溝口健二のふたつの顔
パルテノン多摩にて〈溝口健二のふたつの顔〉
第一部は溝口の失われた表現主義映画『血と霊』を弁士とスチル投影によって再現するパフォーマンス。佐相勉氏の講演がたいそう興味深い。竹久夢二が描いた『カリガリ博士』のイラスト・レビューなんてものまで登場する。
第二部は『瀧の白糸』。佐相氏がこの映画について、クライマックスの法廷場面、弁士がついてはじめてきちんと見れたと言っていたのが興味深かった(これまでは、ときに冗長と感じることもあったらしい)。ここは検事である岡田時彦が長広舌をぶつ場面なのだが、そこでは当然ながら弁士も朗々と演説することになる。これは映画のクライマックスである以上に、弁士にとっての見せ場として機能していたのではないかということである。サイレント映画は弁士と伴奏がついたときはじめて完成する(ものもある)。パフォーマンス・ピースとしてのサイレント映画について、それがときに映画のかたちさえ変えるということを今一度考えなければならない。
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