引っ張りだして『大奥』と『マリー・アントワネット』を語らせるなんて、考えるまでもなく究極の無駄使いですね。まあその蕩尽ぶりが中原らしいとも言えるのだが。

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2007-02-08

幽閉者/テロリスト (2006)

『パラダイス・ナウ』という映画の試写を見に渋谷の試写室に行ったところ、足立正生氏が来ていた。足立正生の前の席でパレスチナ問題についての映画を見るというのはなかなか緊張するものである。

 で、なんだか天の巡り合わせというか義務感というか、そんなものを感じたので、予定を変更してユーロスペースで上映中の『幽閉者/テロリスト』を見に行く。なかなか素晴らしくはあったが、やはりこういうものこそフィルム撮りであるべきだと思う。これ、フィルムで撮ってくれたら、ついに祈りによって天が開く場面の空の青さがどれほど感動的だったろうか。
 パレスチナ紛争を背景にした二本だが、いずれも「現実の地獄よりも、脳の中にある天国の方がいい」と考える人たちの映画だとも言える。イスラエルの監獄も壁に囲まれたヨルダン川西岸地区も、閉じ込められた場所だということに変わりはないのだ。いずれも主人公の目がとてもとても印象的。

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映画ペンクラブ賞奨励賞受賞

 ってオレじゃないんだけど(笑)

 妻が日本映画ペンクラブ様より賞をいただけることになりまして、昨日はその授賞式に行ってまいりました。 これも一重にみなさまがたのご支援の賜物でございます。
 これからは映画ペンクラブ様の悪口は小声で言うことにしようと思いましたよ。

 会場では河原畑寧先生とお話ししたりとか。

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2007-02-07

日本エッセイストクラブ賞

『サッカーの上の雲』(小田嶋隆 駒草出版)読む。
 小田嶋隆のサッカー・コラム集。小田嶋隆の愛読者であり、サッカー・マニアであるぼくとしては文句なく楽しんだ一冊。唯一、欠点があるとしたら……著者が浦和ファンであることかな。
 いや、別にぼくは「レッズのくせに生意気だ」とか「ビッグクラブとか寝言言ってるんじゃねえ。点入れて喜んでる最中にキックオフされてゴールされる映像があるかぎり、浦和なんざ永遠の格下だ」とかそういうことを言いたいわけじゃない。いや少し思ってるけど、だからこの本がむかつくとかそういうことじゃない。そうじゃなく、著者が浦和サポで、コラムがここ数年のあいだに書いたものが中心だということである。つまり、浦和が強くなった時期に書いたものが多いということだ。
 誰もが知っているとおり、チームが弱ければ弱いほど、サポーターは純化され、サポート心は深まる。そしてコラムは悲哀の調子を帯びるがゆえに面白いものになる。面白いサッカー・コラムのほとんどが負けているチームについて書かれたものであるのは偶然ではない。だって、勝利については書くことなんてほとんどないからね。勝利は喜ぶものだからな。
 だから、小田嶋コラムが充実し、日本エッセイストクラブ賞を受ける日が来るためにも、レッズにはもうちょっと弱くなって欲しい、と切に願うものである。そのかわり今年こそ鹿島が十冠を達成してくれると、ぼくも嬉しい。それでぼくの書くものがつまらなくなったとしても、もともとたいしたもんじゃないんだから、人類文化の損失はほとんどないし。

『ねにもつタイプ』(岸本佐知子 筑摩書房)も読む。
 いやー、すばらしい。ぼくがとりわけ気に入ったのは「くだ」という奴。爆笑エッセイとしてはじまりながらどんどんホラーになっていく当たりの呼吸が絶妙。何度も読み返したい名品ですね。「住民録」もいい。ぼくは岸本さんとは酒の席でしか会ったことがないので、ほとんど「見知らぬおじさん」しか知りませんが。

 是非とも日本エッセイストクラブ賞を取れるよう、微力ながら努力したい。と言ってもぼくには「とれますように」って星に祈りを捧げるくらいしかできませんが。

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2007-02-05

Super Bowl XXXXI

Indianapolis Colts 29-17 Chicago Bears (テレビ観戦)

 ぼくがはじめてアメフトを面白いと思ったのはジム・マクマーンや“リフリジレイター”ペリーがいたシカゴのスーパーボウルXXを見たときだ。マクマーンにはQBの能力というのはパスを投げることじゃないんだと教わった。シカゴには守備を見る面白さを教わった。あれ以来、ずっとシカゴを贔屓にしている。でも、レギュラーシーズンを追いかけるほどの熱心なアメフト・ファンではないから、最近ではスーパーボウルを見るくらいだ。

 いきなりヘスターのキックオフリターンTDからはじまったときにはどうなることかと思ったが、結果としてはコルツの地力勝ちという感じ。シカゴはスペシャル・チームがものすごく頑張っていただけにオフェンスの力不足が目立った。ヘスターに怯えたコルツが毎回タッチバックしてくるから、攻撃は毎回最低でも20ヤードからはじめられるんだよね。これ、すごいアドバンテージだと思うんだが、結局それを活かせなかった。グロスマン、最後は蒼白になって、とてもスーパーボウルを戦う顔じゃなかった。マクマーンに気合いを入れてもらうべきだったね。

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Tojima Eizo Show 2

Movie  下高井戸へ出かけ、Tojima Eizo Show 2を見る。参加メンバーはここに書いてあるとおりだけど、この後にも出品者が続々増えてあがた森魚製作の映像も上映された(第二部)。
 とうじ魔とうじからは年末年始の出来事を撮ってくれという依頼を受けていたんで、ごく普通にホームムービーを撮ってつないだんだのだが
「何かものすごく不気味で、今にも手を切り落とすんじゃないかという緊張感が……」とまるでホラー映画のような感想を言われてしまった。
 言われてよくよく考えてみると、「フセイン大統領処刑」を伝えるニュースからはじまって、怪我と死の話しか出てこない! 自分にとってはごく普通なんだが、世間的には死の香りが濃厚に漂う日常としか言えないようだ。

 会場には根本敬が来ていたので久しぶりに挨拶。作品の中ではなにわ天閣がプロの技を魅せていた。上映後は元BOX東中野のY氏と一杯やって帰る。

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2007-02-03

蒼き狼 (2007)

製作・(実質)監督・(実質)脚本・(実質)原案 角川春樹

 まあいいか悪いかって言われたら実に酷い映画で、史実は好き勝手に歪めまくるし、菊川怜なんか恐ろしいほどの大根であるうえに軽くって見てられないし、売り物の戦闘シーンはまるっきりエキストラを仕切れてなくて奥の方では歩いてる奴とかいるし、そもそもモンゴル人は怒り心頭だし(モンゴル人にとってこの映画は、ぼくにとっての『どろろ』どころではない神聖冒涜にあたることだろう)、松方弘樹は松方弘樹にしか見えない。ロクでもない作品である。
 でも、面白いんだよなあ。たぶん春樹が映画を信じてるからなんだろうね。久しぶりに日本映画を見た気がした。たとえ底抜けだろうと、最近のテレビ・ディレクターが作るテレビ局製作の邦画なんかよりはずっと好きだね。

 反町くんはなかなか好演。ちゃんと馬にも乗っていた。春樹はテムジンでありなおかつジュチ(テムジンの息子)でもあるらしいので、つまりこれはジンギス・ハーンの映画であるよりもまず春樹の自伝映画であるわけだ。そういう観点から見ると、春樹がいちばん言いたかったのは、やはりあのとき弟を殺しておくべきだった、ってことかね。

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