21世紀をリードする巨匠、Yoshi様の新作映画がやってきた! 映画評論家を名乗る以上、これを見ないわけにはいかないだろう!と思って、オープンしたばかりの新宿バルト9に行ってきた。これ、行ってはじめて知ったんだが、バルトってドイツ語のWaldだったんですね。じゃあヴァルト・ノインじゃないのか?とか余計なことを考える。懐かしの新宿東映パラスは丸井の最上階になっていた。
さて問題のDear Friendsだけど、今回Yoshiは原作のみで監督も脚本もしていない。というわけでDeep Loveみたいな楽しいことにはなっておらず、比較的普通の難病ものであった。とは言ってもYoshi流超展開は随所に見られて多いに笑う。
中でも最高だったのは癌で乳房を切除しなければならなくなったリナ(北川景子)が病院の屋上から飛び降りようとするところ。駆けつけた幼なじみのマキ(本仮屋ユイカ)に向かって、リナは「そんな体になったら、生きててもしょうがない!」と絶叫する。するとマキは「じゃあ、あたしも胸を切り取る!」と言って鞄からカッターを取り出し、自分の胸を切り裂く! なんでカッター常備なの?と思ったら、マキはいじめられっ子でリスカ常習犯なのでいつでも手首を切れるようにカッター持ってなければならないのだった。
その後手術したリナは、以前に言い寄られたDJと再会する。「あたしが交通事故で両足なくしちゃったら、どうする?」「オレがリナの足になってやるよ」いや、それどう考えても男、ヤリたいだけだから! ホテルに行ったリナがおずおずと服を脱いでみせると、男は「……ごめん。やっぱ無理」あたしは誰にも愛されないんだ……と絶望したリナは病院の屋上へ……って世の中に飛び降りる場所は病院しかないのかよ!
興味深いのは、この物語にはYoshiの主要読者層であろう(とみなが考えている)渋谷で遊んでいる子供たちを裏切るような道徳訓が設定されていることである。つまり、派手に遊んでいるクラブの仲間たちのあいだには友情も恋もなく、真の友情に目覚めたリナは足を洗ってマジメに生きる決意を固める。とても不思議だ。
ふたつの理由が考えられるだろう。ひとつは、Yoshiの読者は実は渋谷で遊ぶ子供たちに憧れているだけで何もしていない小心な子供たちである、という可能性。もうひとつは、実際に遊んでいる子供たちも、それがいけないことだというモラルを心のどこかにもっており、罰してもらいたいと考えているのではないか、ということである。
最近のコメント