蒼き狼 (2007)
製作・(実質)監督・(実質)脚本・(実質)原案 角川春樹
まあいいか悪いかって言われたら実に酷い映画で、史実は好き勝手に歪めまくるし、菊川怜なんか恐ろしいほどの大根であるうえに軽くって見てられないし、売り物の戦闘シーンはまるっきりエキストラを仕切れてなくて奥の方では歩いてる奴とかいるし、そもそもモンゴル人は怒り心頭だし(モンゴル人にとってこの映画は、ぼくにとっての『どろろ』どころではない神聖冒涜にあたることだろう)、松方弘樹は松方弘樹にしか見えない。ロクでもない作品である。
でも、面白いんだよなあ。たぶん春樹が映画を信じてるからなんだろうね。久しぶりに日本映画を見た気がした。たとえ底抜けだろうと、最近のテレビ・ディレクターが作るテレビ局製作の邦画なんかよりはずっと好きだね。
反町くんはなかなか好演。ちゃんと馬にも乗っていた。春樹はテムジンでありなおかつジュチ(テムジンの息子)でもあるらしいので、つまりこれはジンギス・ハーンの映画であるよりもまず春樹の自伝映画であるわけだ。そういう観点から見ると、春樹がいちばん言いたかったのは、やはりあのとき弟を殺しておくべきだった、ってことかね。
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